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医療廃棄物の正しい捨て方を解説!分類や種類についても紹介

医療廃棄物は、病院やクリニック、在宅医療など、医療行為によって出た廃棄物のことです。これには、注射針やガーゼ、血液の付着した器具など、感染リスクが高いものも含まれます。

適切な処理が求められる医療廃棄物は、感染症のリスクを含むため、誤った処理は大きな問題を引き起こす可能性があります。万が一、適切に処理されない場合、環境汚染や二次感染が広がる恐れもあるため、注意が必要です。

この記事では、医療廃棄物の分類や特別管理産業廃棄物、正しい廃棄方法について詳しく解説します。

医療廃棄物の分類

医療廃棄物は、特性やリスクに応じて細かく分類されており、それぞれ異なる処理方法が求められます。まず、医療廃棄物の分類について理解しておくことが、正しい処理を行うための第一歩です。

適切な管理が行われない場合、感染リスクが高まるだけでなく、環境への悪影響を及ぼす可能性があるため、法規制に基づいた厳格な処理が必要とされます。

医療廃棄物は、大きく「医療関係機関等で医療行為等に伴って排出される廃棄物」と「在在宅医療廃棄物」の2つに分けられます。以下では、各区分について詳しく解説します。

医療関係機関等

病院やクリニックなどの医療関係機関から排出される廃棄物は、大きく分けると「産業廃棄物」と「一般廃棄物」です。これらの廃棄物は、感染リスクや環境への影響を考慮した適切な処理が求められます。

産業廃棄物

廃棄物処理法によって、20種類の産業廃棄物が規定されています。医療関係機関等から発生するおもな産業廃棄物は、以下のとおりです。

燃え殻 焼却灰
汚泥 血液(凝固したものに限る。)、検査室・実験室等の排水処理施設から発生する汚泥、その他の汚汚泥
廃油 アルコール、キシロール、クロロホルム等の有機、溶剤、灯油、ガソリン等の燃料油、入院患者の給食に使った食料油、冷凍機やポンプ等の潤滑油、その他の油
廃酸 レントゲン定着液、ホルマリン、クロム硫酸、その他の酸性の廃液
廃アルカリ レントゲン現像廃液、血液検査廃液、廃血液(凝固していない状態のもの)、その他のアルカリ性の液
廃プラスチック類 合成樹脂製の器具、レントゲンフィルム、ビニルチューブ、その他の合成樹脂製のもの
ゴムくず 天然ゴムの器具類、ディスポーザブルの手袋等
金属くず 金属製機械器具、注射針、金属製ベッド、その他の金属製のもの
ガラスくず、コンクリートくず、陶磁器くず アンプル、ガラス製の器具、びん、その他のガラス製のもの、ギブス用石膏、陶磁器の器具、その他の陶磁器製のもの
ばいじん 大気汚染防止法第2条第2項のばい煙発生施設及び汚泥、廃油等の産業廃棄物の焼却施設の集じん施設で回収したもの

しかし、産業廃棄物のなかでも、人が感染し、または感染するおそれのある病原体(感染性病原体)が含まれ、若しくは付着している廃棄物またはこれらのおそれのあるものは「感染性廃棄物」として分類されます。

感染性廃棄物は、一般的な産業廃棄物よりも厳格な管理や処理が求められるため、注意しましょう。

一般廃棄物

一般廃棄物は、医療関係機関や家庭から出る廃棄物で、廃棄物処理法に定められた産業廃棄物に該当しないものです。おもに日常生活から排出されるものであり、医療廃棄物であっても、有害性や感染の危険が低いとされるものがこれに含まれます。

医療機関からの一般廃棄物は、紙くず類、厨芥、繊維くず(包帯、ガーゼ、脱脂綿、リネン類)、木くず、皮革類、実験動物の死体、これらの一般廃棄物を焼却した「燃え殻」など
が対象です。

また、病院内で使用される日常的なゴミや不要になった物品も含まれます。しかし、血液が付いた包帯やガーゼなどは、産業廃棄物としての処理が必要です。これにより、医療現場では廃棄物の区分が厳格に行われ、安全性が確保されています。

在宅医療廃棄物

在宅医療に関わる医療処置にともない、家庭で発生する廃棄物は在宅医療廃棄物に分類されます。高齢化が進むにつれて、慢性疾患の増加や自宅で医療を受けたいという要望に応えるため、医療機関でのみ行われていた医療技術が、在宅でも実施されるようになりました。

そのため、従来は医療機関からのみ排出されていた医療廃棄物が、現在では家庭からも多く出されるようになり、都民やごみ収集作業員の針刺し事故の防止が必要です。また、これにより廃棄物の種類や量も増加しており、適切な処理方法の理解が求められています。

とくに、誤った廃棄方法によって感染症のリスクが高まる可能性もあるため、十分な注意が必要です。

具体的には、注射針や点滴針などの「鋭利なもの」ペン型注入器用針などの「鋭利であるが安全なもの」バッグやチューブ、カテーテル、布・紙類などの「鋭利でないもの」で処理の方法が異なります。

鋭利なものや鋭利であるが安全なものは、病院や薬局などに返却する必要があります。鋭利でないものも、返却する場合や規定の処理方法が定められている場合もあります。

在宅医療廃棄物は自治体によって、在宅医療に関する廃棄物処理のガイドラインが定められているため、確認をして処分しましょう。

感染性廃棄物との区別と判断基準

医療廃棄物のなかでも、とくに注意が必要なのが「感染性廃棄物」です。感染性廃棄物は、病原体を含む可能性があるため、誤って処理すると感染拡大のリスクがあります。感染性廃棄物かどうかは、形状、排出場所、感染症の3つの観点から判断されます。

ここでは、感染が懸念される感染性廃棄物の判断基準について見ていきましょう。

形状

感染性廃棄物は、その形状によっても判断されます。たとえば、注射針やメス、手術器具などの鋭利物は、血液や体液が付着していると感染源となるため、通常の廃棄物にはできません。

また、血液・体液・臓器や皮膚などの病理廃棄物・病原微生物の試験または検査に使った実験動物の死体や試験管などの器具も対象になります。

排出場所

感染性廃棄物の判断基準には、排出場所も含まれます。たとえば、感染症病床・結核病床・手術室・緊急外来室・集中治療室・検査室など、高度な医療行為が行われる場所の廃棄物は、感染リスクが高くとくに注意が必要です。

これらの場所では、廃棄物が医療機器や患者の体液と接触しているため、感染性廃棄物として扱うことが基本です。

感染症の種類

感染性廃棄物の判断には、感染症の種類も重要な要素です。感染症法の一類、二類、三類、四類、五類感染症・新型インフルエンザ等の感染症・指定感染症および新感染症の治療や検査などに用いた廃棄物は、感染性廃棄物として扱われます。

これらの廃棄物は、専用の処理施設で焼却処分されるなど、特別な処理が行われます。これは、院内感染のリスクを最小限に抑えるためにも、必要な処理です。

しかし、基準に該当しない場合でも、形状が鋭いものは感染性廃棄物として同様に取り扱う必要があります。逆に、基準に該当する場合でも形状が鋭利でないものは、院内で適切に処理できる場合に限り、非感染性廃棄物として排出することが可能です。

さらに、感染性廃棄物はその種類や特性に応じて、産業廃棄物と一般廃棄物に分類されます。

医療廃棄物の正しい捨て方

医療廃棄物は、一般のごみとは異なり、特別な取り扱いが求められます。正しい捨て方を知ることで、感染リスクを抑え、環境への影響を最小限に抑えられるでしょう。

ここでは、医療関係機関から排出された場合の廃棄方法や、処分を委託する際の注意点について解説します。

医療関係機関から排出された場合

ここからは、医療関係機関から排出された場合の廃棄方法について解説します。

分別・保管

医療機関から排出される廃棄物は、適切な分別と保管が重要です。廃棄物の種類に応じて専用の容器や袋を使用し、ほかの廃棄物と混ざらないようにします。

また、感染性廃棄物は回収・運搬を行う際に、容器に収納することが義務付けられています。そのため、感染性廃棄物が発生した場合は、損傷しにくく収納しやすい密閉容器に入れて保管しておくとよいでしょう。

さらに、これらの容器には必ずバイオハザードマークを付け、感染リスクがあることを明示することが求められます。

バイオハザードマーク

バイオハザードマークとは、感染性廃棄物であることを示す全国共通のマークで「赤」「橙」「黄」の色で分類されています。色の意味は以下のとおりです。

・赤色:血液や液体状、泥状の廃棄物を示し、保管・収集時の容器は高い密閉性が求められ、廃液の漏洩を防ぐ必要がある。
・橙色:血液が付着したガーゼや紙くずなどが該当し、強度のあるプラスチック袋を二重にして使用する必要がある。
・黄色:感染性廃棄物のなかでもとくに鋭利なもの(注射器やメスなど)に該当し、貫通耐性のある頑丈な容器を使用する。

バイオハザードマークをつけることは、義務化されていませんが、付けない場合は文字などで明記し、その形状や取扱時の注意なども表示する必要があります。このマークを付けることで処理が簡単になるため、積極的に使用するとよいでしょう。

処分を委託する場合

医療に関連する産業廃棄物の処分を外部業者に委託する場合、事前に書面を用いて直接委託契約を結んでおく必要があります。委託先の業者が適切な処理を行わないと、排出者である医療機関も法的な責任を負う可能性があるため慎重な選択が求められます。

業者選定の際には、都道府県知事からの廃棄物処理の許可を持っているか、処理施設が適切に運営されているかを確認することが必要です。

また、業者によって取り扱いのできる廃棄物の種類やサービスが異なります。希望する回収時間、回収曜日、回収頻度、排出場所に対応できるかどうかをチェックしましょう。

イーブライトでは、歯医者やオフィス、企業などさまざまな業種・業態に対して一般廃棄物・産業廃棄物の処理サービスを提供しています。サービスに関するお見積り、ご依頼などのご相談、お取引のご検討など、お気軽にご相談ください。

まとめ

医療廃棄物の処理は、環境保護や感染拡大防止の観点から非常に重要です。医療に関連する廃棄物の分類や種類ごとの適切な処理方法を理解し、医療機関や在宅医療の現場で安全な廃棄物処理を実践することが求められます。

感染が懸念される廃棄物の正確な判断基準を理解することで、さらなるリスク管理が可能になります。適切な廃棄物処理を行い、安全で安心な医療環境を維持していきましょう。

イーブライトでは、企業から排出された産業廃棄物や一般廃棄物の処理の依頼が可能です。処理の方法がわからない方は、ぜひ一度ご相談ください。

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