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電子マニフェストの流れを徹底解説!導入から運用までのステップ

産業廃棄物の処理に欠かせないマニフェスト制度は、近年、電子化が進んでいます。紙から電子へ移行することで、業務効率化や法令遵守がスムーズになる一方で、「導入手順が分からない」「運用は難しそう」と悩む方も多いのではないでしょうか。

この記事では、電子マニフェスト申し込みの手続き方法について解説します。また、導入する際の注意点についても紹介するため、これから導入予定の事業者さまは、事前準備にぜひお役立てください。

電子マニフェスト登録の流れ

産業廃棄物の排出事業者が運搬・処分を外部の業者に委託する場合、マニフェスト(産業廃棄物管理票)を交付する必要があります。電子マニフェストの運営機関は、日本産業廃棄物処理振興センターという公益財団法人です。

登録の流れを具体的に確認していきましょう。

1.JWNETの加入確認

第一条件として、JWセンターが開設しているJWNETへの加入が必要です。なお、利用にあたっては、廃棄物を出す事業者だけでなく収集運搬や処分に関わる業者も同様に加入していなければなりません。

未登録の取引先には、加入してもらうように交渉する必要があるため、委託先が加入業者であるかどうか確かめましょう。JWNETの公式サイトにある加入者検索ページで、加入者名や住所(都道府県)を入力すれば調べられます。

なお、検索で表示されるのは、JWNETのサイトに社名が掲載されるのを承諾した事業者に限られます。加入していてもJWNETのサイトに非公開の事業者もあるため、不明な場合は取引先に直接問い合わせるとよいでしょう。


出典:JWNET(https://www.jwnet.or.jp/jwnet/

2.加入単位を決める

排出事業者は、事業規模や業種に合わせて加入単位を選択できます。代表的な3つのパターンを以下の表でご紹介します。


加入単位 適しているケース 適した業種 データの閲覧権限 料金の支払い
1.排出事業場単位 マニフェストの登録件数が多い 製造業など 排出事業場ごと 排出事業場ごと
2.本社・支店・営業所の単位で加入
(管理も本社・支店・営業所の単位で行う)
インターネット環境がない工事現場など 建設業など 本社・事業場はほかの事業場のデータを閲覧可能 本社がまとめて支払う
3.本社・支店・営業所の単位で加入
(排出事業場ごとにサブ番号で管理)
事業場あたりのマニフェストの登録件数が少ない 製造業・小売業など 本社・事業場はほかの事業場のデータを閲覧可能 本社がまとめて支払う


排出事業場ごとに加入する1のパターンは、営業所や支店が多い業者に適した加入方法です。製造業で1のパターンを選択する場合は、工場単位で加入します。

各現場ごとにインターネットを設置しない建設業は、2のパターンを選択するのが一般的です。3のパターンでは、JWNETが設けているサブ番号の発行システムを利用し、本社が支店などにサブ番号を99件まで割り振って運用できます。

ただし、加入者サブ番号を付与されたすべてのユーザーがほかの事業場のデータにアクセスできるため、誤操作による情報の削除や書き換えに注意しましょう。

3.導入コストの確認

料金は、A料金とB料金の2パターンから選択します。料金プランの選択は、紙マニフェストの年間発行枚数が基準となります。2025年3月時点の利用料金を以下の表にまとめているため、導入する際の参考にしてください。


料金区分 対象者 基本料(年間) 使用料(1件あたり) 無料登録件数 特徴
A料金 大量のマニフェストを登録する排出事業者向け 26,400円 11円 なし 登録件数が2,401件以上になる場合にお得
B料金 少量のマニフェストを登録する排出事業者向け 1,980円 91件目から22円 90件まで無料 登録件数が2,400件以下ならA料金よりお得
C料金(団体加入) マニフェスト登録が少ない小規模事業者向け 110円 6件目から22円 5件まで無料 20者以上の団体加入が必要、利用代表者を通じて加入できる
(排出事業者が直接手続きすることはない)


出典:JWNET「利用料金」(https://www.jwnet.or.jp/jwnet/youshiki/payment/fee/index.html


年間で2,401件以上の件数を発行している事業者は、B料金よりもA料金を選択したほうが年間の費用を抑えられるでしょう。なお、1年間の基本料金が適用される期間は、4月から翌年3月までです。

年度の途中でJWNETに加入する場合、初年度の基本料金は申し込みをした月だけ無料となり、残りの期間は月割りで計算されます。さらに、団体加入向けのC料金というプランも選択肢として提示されています。

C料金は、登録件数が少ない排出事業者のために用意されている料金区分です。加入者1者の年間基本料金は110円(税込)で、使用料は5件まで無料、6件から22円(税込)の使用料がかかります。

C料金を利用するためには、以下にあげるような団体加入の条件を満たす必要があります。


・20者以上の排出事業者がまとまって加入する
・代表を務める者が団体の利用料金の支払い、加入・取り消し手続き、連絡の伝達などを取りまとめる

4.加入を申し込む

JWNETへの加入申し込みは、JWセンターの公式サイトからWebで手続きができます。申し込みフォームに必要事項を登録すると、メールで本登録用のURLと仮ユーザーID、仮パスワードが送付されます。

本登録用のページを開き、指示にしたがって入力を進めていけば、手続きは完了です。手続き後30分〜1時間ほどで、加入手続き完了の通知メールが届きます。通常は当日中に手続きが完了しますが、申し込みが21時以降の場合は翌日になります。

5.運用ルールを決める

電子マニフェストの運用には、排出事業者、収集運搬業者、処分業者が関わります。導入後スムーズな運用ができるように、委託先を含めて運用のルールを明確に決めておきましょう。

受渡確認票

収集運搬業者が産業廃棄物を運搬する際は、廃棄物の種類や受託者の氏名などの必要事項を記載した書類を携行することになっています。電子マニフェストの運用では、この書類を受渡確認票という形で作成するのが一般的です。

受渡確認票に決まった書式はなく、自社でオリジナルのものを作成しても問題ありません。ただし、JWNETの加入者は、公式サイトに掲載されているフォーマットを使用しているケースが多いようです。

JWNETで排出業者が電子マニフェストの情報を入力すると、受渡確認票を排出事業者、収集運搬業者、処分業者いずれも印刷できるようになります。登録後に受渡確認票を発行するルールについて、運用方法を決めておきましょう。

受渡確認票は紙の様式に限らず、運搬する乗務員がスマートフォンなどで電子データとして表示できれば問題ないとされています。

予約登録

電子マニフェストは、廃棄物を引き渡した日を除き、3日以内に登録することが定められています。電子マニフェストには予約登録のシステムがあり、事務手続きの効率化や登録忘れの防止策として、予約登録を活用している業者が多く見られます。

予約登録は、廃棄物の排出が予定された時点で、情報を登録できるシステムです。予約登録をすると、JWNETでマニフェスト番号が記載された受渡確認票を印刷できます。

排出事業者は廃棄物の排出後に本登録をおこないますが、本登録が済んでいないと委託先の収集運搬業者や処分業者が終了報告をできません。そのため、廃棄物の引き渡しから本登録までの日数をルールとしてあらかじめ決めておくとスムーズでしょう。

JWNETのフォーマットを使わずに独自の受渡確認票を用いる場合は、予約登録なしで本登録することも可能ですが、登録漏れのないように運用する必要があります。

数量確定者

紙のマニフェストでは、排出事業者が廃棄物の数量を入力することが義務づけられており、電子タイプの場合も同様です。排出元となる事業場に計量機器がなく、正確な数値を計測できないケースでは、概算の容量をマニフェストに登録します。

排出事業者は、数量確定者を収集運搬業者や処分業者に設定することが可能で、委託先で正確に計量された数量が確定値として電子マニフェストに反映されます。数量確定者をどの事業者に設定するのか、委託先と事前にすり合わせをおこなっておきましょう。

6.説明会を実施する

導入にあたって、社内での説明会を開き、実務担当者に業務フローや操作方法を伝達しましょう。とくに、加入者サブ番号を使用する運用は最大100名まで操作ができるため、ミスによる誤登録や誤削除が起こりやすいです。

導入後も運用ルールが守られているか定期的にチェックを行い、ルールの定着を図りましょう。


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電子マニフェストを導入する際の注意点

電子マニフェストの導入をスタートする排出事業者は、円滑に運用開始できるように、これからお伝えする事項に注意してください。

導入に時間がかかる

電子マニフェストは、申し込み後にJWNETから「加入手続き完了のお知らせ」というメールが届いた時点から利用可能です。通常は申し込みの当日から利用できますが、申し込みが21時以降になった場合は、手続き完了メールの送信が翌日になるため、即日の利用はできません。

収集運搬業者・処分業者の加入確認

電子マニフェストの運用には排出事業者のJWNET加入と、委託先となる運搬事業者、処分業者もすべてJWNETに加入していることが必要です。加入していない取引先がいると運用できないため、取引先の加入状況を事前に確認しておきましょう。

なお、電子マニフェストの利用率は年々増加を続けており、2025年3月10日時点におけるJWNETの加入者数は次のようになっています。


排出事業者 収集運搬業者 処分業者
JWNET加入者数 280,386 29,926 10,363
公開を承諾している加入者数 39,075 21,758 8,472


環境省は2018年に電子マニフェストの普及に向け、2022年度における電子マニフェストの普及率を70%にするという目標を掲げていました。多くの事業者が電子マニフェストの利用を進めた結果、2021年12月には電子マニフェストの普及率が70%を超え、環境省が設定したよりも早い段階で目標達成に至っています。

マニフェストの電子化率は2025年2月に86.2%まで達し、数多くの事業者が電子マニフェストの導入を推進していることが分かります。


出典:JWNET「登録件数・電子化率」(https://www.jwnet.or.jp/jwnet/about/regist/

まとめ

電子マニフェストの導入には、加入単位や料金タイプの決定、委託先のJWNET加入状況の確認など、さまざまな事前準備が必要です。加入手続きの流れを確認して、スムーズな導入を目指しましょう。

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