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木くずの処分で困らない!種類から処理方法まで徹底解説

木くずは、建設業・製造業・小売業など、さまざまな業種で発生する代表的な廃棄物のひとつです。ただし、木くずは発生した場所や性質によって「一般廃棄物」または「産業廃棄物」に分類されます。そのため、誤った方法で処分すると、廃棄物処理法違反となり、罰則の対象になる可能性がある点には注意が必要です。
この記事では、木くずの分類の見極め方をはじめ、処理やリサイクル方法、処理業者に渡す際の注意点までをわかりやすく解説します。木くずの処分でお困りの方は、ぜひ参考にしてください。
木くず処分の種類
先述したとおり、木くずは発生した場所や性質によって「一般廃棄物」または「産業廃棄物」のどちらかに分類されます。産業廃棄物は、廃棄物処理法で定められた20種類の区分のひとつで、これに該当しない場合は一般廃棄物として扱われます。
ここでは、木くずの分類を正しく見極めるために、種類ごとの具体的な基準や判断ポイントを詳しく解説します。
産業廃棄物
木くずはすべてが「産業廃棄物」に該当するわけではありません。事業活動にともなって排出される木くずが産業廃棄物として扱われるのは、特定の事業活動から発生したもので、廃棄物処理法で明確に定められたケースのみです。(廃棄物処理法施行令第2条第2号)
事業活動から出る木くずは排出量が多く、環境や周辺住民への影響が大きいため、法律による適切な管理が求められています。具体的には、次のようなケースが産業廃棄物に該当します。
・建設工事や造園工事で発生する木くず
例:建物の新築・改修・解体や橋の建設で出る木くず、道路や公園の整備時に出る剪定枝など
・木材関連の製造業などで出る木くず
例:製材所や家具工場で出る端材やおがくず、パルプ製造や木材の輸入卸売などの過程で出る木くず
・リース業で使用された木製の備品から出る木くず
また、貨物流通のために用いた木製パレットは、どの業種から出たものであっても、一律で産業廃棄物として扱う必要があります。産業廃棄物に該当する木くずは、必ず許可を受けた産業廃棄物処理業者に処理を委託しましょう。
出典:環境省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」|e-GOV法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137)
一般廃棄物
産業廃棄物に該当しない木くずは「一般廃棄物」として扱われます。主に家庭や事業所などから排出される木くずがこれにあたります。以下は、一般廃棄物として処理される木くずの具体例です。
・壊れた家具や梱包に使われた木材
使用後に不要となった木製家具や梱包材など
・流木
流木は「木くず」ではないため、一般廃棄物として扱われます。
・間伐材や伐採木
森林整備の一環として出る木くずで、間伐(森林密度を減らす)や伐採作業などにより発生したもの
・剪定枝
庭や花壇の手入れなどで剪定された枝。園芸業など日常的な手入れで排出された場合は一般廃棄物扱いですが、造園工事の一部として出た剪定枝は産業廃棄物になるため、区別が必要です。
一般廃棄物として分類された木くずは、各自治体の処理ルールにもとづいて対応します。誤って産業廃棄物として処理しないよう適切に分類しましょう。
PCBを含む物
PCB(ポリ塩化ビフェニル)が含まれている木くずは、どの業種から発生したものであっても「特別管理産業廃棄物」に該当します。特別管理産業廃棄物とは、爆発性・毒性・感染性などの性質を持ち、人の健康や環境に深刻な影響を及ぼすおそれのある廃棄物です。
PCBを含む木くずは、人体や環境に対して、非常に高い毒性を持っており、取り扱いを誤ると深刻な健康被害や環境汚染を引き起こすおそれがあります。そのため、通常の産業廃棄物よりもさらに厳しく管理・処分しなければなりません。
処理を行う際は、都道府県から「特別管理産業廃棄物収集運搬業および処分業」の許可を持つ業者に委託する必要があります。万が一、無許可の業者に依頼してしまった場合は、排出事業者にも法的責任が及ぶ可能性があります。
木くずを処分する方法
木くずの処分方法には、大きく分けてリサイクルと処分の2種類があります。ここでは、木くずを処分する方法について詳しく解説します。
リサイクル
木くずはそのまま捨てるのではなく、チップ化や堆肥化、燃料化などのリサイクル方法で再利用できます。木くずを有効な資源として再活用することで、廃棄物の量を抑えられるため、環境負荷の軽減につなげることが可能です。
事業系ゴミ回収業者イーブライトは、未来の地球のために再利用可能な資源のリサイクルを積極的に行っています。木くずの処分に関してお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
チップ化
チップ化とは、木くずを細かく砕いて木片状に加工するリサイクル手法です。木くずは、細かく砕いて木材チップに加工することで、さまざまな用途に再利用できます。
・製紙用パルプ:木材チップを原料としてパルプを作ることで、森林資源の消費を抑えられる
・ファイバーボードの原料:吸音性や断熱性のある顕在として内装や家具の部材に使われる
・ガーデン・園芸資材:ヒノキのチップは公園や庭に敷いて雑草を抑制し、土の乾燥を防ぐ
スギや広葉樹のチップは、生ごみを処理するコンポストの資材としても利用され、においや虫の発生を防ぐ効果があります。このように、木くずをチップ化したリサイクルにより、コスト削減・環境配慮・資源循環を同時に実現できます。
堆肥化
木くずは、堆肥として再利用できます。堆肥とは、生ごみや動物の糞などの有機廃棄物を微生物の力で分解・発酵させて作る、有機質肥料の一種です。堆肥を作るうえで水分バランスが重要で、木くずが活用されています。
・水分調整剤としての役割:木くずは、余分な水分を吸収する働きがあるため、発酵をスムーズに進めるための水分量の調整に役立つ
・パーク堆肥への利用:粉砕した樹皮に鶏ふんや米ぬかなどを加えて発酵させた植物性の堆肥。水はけや空気の通りがよくなるため、ふかふかの土を作る際に利用される
単なる廃棄物だった木くずが、リサイクルにより肥料原料として生まれ変わります。
燃料化
木くずは、バイオマス燃料としても再利用できます。木くずを燃焼、熱分解、発酵などの方法で処理し、バイオマスエネルギーとして活用する方法です。
バイオマスエネルギーとは、生物由来の資源を利用して得られる再生可能なエネルギーのことです。廃棄物をボイラーの燃料などに有効利用することで、廃棄コストの削減と環境保全を同時に実現できます。
とくに、木材を原料とするものは「木質バイオマス」と呼ばれ、不要になった木材を資源として活用できるのがメリットです。また、バイオマス燃料は石油や石炭などの化石燃料と違い、新たな二酸化炭素を排出しないため、地球温暖化の抑制にも貢献します。
処分
リサイクルできない木くずは、焼却施設で焼却するか、最終処分場で埋立て処理する必要があります。
埋立処理
廃棄物を最終的に処分する方法のひとつに「埋立処理」があります。埋立処理は、廃棄物を最終処分場に埋める方法です。
最終処分場は、廃棄物が環境に与える影響の大きさに応じて、安定型最終処分場、遮断型最終処分場、管理型最終処分場の3つに分けられます。木くずのように、安定型最終処分場では埋め立てできないものの、強い毒性を持たない廃棄物は管理型最終処分場で処理されます。
管理型最終処分場では、廃棄物が環境や人々に悪影響を与えないように、以下の設備を備えています。
・貯留施設
廃棄物が外に流れ出さないように保管する
・遮水設備
汚水が地面にしみ込まないように防水シートなどで覆う
・集水設備
浸出水を集め、適切に処理する
・ガス抜き設備
廃棄物から出るガスを安全に外に逃がす
これらの設備を利用して、廃棄物が安全に処理されるよう管理されています。
焼却処理
木くずは、焼却処理によって処理することも可能です。焼却施設で木くずを焼却することで、廃棄物の容量を減らし、病原体の死滅や有害物質の除去により、安定化や無害化を図る処分方法です。
近年では、焼却時に発生する熱エネルギーを回収し、発電や給油などに再利用する「サーマルリサイクル」を取り入れている施設も見られます。
木くずを処分する際の確認事項
木くずの処分方法を誤ると、法律違反や追加の処理費用が発生するおそれがあります。事前に木くずが一般廃棄物か産業廃棄物かを把握・分別し、適切な業者への依頼が重要です。以下で、木くずを処分する際の注意点を解説します。
木くずに泥がついている場合は事前に落とす
木くずに泥や土が付いている場合、できるだけ事前に取り除きましょう。
泥や異物が付いたままで排出すると、分別や処理に余計な手間がかかり処理費用が増えるだけでなく、処理業者から受け入れを断られることもあります。産業廃棄物は、排出した事業者が適切に分別・処理する責任を負っているため、未処理のままの排出はリスクにつながります。
金属・プラスチックは分解・分別して廃棄する
木くずに金属やプラスチックが混ざっている場合は、廃棄前に適切に分別しましょう。木くず以外の素材が混じっていると、処理が難しくなり、再資源化ができなくなるおそれがあります。
一般廃棄物か産業廃棄物かの確認
木くずには一般廃棄物と産業廃棄物の2種類があります。木くずの種類によって処理方法や依頼する処理業者が異なるため、どちらに該当するかを事前に確認しておきましょう。
誤って処分してしまうと、法律違反となるリスクがあるため、分からない場合は専門の処理業者や自治体への相談をおすすめします。
木くず処分の費用を事前に確認する
木くずの処分費用は、事前に確認しておきましょう。木くずが産業廃棄物か一般廃棄物かによって、依頼する業者や処理方法、費用が異なります。
一般廃棄物の場合は、ゴミ処理場に持ち込むか、業者に依頼して処理します。処理費用は事前に確認し、納得してから手続きを進めましょう。
産業廃棄物の場合は、専門の産業廃棄物処理業者への依頼が必要です。業者ごとに料金が異なるため、木くずの種類に応じた見積もりを取ってから、慎重に業者を選定します。
また、費用が安い業者に依頼しても、許可を持っていない業者に頼むと法律違反になります。「安い=安心」ではないため、必ず業者の許可証を確認し、適法に処理を行っている業者選びが重要です。
事業系ゴミ回収業者イーブライトでは、計量器付きパッカー車を導入することで、廃棄物の正確な排出量管理を可能にし、処分費用を明確に提示します。木くずの処分に関してお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
木くずを適切に処分するためには「一般廃棄物」と「産業廃棄物」かを正確に見極め、分類に応じた処理方法と業者の選定が必要です。分類を誤ると、廃棄物処理法違反や追加費用の発生といったトラブルにつながるおそれがあります。
木くずは、適切な方法で処理すれば、チップ化・堆肥化・燃料化など、再資源として有効活用することも可能です。事前に泥や異物を除去したり、業者の許可を確認したりといった基本的な準備を行うことで、処理コストの削減やリサイクル率の向上にもつながります。
事業系ゴミ回収業者イーブライトは、企業様から出る廃棄物の収集から分別、リサイクルまでを一貫して行うサービスを提供しています。破砕処理を行ったうえで、廃プラスチック類・木くず・紙などの再資源化が可能な素材は、燃料化や原料化などを通じて再資源化を実現しています。
一方で、再利用が難しい廃棄物については、安全・適正な方法で最終処分場へ運搬し、埋立処理を行っています。定期回収にも対応しているため、まずはお気軽にお問い合わせください。