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繊維くずの正しい捨て方とは?分類・リサイクル・処分方法を徹底解説!

衣類や布製品から出る繊維くずは、日常的に発生する廃棄物のひとつです。しかし、繊維くずの処分方法にはルールがあり、正しい捨て方を知らないと環境に悪影響を及ぼす可能性もあります。

とくに事業から排出される「繊維くず」は、排出される業種や素材によって「事業系一般廃棄物」「産業廃棄物」に分かれ、処理ルールが複雑です。分類を誤ると、回収を断られるだけでなく、法令違反のリスクも発生します。

この記事では、繊維くずの種類や見分け方から、リサイクルの方法、処分の流れまでを解説します。


繊維くずとは?定義と分類

繊維くずとは、産業廃棄物20種目のなかのひとつで、木綿や羊毛、布などの繊維素材を使った製品を作るときや、建設工事の現場などで出てくる繊維状のごみのことです。代表的には、布の切れ端や畳の表面材、じゅうたんの端材などが該当します。

全国では、年間約89,000トンの繊維くずが発生しています。そのうち約58%はリサイクルされ、約28%は焼却などで減量化され、残りの約14%が最終的に埋め立て処分されています。

繊維くずは適切に分別・処理することで、半数以上を資源として再利用できる可能性のある廃棄物です。社内で分別ルールや処理体制を整えれば、環境負荷を抑えながら廃棄コストの削減も実現できます。

出典:環境省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」|e-GOV法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137

出典:環境省「令和5年度事業 産業廃棄物排出・処理状況調査報告書 令和4年度速報値(概要版)(https://www.env.go.jp/content/000220694.pdf


繊維くずの具体例

ここでは、繊維くずが発生する主な現場と該当する例を紹介します。

発生場所 繊維くずの具体例
建設現場(建物の新築・改築・解体など) 布の切れ端、ロープ、畳、じゅうたんなど
繊維工業(衣服以外の繊維製品を製造する工場など) 糸くず、木綿や麻の切れ端、レーヨンのくずなど
特定の条件で産業廃棄物となるもの PCB(有害物質)が染み込んだ天然繊維のくずなど


繊維くずの分類

繊維くずと言っても、その処分方法は一律ではなく、排出された業種や素材によって異なります。法律では、繊維くずの種類に応じて「産業廃棄物」と「事業系一般廃棄物」に分類され、それぞれに適切な処理が求められます。

廃棄物処理法(廃棄物の処理および清掃に関する法律施行令)では、以下のものが「産業廃棄物」と定義されています。


・建設工事(新築・改修・解体など)で発生した繊維くず

・衣類を除く繊維工業の製造工程で発生した繊維くず

・PCB(ポリ塩化ビフェニル)を含む天然繊維のくず


これらに当てはまらない繊維くずは「事業系一般廃棄物」として扱われ、市区町村のルールに従って処理する必要があります。たとえば、オフィスなどから出る少量の繊維くず
などが該当します。

また、ナイロンやアクリルなどの合成繊維は繊維くずではなく「廃プラスチック類」に分類され、処分方法も異なります。自社の繊維くずの扱いが不明な場合は、自治体や専門業者に早めに相談し、適切な処理方法を確認しましょう。


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繊維くずのリサイクル方法

繊維くずは、適切に分別すれば再資源化が可能です。環境負荷の軽減だけでなく、廃棄コストの削減にもつながるため、企業にとって実務的なメリットがあります。ここでは、繊維くずの主なリサイクル方法を紹介します。


マテリアルリサイクル

マテリアルリサイクルとは、繊維くずをもう一度素材としてリサイクルする方法です。

たとえば、工場から出る布の切れ端を細かく裁断し、工業用の雑巾(ウエス)として活用したり、反毛して糸に戻し、新たな織物の原料にしたりする事例があります。クッションの中材や、巾着袋のような小物に加工されるケースもあります。

マテリアル(=素材)の名称どおり、素材の性質を保ったまま再利用するのが特徴です。環境への負担が少なく、持続可能な資源循環を実現できます。

ただし、汚れがひどい場合や、異なる素材が混ざっているとリサイクルが難しくなります。そのため、社内での適切な分別体制が重要です。あらかじめ仕分けることで、再利用の可能性が広がり、処理コストの削減にもつながります。


サーマルリサイクル

サーマルリサイクルとは、ごみを焼却した際に発生する熱エネルギーを回収・活用する方法です。この熱を使って発電したり、工場のボイラーを稼動させたり、施設に温水を供給したりといった活用が可能です。

繊維くずの一部は、RPF(固形燃料)として再資源化されます。RPFは、繊維くずに加え、紙類やプラスチックを混合・圧縮して作られ、鉄鋼や製紙、セメント工場などで使われています。

RPFは廃棄物由来の燃料で、環境負荷を軽減しながら高効率なエネルギー供給が可能です。さらに、CO₂の排出削減にもつながります。石炭のような化学燃料よりコストを抑えられ、燃焼後に発生する灰の量も少ない点がメリットです。


ケミカルリサイクル

ケミカルリサイクルは、繊維くずのような廃棄物を化学的に分解し、原材料に戻して再利用する方法です。たとえば、ポリエステルなどの合成繊維を成分レベルまで分解し、新たな繊維やプラスチックの原料として再生します。

ケミカルリサイクルの大きな特徴は、通常のリサイクルでは難しい素材でも、元の品質に近い状態へ再生できる点です。見た目や使い心地も新品に近く、再生品への抵抗感が少ないのもメリットです。

一方で、分解や精製といった工程に高度な技術が必要なため、コストがかかりやすいといった課題もあります。それでも、繊維を原料に戻して再利用する取り組みは、資源の有効活用や環境負荷の軽減に貢献し、サステナブルな社会の実現に向けた技術として注目されています。


その他

繊維くずの再利用は、大規模なリサイクル設備がなくても可能です。

たとえば、使用可能な布製品は、クリーニングや補修をすれば、中古衣類として再び流通させられます。リユース品として古着店で販売されたり、海外の支援団体を通じて発展途上国で活用されたりしています。近年は、企業のユニフォームやスポーツウェアにも、再生繊維を取り入れる例が増加中です。

さらに、傷みが激しい布でも、綿をはじめとする天然素材であれば、畜産の現場で敷きわらとして再利用されます。たとえば、牛や豚の寝床に敷いた後、使用済みの布は堆肥として土壌に還元されるなど、再利用の幅は広がっています。


リサイクルできない繊維くずの処分方法とは?

汚れが著しいものや、複数の素材が混在している繊維くずはリサイクルが難しいため、以下の工程を経て最終処分されます。


1. 破砕処理
処分をしやすくするために、繊維くずは細かく破砕されます。これにより焼却の効率が向上し、埋め立て時の体積も削減されます。


2. 焼却処理
破砕された繊維くずは、焼却炉で燃焼処理されます。焼却によって有害物質を無害化し、廃棄物の体積を大幅に減少させます。


3. 埋め立て処理
焼却後に発生する灰や燃え残りなどは、最終処分場へ運ばれて埋め立てられます。


有害物質の含有量に応じて処分場の種類が異なります。含有量が少ない場合は、管理型最終処分場での埋め立てが可能です。反対に、有害物質が多く含まれる場合は遮断型最終処分場にて、外部環境と完全に隔離された状態で処理されます。

とくにPCBが含まれる繊維くずは、国の許可を受けた専門業者による無害化処理が義務づけられています。法令違反やリスクを避けるためにも、処理業者は実績と許可を確認したうえで慎重に選定しましょう。


繊維くずを処分するときの産業廃棄物処理業者の選び方

繊維くずは、ごみを出した企業の業種や繊維くずの種類によって、一般廃棄物か産業廃棄物、あるいは廃プラスチック類のような異なる分類となるか判断が難しい廃棄物です。

処理を業者に委託していても、処分方法に不備があれば排出企業も法的責任を問われる可能性があります。不法投棄が発覚すれば、信用失墜や行政指導などの問題にもつながりかねません。

ここでは、産業廃棄物処理業者を選ぶときに確認しておきたいポイントを紹介します。


産業廃棄物収集運搬許可証の有無

業者が「産業廃棄物収集運搬許可証」を保有しているか確認しましょう。この許可証は、法律にもとづき自治体が発行するもので、業者が適切に産業廃棄物を取り扱えることを示します。

許可証の有効期限や、対象地域、扱える廃棄物の種類に繊維くずが含まれているかも必ずチェックしましょう。

繊維くずは天然繊維であっても、一般廃棄物と産業廃棄物に分かれ、合成繊維は廃プラスチック類に該当する場合があります。無許可業者に委託すると、排出者である企業も処罰対象となるため注意が必要です。


適正価格かどうか

価格も業者選びで大切なポイントです。極端に安価な見積もりには注意しましょう。

なかには不適正な処理や追加請求がトラブルにつながるケースもあります。複数社から見積もりを取り、処理内容と料金を比較すれば、トラブルのリスクを抑えられます。


過去の実績と信頼性

過去の処理実績や顧客からの評価も確認しておきましょう。公式サイトやパンフレットで実際の処理事例を紹介している業者や、お客様からの評価が高い業者は透明性が高く、信頼に値します。

信頼性の高い業者選びは、法令順守だけでなく、企業としての社会的責任や環境への配慮にもつながります。


イーブライトでは、産業廃棄物処理のサービスに関するお見積りを承っております。
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まとめ

オフィスや工場から排出される繊維くずは、産業廃棄物か一般廃棄物かによって処理方法が異なります。たとえば、建設現場や特定の製造工程から出る繊維くず、PCBのような有害物質が染み込んだものは「産業廃棄物」に分類されます。一方、縫製工場の布の切れ端やオフィスから出る少量の繊維くずは「事業系一般廃棄物」です。

また、ナイロンやアクリルなどの合成繊維は、繊維くずではなく廃プラスチック類として扱われます。繊維くずは、適切に分別すればリサイクルの可能性が高まり、処理コストの削減にもつながります。

ただし、処理方法の誤りや不適切な業者への委託は、法律違反につながるおそれがあるため注意が必要です。

イーブライトでは、飲食店、美容室、歯医者、オフィス、企業など、さまざまな業種・業態で産業廃棄物・一般廃棄物処理のサービスを提供しております。繊維くずをはじめ、がれき類や廃プラスチック類などの収集・分別・リサイクルを一貫して対応し、環境に配慮した廃棄物処理を実現しています。

また、計量器付きパッカー車を使用して、廃棄物の排出量を可視化し、処分費用を透明化することで、コスト管理も安心です。繊維くずの処理でお悩みの際は、イーブライトまでご相談ください。

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