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焼き鳥屋の開業計画と準備の進め方丨必要な資金・資格や成功のポイントを解説
焼き鳥屋は飲食店のなかでも参入しやすい業態として、脱サラ独立を目指す方に根強い人気があります。しかし、熱意だけで開業しても、資金計画の甘さや準備不足が原因で早期閉店を余儀なくされるケースは少なくありません。
この記事では、焼き鳥屋の開業を検討している方に向けて、メリット・デメリットから必要な資金・資格、開業の流れ、成功のポイントまでを詳しく解説します。
また、開業後に多くのオーナーが見落としがちな「事業系ゴミの処分ルール」についても解説しますので、ぜひ最後までご一読ください。
飲食店の開業で焼き鳥屋を選ぶメリット
飲食店の開業先として焼き鳥屋が選ばれる理由は、ほかの業態にはない、いくつかの明確な強みがあるからです。以下に代表的なメリットを解説します。
【需要が安定している】
焼き鳥は、老若男女を問わず、長年にわたって親しまれている国民食のひとつです。食の流行に左右されにくく、居酒屋利用、仲間との飲み会、テイクアウトなど、あらゆるシーンで需要が生まれます。
景気の波に比較的強く、安定した集客が期待できる点は、開業を検討する方にとって大きな安心材料となるでしょう。
【仕入れ原価を抑えやすい】
焼き鳥の主材料である鶏肉は、牛肉や豚肉と比較して仕入れ価格が安定しており、かつ比較的安価です。串1本あたりの食材コストを抑えながら、お酒の注文による客単価アップも期待できます。適切な価格設定ができれば、利益率を高く維持しやすい業態といえます。
【仕込みや調理の手間が少ない】
ラーメン屋のように何時間もスープを煮込む必要がなく、素材を切って串に打ち、タレや塩で焼くというシンプルな調理工程が基本です。調理技術の習得がほかの業態と比べて容易であるため、飲食業未経験の方でも取り組みやすいという声が多く聞かれます。
【小規模な店舗でも開業できる】
カウンター中心の7〜10坪程度の小さな店舗でも十分に開業できます。大型の厨房設備も不要なため、物件取得費や内装工事費を大幅に圧縮できます。初期投資を抑えてスモールスタートしたい方にとって、焼き鳥屋はとくに向いている業態です。
焼き鳥屋開業を選ぶデメリット
メリットが多い一方で、焼き鳥屋には開業前に把握しておくべきリスクや課題もあります。冷静な判断材料として確認しておきましょう。
【競合となる業態や店舗が多い】
「開業しやすい業態」であることの裏返しとして、競合店舗の数も多い点は覚悟が必要です。大手の低価格チェーンから個人の隠れ家的な名店まで、多種多様な競合が存在します。価格競争に巻き込まれると利益が圧迫されるため、差別化戦略なしに開業しても生き残りは難しいといえます。
【売上が立地に左右されやすい】
焼き鳥屋は主に夜の飲食需要をターゲットとするため、人通りや会社員の多いエリアかどうかが売上に直結します。物件の家賃を節約しようとして人通りの少ない場所を選ぶと、集客に苦労するケースも少なくありません。立地選びは、開業成否を左右する最重要課題のひとつです。

焼き鳥屋の開業と経営に必要な資金
焼き鳥屋の開業を計画するうえで、まず全体感をつかんでおきたいのが「いくらかかるのか」という資金の問題です。資金不足は開業後の経営を直撃するため、初期費用と運転資金の両面から現実的な数字を把握しておきましょう。
初期費用
焼き鳥屋の開業に必要な初期費用の目安は、一般的に500万〜1,000万円程度といわれています。ただし、この数字は物件の状態(居抜きかスケルトンか)や店舗の坪数によって数百万円単位で大きく変わります。
日本政策金融公庫の「2024年度新規開業実態調査」によると、新規開業において500万円未満に抑えたケースも41.1%存在しており、スモールスタートは決して不可能ではありません。
主な初期費用の目安は以下のとおりです。
| 初期費用の種別 | 目安金額 |
|---|---|
| 物件取得費(保証金など) | 家賃の3〜12か月分 |
| 内装・改装工事費 | 居抜き物件で約105万〜350万円、スケルトン物件で約210万〜560万円 |
| 厨房機器・設備費 | 約90万円(物件形態により異なる) |
| 什器・備品費 | 40万円~(物件形態により異なる) |
| 広告・宣伝費(開業時) | 20万〜30万円程度 |
居抜き物件とは、前のテナントが使っていた厨房設備や内装をそのまま引き継ぐ物件のことです。初期費用を大幅に削減できる一方、焼き鳥屋は煙の発生が多い「重飲食」業態にあたるため、排煙設備の条件を事前に確認することが重要です。
また、スケルトン物件の場合でも、ダクト工事費が予想を超えることがあるため、あらかじめ施工業者への見積もりを取っておくことをおすすめします。
出典:日本政策金融公庫ウェブサイト(https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kaigyo_241127_1.pdf)
運転資金
開業時に見落とされがちなのが、開業後しばらくの運転資金です。売上が安定するまでには数か月かかるケースが多く、その間の家賃・人件費・仕入れコストなどをカバーする資金が必要になります。
月々の主な固定費の目安は以下のとおりです。
| 固定費の種別 | 目安金額 |
|---|---|
| 家賃 | 売上の7〜10% |
| 人件費 | 売上の28〜30% |
| 食材・仕入れ費 | 売上の30〜35% |
| 水道光熱費 | 売上の8% |
| 広告宣伝費 | 売上の6% |
運転資金として準備する期間については、リスク管理の観点から月額固定費の6か月分を推奨するケースと、最低3か月分とするケースの両方があります。開業後の売上が読めない段階では、6か月分を目安に準備しておくと安心です。最低でも3か月分は必須と考えておきましょう。
また、ダクト清掃や害虫駆除、設備の突発的な修理など、予期せぬ出費が生じることも想定しておく必要があります。余裕を持った資金計画が、開業後の安定経営への第一歩です。
焼き鳥屋の開業スタイル丨独自ブランドかフランチャイズか
焼き鳥屋の開業にあたって、どの経営スタイルを選ぶかは開業後の方向性を大きく左右します。大きく分けると「独自ブランド」と「フランチャイズ」の2つがあり、それぞれに明確なメリットとデメリットがあります。
独自ブランドのメリット・デメリット
独自ブランドとは、屋号からメニュー・内装・コンセプトまで、すべて自分で決める経営スタイルです。
【メリット】
自由度が最大限に発揮できるのが、独自ブランドの最大の強みです。自分のこだわりや世界観をそのまま店づくりに反映でき、独自タレや希少部位の仕入れなど、差別化の方法を自在に選べます。また、ロイヤリティの支払い義務がないため、利益をそのまま手元に残せます。
【デメリット】
ノウハウをゼロから自力で構築しなければならないため、初期の試行錯誤に時間とコストがかかります。認知度もゼロからのスタートとなるため、集客に苦戦する期間が生じる可能性があります。
フランチャイズのメリット・デメリット
フランチャイズとは、既存の焼き鳥ブランドに加盟し、その看板・レシピ・運営ノウハウを使って開業するスタイルです。
【メリット】
すでにブランド認知度があるため、開業当初から集客しやすいのが最大のメリットです。本部から提供されるマニュアルや研修制度を活用できるため、飲食業の経験が少ない方でもスムーズに開業できます。
【デメリット】
加盟金やロイヤリティの継続的な支払いが発生し、メニューや営業方針に制約が生じることがあります。自分のこだわりを自由に打ち出したい方には、不向きな場合があります。
なお、近年では「フリーネーム(屋号は自由・レシピやノウハウはFC提供)」という第三の選択肢も登場しています。こだわりと運営ノウハウの両立を目指したい方は、こうした新しい選択肢も検討してみるとよいでしょう。
焼き鳥屋を開業するまでの準備と流れ
焼き鳥屋の開業は、思い立ってすぐに始められるものではありません。遅くとも、開業希望日の6か月前から計画的に動き始めることが重要です。以下に開業までの主なステップを解説します。
1:市場調査を行う
まず、開業を考えているエリアの競合店舗数、ターゲット層、人通り・人流などを徹底的に調査します。
昼夜の人流の違いや、近隣にオフィスや住宅がどれだけ集まっているかによって、客層と売上の傾向は大きく異なります。実際に現地に何度も足を運び、時間帯を変えて観察することが大切です。
2:お店のコンセプトと事業計画を立てる
市場調査の結果をもとに「どんな人に、どんな価値を、どのような価格で提供するのか」というコンセプトを明確にします。コンセプトが定まると、物件探し・メニュー構成・内装・集客方法のすべてに一貫性が生まれます。
あわせて、売上・費用・利益の見込みを数字で示す事業計画書を作成しましょう。事業計画書は融資を受ける際にも必須の書類です。
こちらの記事では、飲食店のコンセプトの決め方について解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
3:店舗づくりを進める
コンセプトに合った物件を探し、内装・設備工事を進めます。焼き鳥屋は「重飲食」に分類されるため、物件によっては「重飲食不可」の制限がある場合があります。契約前に必ず確認しましょう。
また、排煙ダクトの設置・改修は費用がかさむことがあるため、施工業者への事前見積もりを怠らないようにしてください。
4:メニューと仕入先を決める
焼き鳥のメニュー構成と、食材・調味料の仕入れ先を確定させます。
タレや塩だれは、お店の個性を決める核心的な要素です。複数の仕入れ先を比較検討し、品質とコストのバランスが取れた選択をしましょう。
仕入れコストは原価率に直結するため、経営の安定性にも大きく影響します。
5:資格や許可を取得する
焼き鳥屋を開業するには、以下の資格・許可が必須です。
食品衛生責任者:飲食店を開業するには、1店舗につき最低1名の食品衛生責任者を置くことが食品衛生法で義務付けられています。各都道府県の食品衛生協会が実施する講習会(1日受講)で取得可能です。調理師や栄養士などの資格保有者は受講が免除されます。
営業許可(食品営業許可):管轄の保健所に申請し、店舗の設備検査に合格する必要があります。申請から許可取得まで2〜3週間かかるため、開業日から逆算して早めに動き始めましょう。事前に保健所へ相談しておくと、図面の作成や設備配置の確認をスムーズに進められます。
- 防火管理者:収容人数が30人以上の飲食店では、防火管理者の選任が義務付けられています。規模によっては甲種・乙種の違いがあるため、消防署に確認しましょう。
- 深夜酒類提供飲食店営業届出:深夜0時以降にアルコールを提供する場合は、開業の10日前までに所轄の警察署へ届け出が必要です。
6:スタッフを採用する
開業規模によっては、アルバイトや社員スタッフの採用が必要です。採用には求人掲載費や研修期間が必要となるため、開業予定日の1〜2か月前には採用活動を開始しましょう。
フランチャイズの場合は本部の研修制度を活用できますが、独自ブランドの場合はオーナー自身が教育を担うことになります。業務マニュアルをあらかじめ作成しておくと、スタッフへの指示が一貫しやすくなります。
7:プレオープンや宣伝を行う
正式オープンの前に、知人・友人を招いたプレオープンを行うのがおすすめです。実際の営業を想定した動線確認やメニューの最終調整ができ、本番前に問題点を洗い出す絶好の機会となります。
また、開店前からSNS(InstagramやX)で店の雰囲気やメニューの写真を発信し始めることで、オープン前から期待感を高めることができます。焼き鳥のシズル感(香ばしい煙・照りのあるタレ・炭火の映像など)はSNSでとくに反響を呼びやすい素材です。
さらに、Googleビジネスプロフィールへの登録も早めに行っておきましょう。
焼き鳥屋の開業を成功させるためのポイント
長く続く繁盛店にするためには、日ごろの経営努力が欠かせません。成功している焼き鳥屋に共通する取り組みを紹介します。
ターゲットの集客が見込める立地を選ぶ
立地は焼き鳥屋の集客に直結します。必ずしも一等立地(駅前の路面店)でなくても成功できますが「目的を持って来てくれる客層がいるか」を事前に見極めることが重要です。
会社員が多い地域であれば仕事終わりの一杯需要が見込め、住宅街であれば地域密着型の常連客を育てることができます。
また、焼き鳥屋は煙や臭いが発生しやすい業態であるため、近隣住民とのトラブル防止の観点からも、開業前に煙対策や換気設備の充実を図ることが大切です。ゴミの保管場所が周辺に悪印象を与えないよう、店舗周辺の衛生管理にも配慮しましょう。
競合との差別化ポイントを作る
競合が多い業態だからこそ「この店でしか味わえない」という独自性が重要です。希少部位の取り扱い、オリジナルのタレ、産地にこだわった食材、特定の職人による手串など、差別化の切り口はさまざまです。
安売りによる価格競争に巻き込まれるよりも、提供する価値(体験・希少性・こだわり)で選ばれる店を目指しましょう。
コストパフォーマンスの高い料理を提供する
「安いだけ」でも「高いだけ」でも長続きしません。食材の仕入れコストを抑えながら、調理の工夫と盛り付けで「この価格でこのクオリティ」と感じてもらえる料理を提供することが、リピーターを生む鍵です。
原価率を適切にコントロールしながら、お客様にとっての満足度が高い一皿を追求し続けましょう。
開店前からしっかりと集客対策を行う
開店してからお客様を集め始めるのでは遅いケースがあります。オープンの1〜2か月前からSNSで情報発信を行い、地域のグルメ情報サイトへの掲載申請も進めておきましょう。チラシのポスティングや近隣店舗へのあいさつ回りも、地域密着型の集客において効果的です。
開業後もGoogle口コミへの積極的な対応や、来店客のSNS投稿を促す仕掛けを取り入れることで、口コミによる自然な集客の流れを作ることができます。
見落としがち!焼き鳥屋のゴミ処分ルール
開業準備の中で見落とされやすいのが、事業系ゴミの処分ルールです。焼き鳥屋で発生するゴミは「事業系ゴミ」として扱われ、家庭ゴミとはまったく異なるルールが適用されます。
事業系ゴミには大きく分けて「事業系一般廃棄物」と「産業廃棄物」の2種類があります。事業系一般廃棄物とは、焼き鳥屋から出る生ゴミ・紙くず・廃食用油(一定条件を満たすもの)などが該当します。産業廃棄物とは、廃プラスチック類・金属くずなど、廃棄物処理法で定められた20種類に分類されるものです。
重要なのは、これらの事業系ゴミはいずれも、地域の家庭用ゴミ集積所には出せないという点です。廃棄物処理法では「排出者処理原則」が定められており、事業者は自らの責任でゴミを適切に処理しなければなりません。
万が一、家庭用のゴミ集積所に事業系ゴミを不法投棄した場合には、廃棄物処理法違反として5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金(法人の場合は3億円以下の罰金)が科される可能性があります。
現実的な対応策として一般的なのは、行政の許可を受けた廃棄物処理業者に収集を委託することです。その際「ゴミの種類によって、必要な許可が異なる」点に注意しましょう。事業系一般廃棄物を処理できるのは「一般廃棄物収集運搬業許可」を持つ業者のみであり、産業廃棄物については「産業廃棄物収集運搬業許可」を持つ業者への委託が必要です。
業者に委託することで、ゴミの保管管理の手間を削減でき、法令遵守の観点からも安心して営業に集中することができます。開業準備の段階で、自店舗から発生するゴミの種類を把握し、対応業者をあらかじめ選定しておきましょう。
出典:e-GOV法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137)
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まとめ
焼き鳥屋の開業は、参入障壁の低さと安定した需要から、独立開業を目指す方にとって魅力的な選択肢です。しかし、成功するためには資金計画・立地選び・差別化戦略・法令遵守など、事前に押さえるべき知識が数多くあります。
とくに「事業系ゴミの適切な処理」は開業後に慌てることのないよう、開業準備の段階から専門業者への委託を検討しておくことが大切です。
廃棄物処理に関してお困りの際は、ぜひイーブライトにご相談ください。一般廃棄物・産業廃棄物の両方に対応しており、飲食店オーナーの皆さまが安心して本業に集中できるようサポートしております。