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クレープ屋の開業を成功させるには?必要な資金・資格や店舗づくりのポイント
クレープ屋は、老若男女を問わず愛されるテイクアウトスイーツの定番です。調理工程がシンプルで初期費用も比較的抑えられることから、飲食店の開業を検討している方に人気の業態のひとつです。
とはいえ、開業を成功させるためには費用の見積もりや資格の取得、立地選びなど、事前に押さえておくべきポイントが数多くあります。
本記事では、クレープ屋の開業に必要な資金・資格・許可を詳しく解説するとともに、見落としがちなゴミ処分ルールまでわかりやすくお伝えします。ぜひ参考にしてください。
飲食店開業でクレープ屋を選ぶメリット・デメリット
クレープ屋の開業を検討する際、まず確認しておきたいのがメリットとデメリットです。「なんとなく始めやすそう」というイメージだけで飛び込むと、開業後に想定外の壁にぶつかることがあります。冷静な判断材料として、ここでしっかり整理しておきましょう。
クレープ屋のメリット
クレープ屋には、ほかの飲食店にはない魅力的な強みがいくつかあります。
メリット1.調理工程がシンプルで習得しやすい
クレープは生地を薄く焼いて具材を包むというシンプルな工程で調理するため、レストランや居酒屋のように多品目の調理技術を習得する必要がありません。生地の焼き方を習得すれば、未経験者でも一定水準の商品を提供できます。
メリット2.設備投資が少なくすむ
クレープ専門店に必要な主な厨房機器は、クレープ焼き機・冷蔵庫・作業台・シンクなどに限られており、高額なオーブンや大型フライヤーは原則不要です。これは開業時の費用負担を抑えるうえで大きなアドバンテージになります。
メリット3.メニューのアレンジが自由にしやすい
クレープはトッピングの組み合わせ次第でオリジナルメニューを作りやすく、季節の果物や地元の特産品を取り入れることで差別化を図れます。定番の生クリーム&フルーツ系だけでなく、惣菜系クレープも展開できるため、ランチ需要も取り込めます。
メリット4.衝動買いを誘う特別感がある
クレープはスーパーや家庭で気軽に再現しにくい「特別感」のある食べ物であるため、テーマパークや商業施設、街角のクレープ屋を見ると思わず買いたくなる希少性があります。年間を通して一定の需要が見込めるのも心強いポイントです。
クレープ屋のデメリット
一方で、クレープ屋特有のデメリットもあります。事前に把握して対策を立てることが、開業成功への第一歩です。
デメリット1.客単価が低い
最大のデメリットは、客単価の低さです。クレープ1枚の販売価格は500〜800円程度が一般的で、高くても1,000〜1,500円ほどです。客単価が低い分、売上を確保するには販売数を相当数こなす必要があります。薄利多売のビジネスモデルであることは、開業前にしっかり認識しておきましょう。
デメリット2.回転率が悪い
クレープは注文を受けてから生地を焼き始めるため、1枚あたりの調理時間がかかります。行列ができても提供スピードに限界があり、待ちきれずに離脱する顧客が出ると、機会損失につながります。オペレーションの効率化は避けては通れない課題です。
デメリット3.食材ロスのリスクが高い
生クリームやフルーツなど、消費期限の短い食材を多く扱うため、在庫管理がシビアです。仕入れ量のコントロールやロスを最小限に抑える管理体制が、利益率を左右します。
クレープ屋の主な開業形態
クレープ屋の開業形態は、大きく「店舗販売」と「キッチンカー」の2つに分かれます。どちらが自分に向いているかは、資金力・経験・目指す営業スタイルによって異なります。それぞれの特徴を比較しながら、自分に合った形態を選びましょう。
店舗販売
固定の店舗を構えるスタイルは、安定した集客と信頼感の醸成に向いています。看板を出せる場所で継続して営業できるため、リピーターを獲得しやすく、地域に根付いたブランドを育てやすいのが強みです。
イートインスペースを設けることで、ドリンクや追加トッピングなどの客単価アップにもつなげられます。また、内装や店舗デザインにこだわることで、SNS映えするスポットとしての集客効果も期待できます。
ただし、物件の保証金・敷金・内装工事費など初期費用が大きくなる傾向があり、毎月の家賃という固定費も発生します。立地選びが売上を大きく左右するため、慎重な物件選定が必要です。
キッチンカー
キッチンカー(移動販売)は、店舗型に比べて初期費用を大幅に抑えられる点が最大の魅力です。賃料が発生しないため、ランニングコストも低く抑えられます。
また、出店場所を状況に応じて変えられる「機動性」はキッチンカーならではの強みです。人が多く集まるイベントや祭り、公園、商業施設の駐車場など、さまざまなシーンで活躍できます。
一方で、天候に左右されやすく、売上が不安定になりやすいデメリットがあります。出店場所によっては道路使用許可や出店許可が必要になることもあり、手続き面での準備も必要です。また「同じ場所に毎日いない」ことからリピーター獲得に工夫が求められます。
クレープ屋は個人経営とフランチャイズどちらがいい?
クレープ屋の開業には、すべて自分で作り上げる「個人経営」と、既存ブランドの看板を借りる「フランチャイズ」という2つの道があります。どちらが正解かは一概には言えません。自分の経験・資金・やりたいことに照らし合わせて、納得のいく選択をしましょう。
個人経営のメリット・デメリット
個人経営の最大の魅力は、自由度の高さです。メニューの内容・価格・営業時間・内装デザインなど、すべてを自分の思うとおりに決められます。「こういうクレープ屋を作りたい」という強いビジョンがある方には、個人経営が向いています。
ロイヤリティを支払う必要がないため、利益率を最大化できる点も見逃せないメリットです。努力が直接収益に反映されるため、やりがいも大きいでしょう。
ただし、ブランド力がゼロからのスタートになるため、集客に時間がかかる場合があります。また、メニュー開発・仕入れ・集客・スタッフ管理など、すべてを自力でこなす必要があり、ノウハウがない場合は立ち上げ期に苦戦することもあります。
フランチャイズのメリット・デメリット
フランチャイズの最大のメリットは、開業初日からブランド力を活用できる点です。すでに知名度のある看板を掲げることで、集客のスタートラインが有利になります。
本部からのレシピ・オペレーション・研修サポートもあるため、飲食業が初めての方でも安心してスタートを切りやすいのが特徴です。
一方で、月々のロイヤリティ(売上の一定割合)を本部に支払う必要があるため、利益率は個人経営より低くなりがちです。メニューや価格設定に制約があるため「独自のアイデアを形にしたい」という方には窮屈に感じることもあるでしょう。
加盟金・研修費など、開業前にまとまった費用が発生することも念頭に置いておく必要があります。
クレープ屋の開業にかかる費用
開業にかかる費用は、業態や規模によって大きく異なります。ここでは個人経営・フランチャイズそれぞれの費用の目安を内訳とともに紹介します。
個人経営の場合
個人経営の場合、開業形態(店舗型・キッチンカー)によって必要な資金は大きく異なります。それぞれの目安を内訳とともに確認しておきましょう。
店舗販売の開業資金
店舗型で個人開業する場合、初期費用の目安は1,000万〜2,000万円程度です。立地や物件の状態、内装のこだわり具合によってこの幅の中で大きく変わります。主な費用の内訳は、以下のとおりです。
| 種別 | 目安費用 |
| 物件取得費 | 300万〜500万円 |
| 内装・外装工事費 | 400万〜600万円 |
| 厨房機器・設備費・什器・備品費 | 200万〜300万円 |
| 食材初期仕入れ | 10万〜30万円 |
| 運転資金(3〜6か月分) | 120万〜300万円 |
居抜き物件(前テナントの設備が残っている物件)を選ぶと、工事費を大幅に抑えられる場合があります。
キッチンカーの開業資金
キッチンカーの場合は店舗型より初期費用を抑えやすく、350万〜700万円程度が目安です。主な費用の内訳は、以下のとおりです。
| 種別 | 目安費用 |
| 車両代(中古車ベース) | 50万〜300万円 |
| 架装・改造費 | 50万〜150万円 |
| 厨房機器費 | 50万〜150万円 |
| 運転資金(3か月分) | 120万〜300万円 |
中古車両をリノベーションすることで、開業コストを抑えられるケースも多くあります。
フランチャイズの場合
フランチャイズで開業する場合は、個人経営の費用に加えて加盟金・研修費・ロイヤリティが上乗せされます。店舗型・キッチンカーそれぞれの目安を見ていきましょう。
店舗販売の開業資金
フランチャイズで店舗型を選ぶ場合は、個人経営の初期費用に加えて加盟金・研修費などが上乗せされます。全体の目安は800万〜1,500万円程度です。加盟金は100万〜200万円程度、月次ロイヤリティは売上の3〜10%程度が一般的です。
キッチンカーの開業資金
フランチャイズのキッチンカー型は、車両代・架装費・加盟金を合わせて300万〜750万円程度が目安です。本部からの出店場所紹介や集客支援が受けられるため、開業初期のリスクを軽減できる面もあります。
複数のフランチャイズ本部を比較し、サポート内容と費用のバランスを見極めることが大切です。
クレープ屋の開業に必要な許可・資格
クレープ屋を開業するには、法律で定められた許可・資格の取得が必須です。営業を開始するうえで避けては通れない法的要件であるため、開業準備の早い段階から手続きを進めましょう。
食品衛生責任者
飲食店を営業するためには、施設ごとに「食品衛生責任者」を1名配置することが食品衛生法で義務付けられています。
食品衛生責任者になるには、各都道府県の食品衛生協会が実施する養成講習会(1日・6時間程度)を受講する必要があります。費用は1万円前後が目安です。調理師・栄養士・製菓衛生師などの資格を持っている場合は、講習を受けずに申請のみで取得できます。
重要なのは、この講習会の予約が1か月以上先まで埋まっていることもある点です。開業日から逆算して、早めに受講スケジュールを確認・予約することをおすすめします。
出典:一般社団法人東京都食品衛生協会(https://www.toshoku.or.jp/training/)
飲食店の営業許可
クレープ屋を営業するには、店舗の所在地を管轄する保健所から「飲食店営業許可」を取得する必要があります。2021年6月の食品衛生法改正以降、クレープ屋を含む多くの業態は「飲食店営業」の許可に統合されています。
許可取得の主な流れは以下のとおりです。
・事前相談:工事着工前に図面を持参し、保健所に設備基準を確認する
・施設整備:手洗い設備・シンクの設置など、基準を満たした厨房を完成させる
・営業許可申請:施設完成の約10日前までに申請書を提出する
・施設検査:保健所の職員が実際に店舗を確認する
・許可証の交付:検査に合格すると許可証が発行される
キッチンカーで営業する場合は、出店場所の都道府県ごとに許可が必要になる場合があります(例:都内全域で営業できる許可を東京都で取得するなど)。
また、道路上での営業には「道路使用許可」が、公園内での営業には公園管理者への申請が必要になるケースがあります。
許可取得に関わるルールは自治体によって異なるため、必ず店舗所在地を管轄する保健所に事前相談することをおすすめします。
出典:東京都保健医療局「営業許可・届出の概要」(https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/kyokatodokede/youshiki.html)
出典:東京都保健医療局「自動車での営業」(https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/kyoka/kyoka_4.html)
クレープ屋の開業を成功させるためのポイント
許可・資格の取得や資金の準備が整ったら、次は「どう売っていくか」を考える段階です。クレープ屋の開業を長期的に成功させるためには、開業前から戦略を持って動くことが重要です。
ターゲットとコンセプトを明確にする
「誰に、どんなクレープを売るか」を最初に明確にすることが、すべての出発点になります。
たとえば、学生が多い商業エリアならボリューム重視のお得なメニュー展開が有効です。一方、大人の女性をターゲットにする場合は、季節のフルーツや国産素材にこだわった高単価路線が響きやすいでしょう。
ターゲットとコンセプトが決まれば、メニュー・価格・内装・集客方法のすべてに一貫性が生まれます。
集客できる立地を選ぶ
クレープは「目に入ったから買いたくなる」衝動買いの要素が強い商品です。店舗型の場合は、若者が集まる商店街・商業施設の近く・観光地の近辺などが候補になります。通行量だけでなく「ターゲット層が立ち止まりやすい場所かどうか」を意識して選びましょう。
キッチンカーの場合は、固定の場所に頼らず複数の出店スポットを確保し、曜日や時間帯によって出店場所を変える工夫が有効です。SNSで「今日はここにいます」と発信することで、ファンが追いかけてくれるようになります。
魅力的なメニューを考える
メニュー開発で大切なのは、定番を押さえつつオリジナリティのある看板メニューを持つことです。地元の特産品や季節限定食材を使ったメニューを定期的に更新することで、リピーターが何度も来たくなる理由を作れます。
メニュー数は「少数精鋭」が基本です。開業当初は3〜5品程度からスタートし、人気を見ながら徐々に増やすアプローチが現実的です。
クレープの見た目はSNS映えを意識する
クレープはその見た目の美しさが購買意欲を刺激しやすい商品です。トッピングの盛り付け・包み方・色彩のバランスなど「写真に撮りたくなるクレープ」を意識することが、無料の口コミ宣伝につながります。
SNSに投稿された写真が拡散されれば、遠方からも足を運んでくれるファンが生まれます。定期的にSNSを更新し、新メニューや季節限定品の情報をタイムリーに発信しましょう。
お店の回転率を上げる
クレープは低単価のため、いかに多くの枚数をさばくかが鍵になります。キャッシュレス決済の導入で会計スピードを上げ、行列時の滞留時間を短縮しましょう。
また、生地を事前に一定枚数焼いておいて注文後にトッピングを乗せるオペレーションに変えると、提供時間を大幅に短縮できます。
食材のロスを減らす
生クリーム・フルーツ・卵などの消費期限が短い食材は、廃棄が増えるほど利益を圧迫します。仕入れ量を売上データにもとづいて細かく調整する習慣が欠かせません。開業当初は少なめに仕入れてスタートし、実績に合わせて徐々に調整していくのが安全です。
集客を継続的に行う
開業初日は話題性で集客できても、それが続くとは限りません。オープン後もSNSを定期的に更新し、新メニューやキャンペーン情報を発信しましょう。スタンプカードを導入してリピーターに特典を設けることで、来店頻度を高める効果も期待できます。
衛生管理を徹底する
飲食店において、衛生管理は信頼そのものです。冷蔵・冷凍の温度管理、調理器具の洗浄・消毒、従業員の手洗い習慣など、基本的な衛生管理を徹底することが不可欠です。
2021年6月から原則としてすべての飲食店にHACCP(ハサップ)に沿った衛生管理の実施が義務付けられています。温度管理や作業記録などの基本的なルールを整備し、日々実践する体制を整えておきましょう。
事前に確認しておこう!クレープ屋のゴミ処分ルール
開業準備で見落とされがちなのが、ゴミの処分方法です。クレープ屋で日々発生する食材の残りや包材・廃油などは「事業系ゴミ」として扱われます。事業系ゴミは、一般家庭のゴミとはまったく異なるルールで処理する必要があります。
事業系ゴミには「事業系一般廃棄物」(生ゴミ・紙類など)と「産業廃棄物」(廃油・廃プラスチックなど)の2種類があります。どちらも、地域の家庭用ゴミ集積所に出すことは原則として出すことはできません。
知らずにゴミ置き場に出してしまうと、廃棄物処理法違反となり、5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金(法人の場合は3億円以下)という厳しい罰則が科される可能性があります。
適正な処理方法として一般的なのは、行政の許可を受けた廃棄物処理業者に収集・運搬を委託することです。この際、ゴミの種類によって委託する業者の許可区分が異なる点に注意が必要です。
事業系一般廃棄物の収集・運搬は「一般廃棄物収集運搬業許可」を持つ業者に、産業廃棄物は「産業廃棄物収集運搬業許可」を持つ業者にそれぞれ依頼する必要があります。
キッチンカーで移動販売を行う場合は、出店場所でのゴミ処理ルールにも注意が必要です。出店場所の主催者や管理者にゴミの持ち帰りルールを事前に確認し、拠点に持ち帰って適切な業者に処理を委託する体制を整えておきましょう。
出典:e-GOV法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137)
まとめ
本記事では、クレープ屋の開業に必要な費用・資格・許可から、成功のためのポイント、さらに見落とされがちなゴミ処分ルールまでを幅広く解説しました。
クレープ屋は、シンプルな調理工程と低い参入障壁が魅力のビジネスです。しかし、低単価ゆえの薄利多売構造や食材ロスのリスクなど、しっかりと向き合うべき課題もあります。
開業前に費用・資格・立地・オペレーションを十分に準備し、ゴミ処分を含む法令遵守の体制も整えておくことが、長期的な成功への近道です。
開業後のゴミ処分でお困りの際は、一般廃棄物・産業廃棄物の収集・運搬を手がけるイーブライトにぜひご相談ください。飲食店や美容室、歯科医院、オフィス、企業など、さまざまな業種において対応実績がございます。