COLUMN コラム
廃油は産業廃棄物?処理方法やマニフェスト・注意点を解説
事業活動で排出される廃油は、産業廃棄物として適切に処理する必要があります。誤った方法で処分すると法令違反の対象となるため、飲食店で使用した油も産業廃棄物に該当することを理解し、正しい処理方法を押さえておくことが大切です。
本記事では、廃油の概要やその具体的な処理方法、費用の目安、マニフェストの必要性について詳しく解説します。
産業廃棄物のひとつ「廃油」とは
産業廃棄物における廃油とは、事業活動によって発生した使用済みの油のことを指します。
廃棄物処理法で定められた産業廃棄物20品目のひとつであり、業種に関係なく、すべての事業者が産業廃棄物として適切に扱う必要があります。
家庭から出る使用済み油は一般廃棄物に該当します。一方、飲食店や工場などの事業所で使用された油は、産業廃棄物として扱われます。たとえば、飲食店で揚げ物に使ったサラダ油や、工場の機械で使用された潤滑油などが該当します。
廃油を放置すると、環境汚染や火災の原因になるおそれがあります。そのため、排出事業者は廃棄物処理法にもとづき、適切に処理しなければなりません。自社で処理が難しい場合は、産業廃棄物処理業の許可を持つ専門業者に依頼することが求められます。
事業活動で油を使用する際は、排出される油が産業廃棄物に該当することを把握し、適切な処理体制を整えておくことが重要です。
廃油の主な例
産業廃棄物として分類される廃油には、性質や用途によってさまざまな種類があります。ここでは、代表的な廃油を3つのカテゴリーに分けてご紹介します。
| 種類 | 概要 | 主な例 | 主な発生場所・用途 | 注意点 |
| 鉱物性油 | 石油を原料とする油 | エンジンオイル、ギヤ油、切削油、洗浄油など | 工場、自動車整備工場、金属加工現場など | 可燃性があるため、保管・処理方法に注意が必要 |
| 動植物性油 | 動物や植物から得られる油 | サラダ油、菜種油、オリーブオイル、牛脂、ラードなど | 飲食店、食品工場、給食施設など | 保管状態によっては自然発火のリスクがあるため注意が必要 |
| 廃溶剤 | 塗装・洗浄・印刷などで使用された溶剤 | アルコール類、アセトン、ガソリン、灯油など | 塗装工場、印刷工場、洗浄作業現場など | 引火性が高いものが多く、取り扱いには十分な注意が必要 |
このほか、インクかすや油紙かす、タール・ピッチ類なども廃油として扱われることがあります。ただし、固形状のものは汚泥や紙くずなど、ほかの廃棄物との混合物として処理されることもあります。判断が難しい場合は、専門業者に相談することをおすすめします。
産業廃棄物としての廃油の処理方法
廃油の処理方法には、再生利用、減量化、最終処分の3つの主要な方法があります。
環境省が発表した「産業廃棄物の排出・処理状況等(令和5年度実績)」によれば、廃油の処理状況は再生利用が46.1%、減量化が52.3%、最終処分が1.6%となっており、再資源化や減量化が非常に高い割合で行われています。
この数値から、廃油の多くが焼却や埋立といった最終処分ではなく、リサイクルや減量化によって有効活用されていることがわかります。適切に業者へ委託することで、環境負荷を低減することができます。
出典:環境省「産業廃棄物の排出・処理状況等(令和5年度実績)」(https://www.env.go.jp/content/000301060.pdf)
別原料へリサイクル
廃油は適切に処理することで、さまざまな製品の原料として再利用することができます。
ここでは、代表的な3つのリサイクル用途をご紹介します。
再生潤滑油
使用済みのエンジンオイルやギヤ油などは、精製処理を施すことで再び潤滑油として利用することができます。
廃油から不純物や劣化した成分を取り除き、必要な添加剤を加えることで、新品の潤滑油に近い性能を持つ製品に生まれ変わります。
この再生潤滑油は、製造業の機械設備や自動車のメンテナンスなどで幅広く活用されています。
石鹸の原料
動植物性油は、石鹸の原料として再利用されます。飲食店から排出される廃食油などをアルカリと反応させることで、エコ石鹸として製品化されます。
このような取り組みは、資源の有効活用にとどまらず、環境保護の観点からも注目されており、自治体や学校などでも積極的に導入されている事例が増えています。
ろうそくの原料
廃油は、ろうそくの原料としても再利用されます。精製処理を施した廃油に芯を通すことで、エコキャンドルとして生まれ変わります。
飲食店で使用した廃食油がろうそくとして再利用されるケースもあり、環境に配慮した製品としてその需要が高まっています。
燃料としてリサイクル
廃油は、燃料として再利用することも可能です。
以下に、廃油を燃料に転用する代表的な3つの方法をご紹介します。
燃料油化
廃油は精製処理を行うことで、重油の代替燃料として利用することができます。とくに、動植物性油から製造されるバイオディーゼル燃料は、化石燃料の使用を削減し、環境負荷の低減に寄与します。
これらの燃料は、工場のボイラーや発電施設などで広く利用されています。
蒸留再生
蒸留再生は、廃油を加熱して蒸発させ、冷却して再び液体に戻す方法です。この工程によって不純物を分離し、燃料として使用可能な状態に精製します。
溶剤系の廃油などに適用されることが多く、高品質な再生燃料を製造することができます。
サーマルリサイクル
サーマルリサイクルとは、廃油を燃焼させることで発生する熱エネルギーを回収し、有効活用する処理方法です。この熱エネルギーは、発電や暖房、温水供給など多様な用途に利用されます。
廃棄物を単なる処分にとどまらず、エネルギー源として再利用することで、資源の有効活用と環境負荷の削減を同時に実現できます。
焼却処分
再利用が難しい廃油や、リサイクルに適さない廃油は焼却処分されます。廃油はそのまま放置すると環境汚染や火災のリスクを引き起こすため、高温で燃焼させることで安全に処理します。
焼却処理では、専用の焼却施設で廃油を800℃以上の高温で燃やし、有害物質を分解します。この過程で発生する熱エネルギーは、前述のサーマルリサイクルとして回収されることもあります。
焼却後に残る灰などの残渣は、最終的に埋立処分されます。
埋立処分
焼却処分を終えた廃油の残渣は、廃棄物処理法の処理基準に則り、最終処分場で埋め立てられます。令和5年度速報値では、廃油の埋立比率はわずか1.6%となっており、大部分がリサイクルや減量化によって処理されていることがわかります。
最終処分場での埋立は、環境への影響を最小限に抑えるため、遮水シートや浸出水処理施設などが整備された管理型処分場で行われます。このように、廃油は最終的な埋立に至るまでに、できる限りリサイクルや減量化が行われる仕組みとなっています。
こちらの記事では、産業廃棄物回収の流れについて解説しています。費用や業者の選び方も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
廃油の処理にかかる費用の目安
廃油の処理費用は、油の種類や量、委託業者、処分場所などによって異なります。一般的な相場は、1kgあたり5円〜100円程度です。
ただし、廃塗料やグリスなど粘性が高い廃油や、引火性のある廃油などの特別管理産業廃棄物は、通常の廃油よりも処理費用が高くなることが一般的です。
たとえば、横浜市でイーブライトが提供する廃油処理サービスでは、1kgあたり13円という明確な単価設定を行っています。また、排出量に応じて計量契約や袋ごと契約にも対応しており、事業規模や排出状況に合わせた柔軟な契約が可能です。
排出量が多い飲食店であれば計量契約を、排出量が少ない店舗であれば袋ごと契約を選択することで、無駄なコストを抑えることができます。さらに、定額サービスを利用すれば、経費計算が簡素化されるというメリットもあります。
処理費用を正確に把握するためには、複数の処理業者から見積もりを取り、サービス内容や料金体系を比較検討することが大切です。
単価だけでなく、回収頻度や契約形態、電子マニフェストへの対応状況なども含めて総合的に判断することをおすすめします。
取り扱いに注意が必要な廃油
廃油のなかには、引火性や毒性が高く、通常の産業廃棄物よりも厳格な管理が求められるものがあります。これらは特別管理産業廃棄物に分類され、保管や運搬、処理の方法が法律で細かく定められています。
ここでは、とくに注意が必要な4つの廃油について解説します。
引火点が70℃未満で燃えやすい油(特別管理産業廃棄物)
引火点が70℃未満の廃油は、引火性廃油として特別管理産業廃棄物に分類されます。揮発油類、灯油類、軽油類などが該当し、わずかな熱源や火花でも発火しやすい危険な物質です。
常温に近い温度でも蒸気が発生しやすく、設備や車両の静電気、作業員の摩擦などの日常的な要因が火元となる危険性があります。
保管時には防爆対応の容器や設備を使用して密閉保管することが不可欠であり、高温や火気を避け、静電気防止措置を徹底する必要があります。
また、揮発蒸気が滞留しないよう局所排気や換気設備を整え、運搬時には専用容器や車両を使用しなければなりません。このような引火性廃油の処理については、イーブライトでは協力会社と連携して対応しているため、まずは一度ご相談ください。
出典:東京都環境局「特別管理産業廃棄物の判定基準」(https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/resource/industrial_waste/special_management/plan/criterion)
腐食性や反応性がある油
強酸性や強アルカリ性を示す廃油は、金属を腐食させたり、他の物質と激しく反応したりする危険性があります。廃酸や廃アルカリとして分類されることもあり、取り扱いには専門的な知識と設備が必要です。
保管容器は耐腐食性の素材を選び、他の廃棄物と混合しないよう分別保管することが重要です。また、漏洩時の緊急措置として、中和剤や吸着材を常備しておく必要があります。
人体・環境への毒性が高い油
人体や環境に対して毒性が高い廃油は、健康被害や環境汚染のリスクがあるため、厳重な管理が求められます。吸入や皮膚接触によって健康被害を引き起こす可能性があるため、作業時には適切な保護具の着用が必須です。
保管時には密閉容器を使用し、換気の良い場所で管理する必要があります。また、排水や土壌への流出を防ぐため、二重容器や防液堤を設置するなどの対策が重要です。
特定有害物質を高濃度で含有する油
PCB(ポリ塩化ビフェニル)や特定の有機塩素化合物を高濃度で含む廃油は、特定有害産業廃棄物として分類されます。とくにPCBは人体に蓄積しやすく、健康へのリスクが大きいため、処理方法が厳格に定められています。
古い変圧器や絶縁油にはPCBが含まれている可能性があるため、製造年や成分を確認することが重要です。PCB含有廃油は、専門の処理施設でのみ処分が可能で、一般的な処理業者では対応できません。
これらの特別管理産業廃棄物に該当する廃油の処理については、イーブライトでは協力会社と連携し、最適な処理ルートを提案しています。取り扱いに不安がある場合は、まず一度ご相談ください。
廃油を処分する際にはマニフェストが必要
廃油を産業廃棄物処理業者に委託して処分する際には、マニフェスト(産業廃棄物管理票)の交付が原則として必要です。
マニフェストは、廃棄物が適正に処理されたことを証明する重要な書類であり、排出事業者の責任を明確にする役割を果たします。
廃油処理を委託して終わりではなく、最終処分まで適正に処理されたかを確認する義務が排出事業者にあります。マニフェストの仕組みや不要となるケース、有価物としての扱いについて詳しく見ていきましょう。
マニフェストとは
マニフェストとは、産業廃棄物の排出から最終処分までの流れを管理し、適正処理を確認するための管理票です。排出事業者が産業廃棄物を処理業者に引き渡す際に交付し、収集運搬、中間処理、最終処分の各段階で業者から返送される仕組みとなっています。
マニフェストには紙マニフェストと電子マニフェストの2種類があります。
紙マニフェストは7枚複写の伝票形式で、各段階の業者が記入・返送します。一方、電子マニフェストはJWNET(電子マニフェストシステム)を通じてオンラインで管理され、記入ミスの防止や事務作業の効率化が図れます。
排出事業者は、マニフェストを5年間保管する義務があります。イーブライトでは電子契約や電子マニフェストに対応しており、書類管理の負担を軽減しながら適正な廃棄物処理を実現できます。
出典:公益財団法人 全国産業資源循環連合会「マニフェスト」(https://www.zensanpairen.or.jp/disposal/manifest/)
廃油処理でマニフェストが不要になるケース
原則としてマニフェストの交付が必要な廃油処理ですが、一部例外的にマニフェストが不要となるケースがあります。主なケースは、以下の2つです。
- 排出事業者が自ら廃油を運搬・処理する場合:自社で処理施設を保有し、収集運搬から処分まで一貫して行う場合は、マニフェストの交付が不要となります。
- 認定制度の対象となる業者に委託する場合:広域認定制度や再生利用認定制度の認定を受けた業者に委託する場合、マニフェストの交付が免除されます。これらの制度は、環境大臣の認定を受けた事業者が、廃棄物のリサイクルを効率的に行うことを目的としたものです。
ただし、これらのケースに該当するかどうかの判断は慎重に行う必要があります。不明な点がある場合は、処理業者や管轄自治体に確認することをおすすめします。
出典:公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター「マニフェスト制度とは 利用対象」(https://www.jwnet.or.jp/jwnet/about/system/user/index.html)
廃油は有価物として扱える?
廃油のなかには、リサイクル価値が高く、売却益が見込めるものがあります。このような場合、廃油を廃棄物ではなく有価物として扱えるのではないかという疑問が生じます。
環境省の通知によれば、物の性状、排出の状況、通常の取扱形態、取引価値の有無、占有者の意思などを総合的に勘案して、廃棄物に該当するかどうかを判断するとされています。
売却代金が発生する場合でも、運搬費用が売却代金を上回る場合は、運搬中は廃棄物として扱われます。これを「到着時有価物」といいます。
また、廃油は「専ら物4品目」(古紙、くず鉄、空きびん類、古繊維)には含まれないため、リサイクル目的であっても原則として許可業者への委託とマニフェストの交付が必要です。
有価物として扱えるかどうかの判断は複雑であるため、自己判断せず、処理業者や管轄自治体に相談することが重要です。適正な処理を行うことで、法令違反のリスクを回避できます。
まとめ
廃油は事業活動にともなって排出される使用済みの油であり、業種を問わず産業廃棄物として適切に処理する必要があります。
処理方法には再生利用や燃料化、焼却・埋立があり、令和5年度の統計では98%以上がリサイクルや減量化によって処理されています。
引火性廃油やPCB含有油は特別管理産業廃棄物に該当し、厳格な管理が必要です。処理を業者に委託する際にはマニフェストの交付が求められ、5年間の保管義務があります。
適正な処理は法令遵守だけでなく、環境負荷の低減や処理コストの適正化にもつながります。
イーブライトでは、横浜市で13円/kgの明確な単価で廃油処理サービスを提供しています。計量契約や袋ごと契約、定額サービスなど柔軟な契約形態に対応し、電子契約・電子マニフェストによる事務負担の軽減も実現しています。
廃油処理にお悩みの方は、ぜひイーブライトへご相談ください。