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産業廃棄物の汚泥とは?種類や一般廃棄物との違い、処理方法を解説
業種を問わず、事業活動から発生する「汚泥(おでい)」は、産業廃棄物のなかでも排出量がとくに多い種類です。
種類の見分け方や処理方法を正しく把握しておかないと、知らないうちに法令に違反してしまうリスクがあります。本記事では、汚泥の定義・種類・処理方法・委託業者を選ぶ際の注意点を解説します。
産業廃棄物の「汚泥」とは?
汚泥とは、事業活動にともなって発生した泥状の廃棄物の総称です。廃棄物処理法では産業廃棄物の一種として明確に位置づけられており、排出事業者には適正に処理する義務があります。
汚泥かどうかを判断する際に、成分の条件は設けられていません。泥状であれば、業種を問わず汚泥として分類されます。工場の排水処理槽から出る廃液の残渣、ビルの地下に設置された汚水槽の底にたまった泥状物質、建設工事の掘削で生じる泥水など、さまざまな廃棄物が汚泥として扱われます。
「うちは製造業ではないから関係ない」と考えている方も注意が必要です。事務所ビルやテナントビルであっても、汚水槽の清掃によって発生する汚泥は産業廃棄物に該当するため、適正に処理する必要があります。
出典:e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第2条」(https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137)
有機性汚泥
有機性汚泥とは、下水処理や排水処理の過程、食品工場や製紙工場などで発生する、有機物を多く含む汚泥です。
有機性汚泥に該当する汚泥の主な例は以下のとおりです。
- 微生物を使って汚水を浄化する活性汚泥法で生じる余剰汚泥
- 事務所や商業施設の排水処理設備から発生する汚泥
- ビルの地下に設置された排水処理槽にたまる汚泥
汚水処理をともなう設備を保有している事業所では、定期清掃のたびに有機性汚泥が発生します。これらは産業廃棄物として適正処理が義務付けられており、自治体の一般廃棄物収集に混ぜることは認められていません。
無機性汚泥
無機性汚泥とは、建設現場や金属工場などで発生する、砂や金属成分などの無機質を多く含む汚泥です。建設汚泥とも呼ばれ、掘削工事の際に頻繁に発生します。
無機性汚泥は有害物質を含むケースが多く、適正処理を怠ると周辺環境へ重大な影響を引き起こします。とくに建設汚泥と土砂の区別は実務上の重要ポイントです。
地盤の強さを示すコーン指数が200kN/㎡以下の場合は汚泥として扱われ、産業廃棄物としての処理が必要です。見た目が土に近くても汚泥に該当する場合があるため、判断に迷う場合は専門業者や行政に確認することをおすすめします。
産業廃棄物と一般廃棄物の汚泥の違い
汚泥であっても、すべてが産業廃棄物に分類されるわけではありません。区分のポイントは、し尿が含まれているかどうかです。わずかでもし尿が含まれる汚泥は、産業廃棄物ではなく一般廃棄物として扱われます。この基準は厳格で「少量だから産業廃棄物として処理してよい」とはなりません。
たとえば、ビルの地下にあるビルピットは、トイレの排水を一時的にためる設備です。ここから発生する汚泥はし尿が混入しているため、一般廃棄物として処理しなければなりません。
一方、雨水や冷却水のみを扱う設備から生じる汚泥は、産業廃棄物として扱われます。同じビルの設備から生じる汚泥でも区分が異なる場合があるため、管理担当者は発生源をきちんと把握しておくことが重要です。誤った区分で処理してしまうと、排出事業者として責任を問われるリスクがあります。
特別管理産業廃棄物に分類される汚泥とは
汚泥のなかでも、爆発性・毒性・感染性などにより、人の健康や生活環境に重大な被害を与えるおそれがあるものは、特別管理産業廃棄物に分類されます。通常の産業廃棄物よりも厳格な管理・処理基準が設けられており、収集・運搬・処理にはそれぞれ専門の許可が必要です。
特別管理産業廃棄物に該当する汚泥の主な例は以下のとおりです。
- PCBに汚染された汚泥
- 鉛・水銀などの重金属類や有機塩素化合物を一定濃度以上含む汚泥
- ダイオキシン類を高濃度に含む汚泥
自社から排出される汚泥がこれらに該当するかどうかは、含有成分の分析や行政への確認が必要です。通常の産業廃棄物の収集運搬とは異なる許可が求められるため、処理を依頼する前に業者へ確認しましょう。
出典:環境省「特別管理廃棄物規制の概要」(https://www.env.go.jp/recycle/waste/sp_contr/)
汚泥は産業廃棄物排出量の4割を占める
環境省が公表した「産業廃棄物の排出・処理状況等(令和5年度実績)」によると、汚泥は産業廃棄物全体の排出量のうち約42.1%を占め、その量は約1億5,854万トンにのぼります。産業廃棄物20種類のなかで最も多く排出されており、あらゆる業種の事業者にとって身近な存在でありながら、適切な管理が求められる廃棄物といえます。
排出量が多いと、それだけ管理ミスや不適正処理のリスクも高まります。自社の排出実態を正確に把握し、適切な管理体制を整えておくことが重要です。
出典:環境省「産業廃棄物の排出・処理状況等(令和5年度実績)」(https://www.env.go.jp/content/000301060.pdf)
汚泥の主な産業廃棄物処理方法
汚泥の処理方法には、性状や含まれる成分によってさまざまな選択肢があります。処理方法によって、コストや環境負荷、リサイクルの可否が異なるため、汚泥の状態に適した方法を選ぶことは、排出事業者として重要な責任です。
ここでは、代表的な8つの処理方法について解説します。
焼却
焼却は、汚泥を乾燥させたうえで、1,000度ほどの高温で燃やす処理方法です。含まれる有機物の大半を分解・消失させ、体積を大幅に減らせます。焼却の過程で燃えがらやばいじんといった別の産業廃棄物が発生するため、それらも適正に処理しなければなりません。焼却時に生じる熱を発電や温水利用に活用できる設備もあります。
溶融
溶融は、1,400℃ほどの超高温で汚泥を溶かし、冷却してガラス状の溶融スラグに変える処理方法です。高温による無害化効果が高く、ダイオキシン類などの有害物質も分解できます。生成された溶融スラグは路盤材や建設資材として再利用できるため、資源化の観点からもメリットのある方法です。
埋立
埋立は、管理型最終処分場に埋め立てる処理方法です。汚泥をそのまま埋め立てることはほとんどなく、脱水・乾燥・固化などの中間処理を行い、含水率を下げてから埋め立てるのが一般的です。最終処分場の残余容量は全国的に逼迫しており、できる限りリサイクルを優先する姿勢が重要です。
セメント原料化
セメント原料化とは、汚泥に含まれる無機成分をセメント製造の原料として再利用する方法です。廃棄物を資源として有効活用できるため、環境負荷の低減に貢献できます。企業の環境方針やサステナビリティへの取り組みとしても位置づけやすい処理方法のひとつです。
造粒固化
造粒固化(ぞうりゅうこか)は、汚泥に固化剤を混ぜて粒状・固体状に加工する処理方法です。固化することで体積が減り、取り扱いや運搬がしやすくなります。固化後の汚泥は路盤材や土壌改良材として再利用できる場合があり、建設現場から発生する無機性汚泥の処理で多く採用されています。
油水分離
油水分離は、油分を多く含む汚泥から、油と水を分離する処理方法です。機械工場などから発生する油混じりの汚泥に適用されます。分離した油分は燃料としてリサイクルできる場合があり、廃棄物の資源化に活用されています。
堆肥化
堆肥化は、有機性汚泥を微生物によって分解・発酵させ、農業用の堆肥として再利用する処理方法です。下水汚泥や食品工場の汚泥など、有機物を豊富に含む汚泥に適しています。廃棄物を農地へ還元することで資源を有効活用し、循環型社会の実現につながる手法として評価されています。
メタン発酵
メタン発酵とは、有機性汚泥を酸素のない環境で活動する微生物によって分解し、バイオガスを回収する処理方法です。回収したガスは発電や熱利用に活用でき、廃棄物のエネルギー化が可能です。大量に発生する有機性汚泥の処理に多く採用されており、再生可能エネルギーの観点からも注目が高まっています。
産業廃棄物の汚泥を処分する際の注意点
汚泥を産業廃棄物として処理する際は「委託したら終わり」ではありません。廃棄物処理法では、汚泥を排出した事業者が、最終処分が完了するまで排出事業者としての責任を負う仕組みになっています。委託先が不適正な処理を行った場合でも、排出事業者が責任を問われるケースがあります。
以下の注意点をしっかり押さえておきましょう。
認可を受けている業者を選ぶ
汚泥の収集・運搬・処理を依頼する際は、産業廃棄物収集運搬業の許可を持つ業者を選ぶ必要があります。許可証の確認時には、許可を受けた品目に「汚泥」が明記されているかをチェックしてください。
産業廃棄物の許可は品目ごとに発行されるため、他の品目の許可を持っていても、汚泥を取り扱えない場合があります。無許可業者に委託した場合、排出事業者も廃棄物処理法違反として罰則の対象になる可能性があります。
イーブライトでは、汚泥処理の適切な許可のもと、法令を徹底遵守した安心のサポート体制を整えています。
イーブライトのサービス詳細についてはこちらのページをご確認ください。
料金体系がはっきりしている業者を選ぶ
汚泥は水分を多く含んでいるため、重量の算出が難しい廃棄物のひとつです。一般的に汚泥の比重は1.1(t/㎥)が用いられており、体積から重量を計算します。処理費用の計算方法が不透明な業者に依頼すると、予期しない追加費用が発生したり、適正な処理が行われているか確認しにくくなったりするリスクがあります。
見積もりの段階で、重量の算出方法や料金体系を明確に説明してもらえる業者を選ぶことが重要です。
マニフェストの発行についても要チェック
産業廃棄物を処理業者に委託する際は、排出事業者にはマニフェストを交付する義務があります。マニフェストは、廃棄物が適正に処理されたことを追跡・確認するための書類で、廃棄物処理法により交付・保存が義務付けられています。交付を怠ったり虚偽の記載をしたりした場合は、罰則の対象となります。
また、収集運搬業者・中間処理業者・最終処分業者それぞれからの返送票を確認し、正しく保管することも排出事業者の義務です。
近年は電子マニフェストの普及が進んでおり、書面管理の手間を大幅に削減できます。
こちらの記事では、産業廃棄物回収の流れについて解説しています。マニフェストについても取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
出典:e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第15条」(https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137)
不法投棄は厳禁
汚泥を無断で投棄する行為は、廃棄物処理法で厳しく禁じられています。自社の敷地内であっても、許可を受けていない場所に汚泥を埋め立てる行為は違法です。
不法投棄が発覚した場合、排出事業者には5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金が科される可能性があります。法人の場合は3億円以下の罰金となり、行政指導やメディア報道につながれば、企業としての信頼を大きく損ないます。処理費用を惜しんだ結果、はるかに大きな代償につながることを念頭に置きましょう。
出典:e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第25条・第32条」(https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137)
まとめ
本記事では、産業廃棄物としての汚泥の定義や種類、処理方法、委託業者選びのポイントを解説しました。
産業廃棄物として発生する汚泥は、適切な処理を行わなければ法令違反や企業の信用低下につながる可能性があります。排出事業者には、処理を委託した後も最終処分まで責任を持って管理する義務があるため、信頼できる処理業者を選ぶことが重要です。
イーブライトでは、廃棄物処理法に基づいた産業廃棄物の収集・運搬から処理、リサイクルまで一貫して対応しています。汚泥をはじめ、処理方法や委託先の選定にお悩みの産業廃棄物がある場合も、専門的な知識をもとに適切な処理方法をご提案します。