COLUMN コラム

  • Home
  • コラム
  • 廃アルカリとは?具体例や処分方法、排出事業者の注意点を解説

廃アルカリとは?具体例や処分方法、排出事業者の注意点を解説

廃アルカリは、工場や化学プラント、研究施設など、さまざまな事業所から日々排出されます。産業廃棄物として法令で厳しく管理が義務付けられているにもかかわらず「どう処理すればいいかわからない」「特別管理産業廃棄物に該当するか判断できない」と悩んでいる担当者の方も多いのではないでしょうか。

処理を誤れば環境汚染や事故につながるだけでなく、排出事業者が法的責任を問われるリスクもあります。この記事では、廃アルカリの定義や具体例、処分方法から排出事業者が押さえておくべきポイント、処分費用の目安まで、実務に役立つ情報を解説します。

廃アルカリとは

廃アルカリとは、事業活動にともなって発生するアルカリ性の液状廃棄物の総称です。廃棄物処理法では産業廃棄物の一種として定められており、事業者には適切な管理と処分が義務付けられています。環境庁の通知では「廃ソーダ液、金属せっけん液をはじめアルカリ性の廃液のすべてを含むもの」と定義されています。

強いアルカリ性の廃液は金属を腐食させ、皮膚や粘膜を傷つける性質があります。単なる「汚れた水」ではなく、人体や環境への影響が大きい物質です。液状であるためこぼれやすく、適切に管理しなければ河川や土壌を汚染するおそれがあります。

廃アルカリは製造業・化学工業・食品加工業・印刷業など、幅広い業種から排出されます。自社の廃液がどの廃棄物区分に該当するかを正確に把握しておくことが大切です。

出典:e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第2条」(https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137

廃アルカリの例

廃アルカリは、さまざまな産業活動の過程で発生します。代表的なものが水酸化ナトリウム溶液です。紙パルプや化学繊維、石けんなどを製造する工程で広く使われており、廃液として大量に排出されることがあります。

そのほか、廃アルカリに分類される廃液の主な例は、以下のとおりです。

  • 廃ソーダ液
  • 写真現像廃液
  • 金属せっけん廃液
  • 洗浄廃液
  • か性ソーダ廃液
  • 廃アンモニア
  • イオン交換膜排水
  • 清掃工場の中和処理廃液

なお、廃硫酸や廃塩酸などの酸性廃液は「廃酸」に分類されます。廃アルカリと廃酸はどちらも液状の産業廃棄物ですが、性質が正反対です。分類と処理方法を混同しないよう注意してください。

pH12.5以上の強アルカリは「特別管理産業廃棄物」になる

廃アルカリの中でも、pH12.5以上の強いアルカリ性を示すものは「特別管理産業廃棄物」に分類されます。腐食性が高く、人体や環境へ与える影響が通常の産業廃棄物より大きいため、より厳格な管理が必要です。

特別管理産業廃棄物に該当する廃アルカリを排出する事業者には、より厳格な管理責任が課されます。保管方法・容器・表示の基準が通常の産業廃棄物とは異なるほか、収集・運搬・処分の委託先には、それぞれの許可を持つ業者を選ぶことが法令で定められています。

また、重金属や有機塩素化合物などの有害物質を一定濃度以上含む廃アルカリは、さらに「特定有害産業廃棄物」として区分される場合もあります。

自社の廃液がpH12.5以上に該当する可能性がある場合は、まずは一度ご相談ください。

廃アルカリの処分方法

廃アルカリは液体であるため、産業廃棄物の処分方法として一般的な埋め立ては原則として行えません。そのまま埋め立てると土壌や地下水の汚染につながるおそれがあるため、無害化・減容化を目的とした中間処理が必要です。

環境省が公表した令和5年度実績によると、廃アルカリの再生利用率は22.4%にとどまっています。産業廃棄物全体の再生利用率と比較しても低い水準であり、再資源化の促進が今後の課題とされています。現在の主な処分方法は、焼却・中和処理・再資源化の3種類です。

出典:環境省「産業廃棄物の排出・処理状況等(令和5年度実績)」(https://www.env.go.jp/content/000301060.pdf

焼却

焼却は、廃アルカリの一般的な処分方法のひとつです。高温で燃やすことで、有害物質を分解・無害化します。

廃アルカリは液体であるため、そのままでは燃えにくい性質があります。処理施設では細かい霧状に噴霧してから高温の炉内に吹き込み、効率よく燃焼させます。液体の産業廃棄物専用の設備が必要なため、液体産業廃棄物の処理許可を持つ業者へ委託することが大切です。

中和処理

中和処理とは、廃アルカリに酸性の廃液を加えてpHを中性に近づける方法です。酸とアルカリが反応することでアルカリ性の性質を弱め、安全性を高めます。

注意が必要なのは、中和の過程で有毒ガスが発生する場合がある点です。また、処理後には汚泥が生じることがあり、その汚泥はさらに別途処理が必要になります。処理全体のフローをあらかじめ把握したうえで対応することが大切です。

再資源化

廃アルカリの一部は再資源化が可能です。代表的な活用方法は、廃酸の中和剤として使用するケースです。アルカリ性という性質を活かし、酸性廃液の処理に役立てることで廃棄物同士を有効活用します。

そのほか、不純物を取り除いて再利用する方法や、金属成分が含まれる場合に沈殿物から金属を回収してリサイクルする方法もあります。現状では再生利用率が低い水準ですが、循環型社会の実現に向けて取り組みが進められています。

こちらの記事では、廃液処理方法について解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

廃アルカリの排出事業者が押さえておくべきポイント

廃棄物処理法では、排出事業者は廃棄物が最終処分されるまでの全過程について責任を負うと定められています。処理業者に委託した後も責任が消えるわけではなく、管理が不十分なまま事故や不法投棄が起きれば、排出事業者も行政指導や罰則の対象です。

廃アルカリは腐食性が高く、ほかの廃液と混ざることで突沸や有毒ガスが発生するリスクもあります。ここでは、廃アルカリの排出事業者が押さえておくべきポイントを3つ解説します。

ほかの廃液と混合しない

廃アルカリを取り扱う際に最も重要なルールのひとつが、ほかの廃液と混合しないことです。

廃酸と廃アルカリを不用意に混ぜると急激な中和反応が起き、液体の突沸や容器の破損を招く危険があります。廃液の種類によっては有毒ガスが発生し、周囲の作業者が被害を受ける重大事故につながりかねません。

過去には廃液の混合による爆発・火災事故も報告されています。廃アルカリは専用の容器に保管し、ラベルで内容物を明示することが大切です。廃酸をはじめとするほかの廃液とは、保管場所を明確に分けることも徹底しましょう。

マニフェストの管理を徹底する

産業廃棄物を処理業者に委託する際には、マニフェスト(産業廃棄物管理票)の交付が法律で義務付けられています。この書類は廃棄物の種類や数量、運搬・処分業者名などを記録したもので、委託した廃棄物が契約内容のとおりに適正に処理されたかを追跡・確認するための重要な証拠となります。

紙のマニフェストは7枚綴りの複写式で構成されており、処理の各段階で業者間を移動し、処理終了後に排出事業者のもとへ控えが返却されます。管理職として把握しておくべき主要な運用ルールと期限は以下のとおりです。

  • 収集運搬業者からB2票(運搬終了の確認)が返却される期限:90日以内
  • 処分業者からD票(処分終了の確認)が返却される期限:90日以内
  • 処分業者からE票(最終処分終了の確認)が返却される期限:180日以内
  • マニフェストの保管義務期間:交付日から5年間

期限内に票が返却されない場合は、速やかに処理業者へ状況を確認する必要があります。状況に応じて必要な措置を講じるとともに、都道府県知事等へ「措置内容報告書」を提出する義務があります。

マニフェストの不交付や虚偽記載、保管義務違反などは、廃棄物処理法違反に該当する可能性があります。「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」などの罰則が科されるリスクもあるため、適切な管理を徹底することが重要です。

事務作業の負担軽減やマニフェスト紛失リスクの防止、処理状況のリアルタイムでの確認には、電子マニフェストの活用が効果的です。産業廃棄物管理をより正確かつ効率的に行うためにも、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

廃棄物データシート(WDS)を提供する

廃棄物データシートとは、排出する廃棄物の性状・含有物質・有害特性などをまとめた情報提供シートです。環境省のガイドラインでも、排出事業者から処理業者への正確な情報提供が推奨されています。

廃アルカリは性状や含有物質が排出源によって大きく異なります。pHだけでなく、含有する化学物質や有害物質の種類・濃度を事前に伝えることで、処理業者が適切な方法を選択でき、事故や処理不良を防ぐことにつながります。

廃棄物データシートを作成・提供する習慣をつけることは、排出事業者としての責任を果たすうえで欠かせない取り組みです。

出典:環境省「廃棄物情報の提供に関するガイドライン」(https://www.env.go.jp/recycle/misc/wds/index.html

産業廃棄物の処理にお悩みの方はイーブライトにご相談ください。廃棄物処理法を遵守し、企業から排出された廃棄物を収集・分別・リサイクルしております。サービス対応地域や車両、定期回収できる品目などもぜひあわせてご覧ください。

廃アルカリの処分にかかる費用目安

廃アルカリの処分費用は30〜100円/kgが一般的な相場とされています。ただし、この数字はあくまで目安であり、実際の費用は性状・排出量・地域・処理方法によって大きく変わります。

pH12.5以上の特別管理産業廃棄物に該当するものは処理の難易度が高く、通常の廃アルカリより費用が高くなる傾向があります。費用の詳細は、廃アルカリの性状を処理業者に伝えたうえで確認しましょう。

廃アルカリに関してよくある質問

ここでは、廃アルカリの処分を検討している事業者の方からよく寄せられる質問にお答えします。

廃酸と廃アルカリは何が違う?

廃酸と廃アルカリは、どちらも液状の産業廃棄物ですが、性質が正反対です。pH7を境に、それより低い酸性の廃液が廃酸、それより高いアルカリ性の廃液が廃アルカリに分類されます。

廃酸の代表例は廃硫酸・廃塩酸・廃有機酸などで、金属加工や化学工業の工程から主に発生します。廃アルカリの代表例は水酸化ナトリウム溶液・廃ソーダ液・写真現像廃液などです。両者は混合すると激しく反応するため、保管・処理の際は厳重に分別しなければなりません。

廃アルカリのpH基準は?

廃棄物処理法上、廃アルカリはpH7を超えるアルカリ性の廃液が対象となります。

とくに注意が必要なのは、pH12.5以上の廃液です。特別管理産業廃棄物に該当する可能性があり、通常の廃液よりも厳格な管理や適切な処理業者の選定が求められます。

自社で発生する廃液の区分や処理方法について判断に迷う場合は、まずは専門業者へ相談することをおすすめします。

廃アルカリの代表例・水酸化ナトリウムは特別管理産業廃棄物?

水酸化ナトリウム廃液が特別管理産業廃棄物に該当するかは、廃液のpH値によって決まります。pH12.5以上であれば特別管理産業廃棄物として扱われ、それ以下であれば通常の産業廃棄物として処理します。

水酸化ナトリウムは強いアルカリ性を示す物質であるため、工業用途で使用した後の廃液がpH12.5を超えるケースは少なくありません。排出のたびにpHを測定・確認し、特別管理産業廃棄物に該当する可能性がある場合は、まずは一度ご相談ください。

廃アルカリはなぜ危険?

強いアルカリ性はタンパク質を溶解する性質があります。皮膚に触れると化学火傷を起こし、酸性とは異なり深部にまで浸透するため、被害が広がりやすい点が特徴です。目に入ると重大な損傷につながる可能性があるため、取り扱う際は必ず適切な保護具を着用しましょう。

また、金属や有機物を腐食させる力も強く、容器の劣化・破損による漏れリスクもあります。廃液が土壌や河川に流出すれば、生態系に深刻な影響をもたらします。廃酸と混合した際の爆発・ガス発生リスクも含め、廃アルカリの危険性は軽視できません。

まとめ

廃アルカリは、産業廃棄物として法令に基づいた適正処理が必要です。とくにpH12.5以上の強アルカリ性の廃液は、特別管理産業廃棄物に該当し、通常の廃棄物よりも厳格な管理が求められます。適切な分別やマニフェスト管理、廃棄物データシート(WDS)の準備は、排出事業者が果たすべき重要な対応です。

しかし、廃アルカリを含む産業廃棄物の処理には、法令への理解や適切な処理方法の判断が欠かせません。不適切な処理は法令違反や環境リスクにつながる可能性があるため、専門業者へ依頼することで安全かつ確実な対応が可能です。

イーブライトでは、廃棄物処理法を遵守し、企業から排出される産業廃棄物の収集・分別・リサイクルまで対応しています。廃アルカリをはじめとした廃棄物処理でお困りの際は、対応地域や回収可能な品目、定期回収の可否なども含め、お気軽にご相談ください。

イーブライトでは、サービスに関するお見積りを承っております。お問い合わせフォームよりぜひお気軽にご相談ください。

電話で相談する 電話で相談する お問い合わせ