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未経験からバーを開業するには?資金・資格・成功のポイントを解説

「いつか自分のバーを持ちたい」そう考える方は多いのではないでしょうか?


バーは飲食業のなかでも利益率が高く、魅力的な業種として、未経験からでも開業を目指す方が少なくありません。ただし、資金計画や資格の有無、立地選びやコンセプトづくりなど、成功するために押さえておくべきポイントがあります。


本記事では、開業資金や必要な資格から具体的な手順、さらには多くの人が見落としがちなごみ処理の重要性まで、バー開業で知っておくべきことを解説します。



バーの開業に必要な資金の目安と内訳

バーの開業に必要な資金の目安と内訳

バー開業で最初に気になるのが「自分にも開業できるだけの資金があるのか」という点です。一般的にバーの開業には500万~1,000万円程度の資金が必要とされています。


また、開業後3〜6か月分の運転資金は必要です。バーは常連客からの収入がメインとなるため、軌道に乗るまで時間がかかることを想定しなければなりません。


初期費用

初期費用は主に以下の項目で構成されます。


・物件取得費:保証金、礼金、前払家賃、仲介手数料などが含まれます。
・内装工事費:バーの雰囲気作りで最も重要な部分です。
・厨房設備:什器備品製氷機、冷蔵庫、食器洗浄機、カクテルシェイカー、グラス類など
・POSシステム・看板:会計システムや集客に直結する看板代も考慮する必要があります。
・初期在庫:開業時のお酒やソフトドリンク、食材の仕入れ費用


運転資金

運転資金は主に以下の項目で構成されます。


・家賃
・水道光熱費
・仕入れ原価
・人件費(雇用する場合)
・その他(通信費、広告費など)


バー経営では開業当初から黒字化するのは困難です。常連客の獲得に時間がかかることを前提に、最低でも3〜6か月分の運転資金を確保しておきましょう。


バーの資金調達に活用できる補助金・助成金

バーを開業する際に大きなハードルとなるのが資金調達です。国や自治体が提供している補助金・助成金を上手に活用すれば、初期費用の負担を軽減できます。


ここでは、バーの開業資金に活用できる代表的な補助金・助成金の概要を紹介します。


新規開業・スタートアップ支援資金

新規開業・スタートアップ支援資金は、日本政策金融公庫が提供する創業融資制度です。


・融資限度額:7,200万円(うち運転資金4,800万円)
・返済期間:設備資金20年以内、運転資金7年以内


出典:日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/01_sinkikaigyou_m.html


自治体や商工会の助成金

バーを開業する際には、自治体や商工会が独自に実施している助成金制度を活用できる場合があります。これらは地域の創業支援や商店街の活性化を目的としています。


たとえば、東京都では「東京都創業助成事業」が実施されており、令和7年度第2回の募集が9月29日から始まります。


・対象者:都内で創業を具体的に計画している個人、または創業後5年未満の中小企業者などで、一定の要件を満たす方
・助成対象期間:交付決定日から6か月以上最長2年
・助成限度額:上限400万円(下限100万円)
※事業費及び人件費を助成対象とする助成金の助成限度額:上限300万円
・対象経費:賃借料、広告費、器具備品購入費、専門家指導費、従業員人件費


出典:TOKYO創業ステーション「創業助成事業」
https://startup-station.jp/m2/services/sogyokassei/


助成金の対象や上限額は制度によって異なります。申請には事業計画書や見積書の提出が求められるため、早めに準備を進めることが重要です。


IT導入補助金

POSレジシステムや予約管理システムなどのIT投資に活用できる補助金です。開業後に対象となる補助金ですが、開業から数か月以内でも以下の条件を満たせば申請可能です。


・補助率:1/2以内
・補助上限額:50万円~450万円(類型により異なる)


出典:中小企業庁「IT導入補助金」(https://it-shien.smrj.go.jp/


小規模事業者持続化補助金

こちらも開業後の申請となりますが、販路開拓や業務効率化のための投資に活用できます。開業前の申請はできないため、開業資金としては利用できませんが、運転資金として重要な制度です。


・補助上限額:50万円
・補助率:2/3


※条件によっては補助率が4分の3、補助額に200万円まで上乗せされます。


資金調達には時間がかかることを前提に、事業計画書の作成や必要書類の準備を早めに進めることが重要です。また、融資や補助金だけでなく、クラウドファンディングや知人・親族からの借入れなど、複数の手段を組み合わせることでリスクを分散できます。


出典:小規模事業者持続化補助金事務局「小規模事業者持続化補助金」(https://matome.jizokukahojokin.info/


バーの開業に必要な資格・行政手続き

バー開業には複数の資格取得と行政手続きが必要です。手続きの遅れが開業スケジュールに影響するため、余裕を持った準備が欠かせません。


バーの開業に必要な資格

【食品衛生責任者】

食品衛生法により、営業者は1店舗につき1名以上の食品衛生責任者を選任することが義務付けられています。取得には、各都道府県の食品衛生協会が主催する「食品衛生責任者養成講習会」を受講する必要があります。


なお、すでに栄養士・調理師・製菓衛生師などの資格を持っている場合は、講習会を受けずに申請のみで食品衛生責任者として認められます。


資格を持っている人は、食品衛生協会などへ申請して「食品衛生責任者手帳」を発行してもらいましょう。


出典:一般社団法人東京都食品衛生協会|食品衛生責任者について(https://www.toshoku.or.jp/training/seki-gaiyou.html


【防火管理者】

収容人数30人以上の店舗で必要です。甲種(延床面積300㎡以上)と乙種(延床面積300㎡未満)に分かれています。


受講料:甲種新規講習8,000円、乙種講習7,000円
取得期間:甲種2日、乙種1日
申込み:日本防火・防災協会のサイトで事前予約が必要


出典:一般財団法人日本防火・防災協会|防火管理講習(https://www.bouka-bousai.jp/hp/lec_info/guide_bouka.html


バーの開業に必要な行政手続き

バーの開業に必要な行政手続きは以下のとおりです。


【飲食店営業許可】

飲食店として営業するためには、保健所から「飲食店営業許可」を取得しなければなりません。申請後には、厨房設備や衛生管理の基準を満たしているかどうかの検査が行われ、基準をクリアして初めて許可証が交付されます。


手続きの完了までにはおおむね3週間程度かかりますが、検査で不備が見つかった場合は修正対応が必要となり、さらに日数を要することがあります。そのため、開業日から逆算して余裕を持ったスケジュールを立てることが大切です。


【深夜酒類提供飲食店営業開始届】

深夜0時以降にお酒を提供する場合は警察署へ深夜酒類提供飲食店営業開始届を提出します。届出を行う際には、以下の条件を満たしている必要があります。


・飲食店営業許可を取得していること
・店舗の立地が、深夜酒類飲食店営業を禁止されている用途地域に該当しないこと
・風営法施行規則に基づいた設備要件を備えていること


なお、具体的な要件は都道府県ごとに異なるため、事前に所轄の公安委員会に確認するか、行政書士など専門家へ相談して進めると安心です。


【防火管理者選任届出】

収容人数30人以上の店舗で、防火管理者を定めたことを届け出る書類です。

・提出先:管轄消防署
・期限:営業開始前日まで


【特定遊興飲食店営業許可申請】

経営するバーの形態によっては、特定遊興飲食店営業許可の申請が必要となる場合があります。深夜0時以降に「遊興」を提供しながら飲食を行わせる営業形態で、具体的には次のようなケースが該当します。


・ショーやライブ演奏を見せる(鑑賞型)
・ダンスやカラオケへの参加を促す(参加型)
・スポーツ観戦で応援を促すなど


申請は管轄警察署にて行います。営業許可申請書のほか、各種証明書類を提出する必要があり、審査を経て許可が下ります。


なお、営業にあたっては遵守すべき事項や禁止事項が定められており、違反した場合には罰則の対象となります。


ほかにも、接待行為をともなう営業をする場合には風俗営業許可が必要です。また、喫煙可能なスペースを設置する場合は、喫煙可能室設置施設届出書を所轄の保健所へ提出する必要があります。


これらの手続きは複雑で時間がかかるため、開業コンサルタントや行政書士への依頼も検討しましょう。違反すると営業停止や罰則の対象となるため、確実な対応が重要です。


バーの開業までの手順|8ステップで分かる準備の流れ

バー開業は一般的に半年~1年の準備期間が必要です。以下のステップに沿って計画的に進めましょう。


1:事業計画とコンセプトを立てる

成功するバーの基盤となるのがコンセプト設計です。「どのような顧客に」「どのような価値を」「どのような方法で」提供するかを明確にします。


【コンセプト設計のポイント】
・ターゲット顧客の明確化(年齢、職業、利用シーン)
・差別化要素の設定(こだわりのお酒、音楽、内装)
・価格帯とサービスレベルの決定
・競合分析と市場調査


事業計画書は融資や投資を受ける際に不可欠です。売上予測、収支計画、返済計画まで具体的に記載しましょう。


2:資金調達の計画を立てる

開業資金の調達計画を立てます。自己資金、融資、補助金の組み合わせを検討し、複数の金融機関や制度に申請することでリスクを分散します。


【調達計画のタイミング】
・補助金申請:物件決定前でも可能
・融資申請:事業計画と物件情報が固まった段階
・最終調達:内装工事着手前までに確定


3:物件を探す

コンセプトに合った立地選びが大切です。ターゲット顧客の生活圏や行動パターンを分析し、最適な場所を選定します。


【立地選定のポイント】
・公共交通機関からのアクセス
・周辺の競合店舗調査
・昼夜の人どおりの変化
・住宅街の場合は深夜営業の可否


4:内外装と設備を整える

バーの成功は雰囲気作りで決まると言っても過言ではありません。コンセプトに合った内装デザインを実現するため、複数の業者から見積もりを取りましょう。


【設備投資の優先順位】
1.必須設備(冷蔵庫、製氷機、シンク)
2.差別化設備(音響設備、照明)
3.効率化設備(POSシステム、食洗機)


5:資格取得と行政手続きを行う

必要な資格の取得と行政手続きを並行して進めます。とくに食品衛生責任者は営業許可申請前に取得が必要なため、早めの対応が重要です。


【手続きのスケジュール管理】
・食品衛生責任者:営業許可申請前まで
・営業許可申請:店舗完成約10日前
・深夜営業届:営業開始10日前まで
・特定遊興許可:営業開始約2か月前


6:仕入先を確保しメニューを決める

信頼できる仕入先の確保は安定経営の基盤です。価格だけでなく、配送体制や緊急時の対応力も考慮して選定しましょう。


【仕入先の種類】
・業務用酒販店:品揃え豊富で安定供給
・酒蔵・輸入業者:こだわりの銘柄を直接仕入れ
・地域の酒販店:緊急時の対応と地域密着


試飲会への参加や複数社での価格比較を通じて、最適な仕入先を見つけましょう。


7:スタッフを募集する

バーの接客品質はスタッフのスキルに大きく依存します。お酒の知識とコミュニケーション能力を兼ね備えた人材の確保が重要です。


【採用のポイント】
・業界経験の有無
・接客への意欲と人柄
・シフトの柔軟性
・将来性と成長意欲


小規模店舗の場合、オーナーが中心となって運営することも多いですが、繁忙時や体調不良時のことを考えて最低1名は信頼できるスタッフを確保しておきましょう。


8:店の宣伝活動を行う

開業前からの集客活動が重要となります。現代では多様な宣伝手段を組み合わせることが重要です。


【宣伝手法の例】
・SNS活用(Instagram、Twitter、Facebook)
・地域情報誌への掲載
・チラシのポスティング
・グルメサイトへの登録
・開業前イベントの開催


とくにSNSでは準備段階から情報発信を続けることで、開業前からファンを獲得できます。


各ステップを着実に進めることで、開業後の成功確率を大幅に高めることができます。無理のないスケジュールを組み、余裕を持った準備を心がけましょう。


バーの開業で成功するためのポイント

バー経営を軌道に乗せるためには、開業前から成功要因を理解し、具体的な戦略を立てておくことが重要です。


初めての人でも入りやすい雰囲気を作る

バーは「敷居が高い」というイメージを持たれがちです。このイメージを払拭し、幅広い顧客層を取り込むことが重要となります。


【具体的な取り組み】
・外観の工夫:明るい照明、分かりやすい看板
・メニューの見せ方:価格を明記、おすすめ商品の掲示
・接客スタイル:フレンドリーで親しみやすい対応
・初回来店特典:ウェルカムドリンクやサービス券


一人でも気軽に利用できる環境づくりは、新規顧客の獲得に直結します。「おひとり様歓迎」などの表示も効果的です。


リピーターや常連客を逃さないようにする

バー経営を安定させるためには、新規を呼び込むこと以上に、リピーターや常連客を大切にすることが欠かせません。


【リピーター確保の具体策】
・顧客管理システムの導入:好みや来店履歴の記録
・ポイントカード・会員制度:継続利用のインセンティブ
・誕生日特典:特別感のあるサービス提供
・季節限定メニュー:再来店の動機づくり
・SNSでの情報発信:日常的なつながりの維持


とくに重要なのは、お客様一人ひとりの好みを覚え、サービスを提供することです。せっかく一度来店してくれた方を次につなげられるかどうかが、売上の継続性を大きく左右します。


競合分析を欠かさず行い差別化を図る

周辺地域の競合店舗を定期的に調査し、自店の差別化ポイントを明確にすることが重要です。


【差別化のアイデア】
・オリジナルカクテルの開発
・特定ジャンルのお酒への特化(ウイスキー、日本酒など)
・ライブ音楽やイベントの開催
・フードメニューの充実
・特別な接客サービス


単なる真似ではなく、自店のコンセプトに合った独自性を追求しましょう。


お客様とのコミュニケーションを大事にする

バーは単にお酒を提供する場所ではなく、心を開いてくつろげる「第三の場所」としての機能が求められます。


【コミュニケーション向上のポイント】
・積極的な声かけとタイミングの見極め
・話に耳を傾ける姿勢
・適度な距離感の維持
・お酒の知識を活かした会話
・常連客同士の橋渡し役


ただし、すべてのお客様が会話を求めているわけではありません。一人で静かに過ごしたい方もいることを理解し、状況に応じた対応が必要です。


開業前に押さえておこう!バーのごみ処分ルールと注意点

バー開業において見落としがちですが、非常に重要なのがごみ処理の問題です。適切な処理を怠ると法的トラブルや高額な罰金に発展する可能性があります。


事業から出るごみは家庭ごみとはまったく異なる「事業系ごみ」として扱われます。地域のごみ置き場に出すことは法律で禁止されており、事業者の責任で適切に処理しなければなりません。


事業系ごみは大きく「一般廃棄物」「産業廃棄物」の2つに分類されます。


【一般廃棄物の例】
・食べ残しや調理くず
・紙ナプキンやおしぼり
・生ごみ全般
・事務用紙


【産業廃棄物の例】
・金属缶(ビール缶、缶詰など)
・ガラスびん(酒瓶、調味料瓶)
・プラスチック容器
・廃油(調理に使った油)


事業系ごみの処理には、適切な許可を持つ専門業者への委託が法的に義務付けられています。


・一般廃棄物:「一般廃棄物収集運搬業許可」を持つ業者
・産業廃棄物:「産業廃棄物収集運搬業許可」を持つ業者


それぞれ異なる許可が必要なため、両方の許可を持つ業者を選ぶか、専門業者を使い分ける必要があります。無許可業者への委託の場合、5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金が課せられます。


出典:環境省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」|e-GOV法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137


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ごみ回収で気になった場合は、ぜひご覧ください。


まとめ

バーの開業には500万〜1,000万円程度の資金と、食品衛生責任者・防火管理者の資格取得、複数の行政手続きが必要です。融資や各自治体の助成金を積極的に活用し、余裕を持ったスケジュールで進めることが重要です。


こうした飲食店の開業時に、とくに見落としがちなのが事業系ごみの処理問題です。事業系ごみは家庭ごみとは異なり、一般廃棄物と産業廃棄物を適切な許可業者に委託する法的義務があります。違反すると重い罰則が科せられるため、開業前から信頼できる処理業者との契約が不可欠です。


飲食店のごみ回収の委託を検討している方は「イーブライト」にお任せください。イーブライトでは、一般廃棄物と産業廃棄物の両方を回収いたします。また、飲食店を中心にサービスを提供しており、グリストラップの清掃・衛生管理・悪臭対策のご対応も可能です。


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