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弁当屋を開業するには何が必要?資金や許認可・成功のポイントを解説
弁当屋を開業したいと思っても「まず何から始めればいい?」「店舗とデリバリー、どっちが自分に合う?」「資金はいくら必要?」と、最初の段階で手が止まってしまう方は少なくありません。
本記事では、弁当屋の主な開業形態(店舗販売・デリバリー・キッチンカー・ゴーストレストラン)ごとの特徴や必要な資金、資金調達の方法、届出や資格、成功のポイントを順番に解説します。
見落としがちな事業系ゴミの処理ルールも整理して紹介するので、開業準備の全体像をつかむための参考にしてください。

弁当屋の開業形態
弁当屋の営業形態は、主に以下の4つがあります。
- 店舗販売
- デリバリー
- キッチンカー
- ゴーストレストラン
形態によって、必要資金や運営スタイルは大きく変わります。
「どんな客層を狙うか」「どう売上をつくるか」を整理したうえで、自分のビジネスモデルに合う形態を選びましょう。
ここでは、それぞれの形態のメリットと注意点を解説します。
店舗販売
店舗を構えて弁当を調理し販売する、一般的なスタイルです。
【メリット】
- オフィス街や駅前など人通りの多い立地なら、比較的安定した売上を見込みやすい
- お客様と直接やり取りでき、好みやニーズを把握しやすい
このようなメリットがある一方で、物件取得費や内装工事費、厨房設備費などの初期投資はどうしても高くなります。
デリバリー
店舗を持たずに、弁当の調理と配達を専門に行う形態です。
【メリット】
- 調理設備と注文対応のスペースがあれば営業でき、物件費・内装費を抑えやすい
- 固定客を獲得できれば、リピートで売上が安定しやすい
固定客を獲得できれば、リピート注文によって安定した売り上げを確保しやすい点も強みです。ただし、まずは自店を知ってもらうための広告宣伝が欠かせず、あわせて配達用の車両費用も見込んでおく必要があります。
キッチンカー
調理設備を備えた車両で、移動しながら弁当を販売する形態です。
【メリット】
- 人が集まる場所へ出店できる機動力がある
- 固定店舗が不要で家賃がかからない
- 出店場所や時間帯を柔軟に変えられる
このようなメリットがある一方で、車両の購入費や改装費が初期投資の多くを占めるため、まとまった資金を用意する必要があります。
ゴーストレストラン
実店舗を構えず、オンライン注文とデリバリーに特化した営業形態です。
【メリット】
- 接客スペースや内装が不要で、初期費用を抑えやすい
- シェアキッチンを利用すれば、約100万円から開業できる場合もある
ただし、デリバリーアプリでの評価や口コミに加え、SNSでの発信力が売り上げを大きく左右します。日ごろから写真やメニューの見せ方、発信内容を工夫しながら認知度を高めていくことが大切です。
【業態別】弁当屋の開業に必要な資金
弁当屋の開業に必要な資金は、選ぶ営業形態によって大きく変わります。
ここでは、業態ごとの金額の目安を解説します。
店舗販売の場合
物件取得費は家賃の3〜6か月分が目安です。内装工事費は厨房と販売スペースの整備に数百万円かかり、厨房設備には200万〜300万円程度必要になります。
店舗販売のスタートには、約600万〜1,500万円を見込んでおくと安心ですが、居抜き物件を選べば初期費用を大幅に抑えられます。
デリバリーの場合
物件費や内装費は抑えられますが、厨房設備に100万〜200万円程度かかります。自社で配達を行う場合は、車やバイクの購入費として50万〜150万円程度が必要です。
総額の目安は、自社配達なら300万〜700万円前後、デリバリー代行サービスを活用する場合は200万〜500万円前後になります。
キッチンカーの場合
車両の購入・改装費が初期費用の大部分を占めます。軽トラックを改装する場合は100万〜200万円程度、大型車両では500万円以上かかることもあります。
内装や設備を整えるための車両改装費は50万〜300万円程度を見込む必要があり、総額では約200万〜500万円が目安となります。
ゴーストレストランの場合
シェアキッチンを利用する場合は月額5万〜20万円程度の利用料で済み、設備投資はほとんど発生しません。自前の調理場を用意する場合でも最低限の厨房設備なら50万〜100万円程度で整えられます。
全体としては約100万〜300万円程度から開業を目指せます。
弁当屋の開業資金の調達方法
自己資金だけでは足りない場合は、融資や補助金を活用して資金を確保しましょう。
ここでは、代表的な資金調達の方法を紹介します。
日本政策金融公庫
中小企業や個人事業主の創業を支援する、政府系の金融機関です。
新規開業資金の融資限度額は7,200万円で、女性や若者、シニア向けに特別利率が適用される制度も用意されています。
融資を受けるには事業計画書を作成して提出し、あわせて面談を受ける必要があります。自己資金は総額の3割程度を用意しておくことが望ましいとされています。
出典:日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」(https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/01_sinkikaigyou_m.html)
自治体の制度融資
各自治体が信用保証協会と金融機関と連携して行う融資制度です。
金利が比較的低く、信用保証協会の保証がつくため、民間金融機関からの融資を受けやすくなります。東京都の中小企業制度融資では、創業予定または創業後5年未満の方向けに、融資限度額3,500万円のメニューが用意されています。
出典:東京都産業労働局「東京都中小企業制度融資」(https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/chushou/kinyu/yuushi/yuushi/)
国や自治体の補助金
国や自治体の補助金としては、小規模事業者持続化補助金が挙げられます。この制度は広告宣伝費などが対象で、補助上限額は50万円、補助率は3分の2です。
また、IT導入補助金(デジタル化基盤導入類型など)を活用すれば、POSレジや受注管理システムなどのITツール導入費用を支援してもらえる場合があります。
こうした補助金や助成金は返済の必要がありませんが、後払い方式のため、最初の資金は別途用意しておかなければなりません。
出典:小規模事業者持続化補助金事務局「小規模事業者持続化補助金」(https://matome.jizokukahojokin.info/)
出典:独立行政法人 中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金」(https://it-shien.smrj.go.jp/)
弁当屋の開業に必要な届出や資格
弁当屋を開業するには、法令で定められた届出と資格が必要です。
【必須】食品衛生責任者
飲食店を営業する場合は、1店舗につき1人以上の「食品衛生責任者」を選任することが法律で義務付けられています。
【取得方法】
- 各都道府県の食品衛生協会が実施する「養成講習会(約6時間)」を受講して取得
なお栄養士や調理師などの資格を持っている場合は講習会が免除されることがあります。
出典:一般社団法人東京都食品衛生協会(https://www.toshoku.or.jp/training/)
【必須】飲食店営業許可
弁当を調理・販売するために必要な許可で、店舗所在地を管轄する保健所に申請します。
【申請のポイント】
- 内装工事の前に保健所へ事前相談し、図面を確認してもらう
- 検査時に設備不備を指摘されるリスクを減らしやすい
申請から許可証の交付までは、通常2〜3週間ほどかかります。
出典:東京都保健医療局「営業許可・届出の概要」(https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/kyokatodokede/youshiki.html)
そうざい製造業許可
作った弁当を卸売したり、冷凍してネット販売したりする場合に必要となる許可です。
【必要になりやすいケース】
- スーパー・コンビニなどへの卸
- 冷凍商品としての販売(通販を含む)
自分の店舗で調理した弁当を店頭で販売したり、自社で配達したりするだけであれば、飲食店営業許可のみで問題ありません。
出典:東京都保健医療局「営業許可種類一覧」(https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/kyoka/kyoka_0.html)
道路使用許可
キッチンカーで道路や歩道上に出店して営業する場合は、管轄の警察署に道路使用許可を申請する必要があります。無許可のまま営業すると道路交通法違反となり、罰則の対象になる可能性があります。
【道路使用許可が不要なケース】
- 私有地・商業施設の敷地内で営業する場合
ただし、その場合は施設管理者・土地所有者の許可が必要になります。
出典:警視庁「道路使用許可申請手続きについて」(https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/kotsu/road_permission.html)
調理師免許は任意
弁当屋を開業するにあたって、調理師免許は必須ではありません。
食品衛生責任者の資格があれば営業できます。
ただし、調理師免許を持っていれば、食品衛生責任者の講習会が免除されるうえ、お客様からの信頼にもつながります。
出典:公益財団法人調理技術技能センター(https://chouri-ggc.or.jp/)
弁当屋を開業する際の流れ
ここでは、弁当屋を開業するまでの基本的な流れを6つのステップに分けて解説します。
1:お店のコンセプトを考える
まず、誰に・どんな弁当を・いくらで提供するのか、コンセプトを明確にします。
ターゲット層を具体的に設定すると、その後の物件選びやメニュー開発、価格設定の方針が決めやすくなります。さらに自店ならではの強みを打ち出したコンセプトを固めることで、周辺の競合店との差別化につながります。
2:開業形態に合った物件を選ぶ
物件選びの際は、通行量や競合店調べなどの立地調査を行ったうえで、理想と予算のバランスを取ることが重要です。店舗販売なら、オフィスワーカー向けは駅とオフィスビルを結ぶ動線上、学生向けは大学や専門学校の近くであれば通行量が多く見込めるでしょう。
一方、デリバリーやゴーストレストランの場合は、立地のよさよりも家賃の安さと厨房設備の充実度を重視して物件を選びます。
3:資金を調達する
物件のめどが立ったら、次は資金調達に取りかかります。
開業に必要な総額を算出し、自己資金で足りない分を融資や補助金で補う流れです。
融資を検討する場合は、事業計画書の作成が欠かせません。一般的には、自己資金が開業資金総額の3割程度あることが望ましいとされています。
4:店舗工事を行う
資金調達のめどが立ち、物件の契約が完了したら店舗工事に進みます。
工事を始める前には必ず保健所へ事前相談に行き、図面を確認してもらうことが重要です。この事前相談を怠ると、工事完了後の検査で不備を指摘され、大幅な手直しが必要になる場合があります。
5:備品や仕入先を確保する
店舗工事と並行して、備品の購入と仕入先の確保を進めます。
弁当容器や箸、袋などの包装資材に加えて、POSレジやキャッシュレス決済端末も事前に準備します。仕入先は複数の業者から見積もりを取り、価格だけでなく品質や配送頻度、最低発注量なども比較したうえで選びましょう。
6:必要な届出や資格取得を行う
工事が完了したら、飲食店営業許可の申請を行います。
申請書類を提出すると、保健所の担当者が施設検査を行い、合格すれば2〜3週間程度で営業許可証が交付されます。
なお、食品衛生責任者の資格は、飲食店営業許可の許可申請より前に取得しておく必要があります。
弁当屋の開業を成功させるためのポイント
ここでは、弁当屋を成功させるために押さえておきたい4つのポイントを順番に解説します。
ターゲットを集客できる立地を選ぶ
立地は弁当屋の成功を左右する重要な要素です。
【立地選びの例】
- オフィスワーカー向け:駅とオフィスビルを結ぶ動線上
- 学生向け:大学・専門学校の最寄り駅やキャンパス周辺
- 住宅街向け:スーパーやドラッグストアの近く
物件を決める前には、実際にその場所へ複数回足を運び、時間帯ごとの人通りや客層を観察しておくことをおすすめします。
独自の看板メニューを作る
現代はコンビニやスーパーでも弁当を購入できるため、弁当屋が生き残るには独自性が欠かせません。ターゲット層のニーズに合った特徴をはっきり打ち出しましょう。
【独自性の出し方例】
- 地元の食材を使った地産地消メニュー
- 無添加・有機野菜など健康志向の弁当
また、弁当は持ち帰ってから食べることが多いため、冷めてから食べてもおいしいかどうかも重要なポイントです。
客層に合ったメニューと価格を考える
ターゲット層が、無理なく納得して払える価格帯を見極めることが重要です。弁当の原価率は、一般的に30〜40%が目安とされており、この範囲に収まるように売価を設計します。
【価格帯の目安例】
- 学生向け:300〜500円
- オフィスワーカー向け:500〜800円
- 健康志向の高所得層向け:1,000円以上
狙う客層によって適正な価格水準は変わるため、ターゲットとセットで考えましょう。
集客活動にも力を入れる
どれだけ美味しい弁当を作っても、お客様に存在を知ってもらえなければ売り上げにはつながりません。開業前後は、集客の仕組みづくりも重視しましょう。
【集客方法】
- InstagramなどSNSで、弁当の写真を投稿して視覚的に魅力を伝える
- 近隣のオフィスや企業へ訪問して、チラシを配るなどアナログな施策も有効
SNSと自身で動く施策を組み合わせると、認知を広げやすくなります。
開業前に押さえておこう!弁当屋のゴミ処分ルール
弁当屋を開業する際に見落としがちなのが、ゴミ処理の問題です。
飲食業を営むと必ず事業系ゴミが発生しますが、これは家庭ゴミとは扱いが異なり、正しく処理しなければ法令違反となるリスクがあります。
弁当屋から出るゴミは事業系ゴミに分類され、事業系一般廃棄物と産業廃棄物が含まれます。どちらも家庭用のゴミ置き場に出すことは原則できません。無断で家庭用集積場に出すと不法投棄とみなされ、罰則の対象になる可能性があります。
- 事業系一般廃棄物の例:食べ残し、調理くず、賞味期限切れの食材など
- 産業廃棄物の例:廃プラスチック類、金属くず、ガラスくずなど
ゴミの種類によって、処理を委託できる業者に必要な許可が異なります。事業系一般廃棄物は一般廃棄物収集運搬業許可を持つ業者に、産業廃棄物は産業廃棄物収集運搬業許可を持つ業者に委託する必要があります。
両方の許可を持っている業者であれば、まとめて依頼できるため手続きがスムーズです。
処理費用は地域や業者によって異なりますが、たとえば横浜市では13円/kg〜という料金体系が一般的です。開業前にゴミ処理業者を決めておくことで、開業後も安心して営業を続けやすくなります。
出典:e-GOV法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137)
まとめ
弁当屋の開業は、営業形態の選択から資金調達、許認可、物件・設備、メニュー開発まで準備項目が多岐にわたります。
成功の鍵は「誰に、どんな弁当を、いくらで提供するか」を明確にし、独自性のある看板商品を用意することです。あわせて、ターゲットに合った立地・価格・集客導線を整えて、無理のない形でスタートしましょう。
一方で、開業後に必ず発生するのが事業系ゴミです。家庭ゴミと同じようには捨てられず、一般廃棄物・産業廃棄物を適切に分けて処理する必要があります。ここを後回しにすると、手間が増えるだけでなく、衛生面や運営面のリスクにもつながりかねません。
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