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事業用PCはどう処分すべき?産業廃棄物としての正しい扱いと5つの注意点

近年、情報漏洩や不適切な廃棄による法令違反が社会問題となっており、企業のPC廃棄にも厳格な管理が求められています。企業が使用しているPCには、顧客情報や財務データなど重要なデータが保存されており、適切に処理しなければ、漏洩や不正利用のリスクが高まります。
また、事業用PCは法律上「産業廃棄物」として扱われるため、専門的な知識と対応が必要です。
この記事では、事業用PCの法的な位置づけや適切な処理方法、そして処分時に押さえるべき注意点についてわかりやすく解説します。
PCは産業廃棄物扱いになる?
法人で使用されていたPCは、産業廃棄物処理法にもとづき、主に「金属くず」と「廃プラスチック類」として分類され、産業廃棄物となります。そのため、家庭用PCとは異なり、処分には特別な注意が必要です。
家庭用のPCは、自治体の回収サービスを利用できます。しかし、法人所有のPCは自治体で回収されることはなく、産業廃棄物処理業者やメーカー、パソコンリサイクル業者などに処分を依頼しなければなりません。
無許可業者への委託やマニフェストの不備、不法投棄が発覚した場合、廃棄物処理法違反として厳しい罰則が科せられます。
そのため、事業用PCの廃棄には「産業廃棄物として適切に処理する」意識と、社内での明確な対応体制を構築することが非常に重要です。法令に則った確実な処分を行い、情報漏洩や罰則のリスクを回避し、企業としての信頼を保ちましょう。
出典:環境省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」|e-GOV法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137)
リサイクルする必要がある
事業用PCは、資源有効利用促進法によりメーカーが責任を持って回収し、リサイクルすることが義務付けられています。
資源有効利用促進法は、廃棄物の削減(リデュース)、再利用(リユース)、資源の再生利用(リサイクル)の3Rを推進する目的で制定され、10の産業分野にわたる69品目を対象に、事業者による自主回収とリサイクル体制の整備を求めています。PCもその対象に含まれています。
法人が使用したPCを適切に処分しない場合、法律違反となり、罰金や是正命令などの行政処分が科される可能性があります。
事業用PCの廃棄は、ただ捨てればよいものではなく、法的・社会的責任を果たす重要な業務の一部です。処分の際は、リサイクル体制の確認と適切な手続きの実施を徹底しましょう。
マニフェストに注意
マニフェストは、正式には「産業廃棄物管理票」といい、産業廃棄物の適正な処理を管理するための制度です。
排出事業者は、産業廃棄物を収集運搬業者や処分業者に委託する際にマニフェストを発行し、適正に処理されたことを確認・記録します。排出から最終処分までの流れを明確にすることで、不法投棄や不適正処理を防ぐことが目的です。
マニフェスト制度は、基本的にすべての排出事業者に適用されますが、国や地方公共団体に委託する場合や、再生利用を目的とした特定業者(専ら業者)に委託する場合には、例外として義務が免除されることもあります。
マニフェストには、紙マニフェストと電子マニフェストの2種類があります。紙マニフェストは複写式の伝票で、電子マニフェストはシステム上で情報を管理します。
事業用PCの処分方法
事業用PCの廃棄には、法的な規制や社会的責任を考慮する必要があります。不適切な処理が発覚すると、罰則や企業の信頼失墜につながるため、適正な方法での処分が求められます。ここでは、代表的な処分方法として、以下の3つを紹介します。
メーカーに依頼する
処分するPCの台数が少なく、同一メーカーの製品が中心であれば、メーカーに依頼するのが確実です。メーカーは法律にしたがってリサイクルを適切に実施しており、その処理は高い信頼性があります。
メーカーに依頼する際の一般的な流れは、以下のとおりです。
1.メーカーの公式サイトまたはサポート窓口から処分を申し込む
2.着払い伝票などの必要書類が届く
3.案内に沿ってPCを梱包し、発送する
一部のメーカーでは、直接持ち込める窓口を設けており、対面での対応が可能な場合もあります。その場合、手続きがよりスムーズに進み、最終的なリサイクル処理まで一括で任せられます。
ただし、法人向けのPCはリサイクルマークの有無にかかわらず原則有料です。費用の目安は1台あたりおおよそ3,000~4,000円程度で、廃棄証明書の発行には追加費用が発生する場合もあります。
また、1台ずつ申請が必要なため、処分台数が多い場合は手間がかかる点を留意しましょう。
リサイクル業者に依頼する
PC専門のリサイクル業者へ依頼する方法は、コストを抑えつつ安全に処分できる選択肢のひとつです。
リサイクル業者は、不要になったPCを再利用したり、部品を資源として再活用したりすることで利益を得ているため、比較的安価なケースが多いのが特徴です。さらに、多くの業者がデータ消去まで対応してくれるため、社内での削除作業を省けます。
依頼方法は簡単で、PCを業者に発送するか、回収を依頼する方法が一般的です。訪問回収に対応しているかどうかは、各業者のサービス内容を確認するとよいでしょう。
ただし、安心して任せるには業者の選定が重要です。料金だけで判断せず、セキュリティ対応や運営実績を確認し、信頼できる業者を選びましょう。
廃棄物処理業者に依頼する
複数台のPCを安全かつ効率的に処分したい場合、廃棄物処理業者への依頼が便利です。メーカー処分とは異なり、機種やメーカーを問わず、複数のPCを同時に処分することができます。
さらに、PC以外の不要品も同時に処分できるため、オフィスの整理整頓が効率よく進みます。
処理の過程を記録・証明するために、産業廃棄物管理票(マニフェスト)の作成と保管が義務付けられています。しかし、無許可の業者に依頼すると、情報漏洩や不法投棄のリスクが高まります。産業廃棄物処分業許可証は、産業廃棄物の処分を請け負う業者にとって必ず必要な書類です。
そのため、必ず「産業廃棄物処分業許可証」を持った業者であることを確認し、信頼できる業者に依頼しましょう。
事業用PCを処分する際の5つの注意点
PCは、売上管理や顧客データ、業務資料など、多くの機密データが保存されているため、事業用PCを処分する際には慎重な対応が求められます。
ここでは、事業用PCの処分時に必ず確認しておきたい5つの注意点を解説します。
データを完全に消去する
PCを処分する際に最も重要なのは「データの完全消去」です。
業務で使用していたPCには、顧客情報や社内の機密データ、財務情報など、外部に漏れてはいけない情報が多く保存されています。単にファイルを削除したり初期化しただけでは、完全な削除はできません。内部の記憶装置にデータの痕跡が残り、専門知識を持つ第三者に復元される可能性があります。
もし企業のデータが漏えいし悪用された場合、損害賠償責任や企業イメージの低下といった重大なリスクにつながります。そのため、処分前にデータを確実に消去することが大切です。
内部データを完全に消去するには、データ消去を専門とする業者に依頼するか、信頼性の高いデータ消去ソフトを使用しましょう。
接続デバイスを確認する
PCの処分では本体に意識が集中しがちですが、見落としやすいのは周辺機器の存在です。
USBメモリや外付けハードディスク、SDカード、SIMカードなどの補助記憶装置にも、機密性の高いデータが残っている場合があります。PCを廃棄する際は、接続されているすべてのデバイスや設定を確認し、個別に適切な処理をするのが大切です。
アカウントやライセンスを解除する
業務用PCには、OSや業務用ソフトウェアのライセンスが紐づいています。さらに、クラウドサービスやサブスクリプション契約を通じて、複数のアカウントが登録されているケースが一般的です。
ライセンスやアカウントを解除しないまま処分すると、不正利用のリスクが生じるだけでなく、新しい端末へのライセンス移行に支障をきたすおそれがあります。とくに法人契約での場合、契約台数や端末管理に直結するため、管理部門のチェックが欠かせません。
PCを安全に廃棄するためには、すべてのアカウントやライセンスを確実に解除しておくことが欠かせません。
管理シール・ロゴを除去する
多くの企業では、資産管理の一環としてPCに管理番号のラベルや部署名のシールを貼って使用しています。しかし、これらを取り外さずに廃棄・回収に出すと、機器がリユース市場や不正なルートに流れた際に、ラベル情報から企業名が第三者に知られてしまうリスクがあります。
このような情報管理の甘さは、企業の信用を損なう要因になりかねません。見落とされがちですが、企業の社会的信用を守るためにも、処分前に管理シールやロゴは確実に取り除いておく必要があります。
悪徳業者に注意する
PCの廃棄や回収を業者に委託する際は、信頼性の確認が欠かせません。中には、正規の許可を持たずに回収・処理を行い、データを抜き取って販売したり、不法投棄をしたりする悪質な業者も存在します。
料金が安価であることを理由に安易に依頼すると、情報漏えいや偽造された処分証明書などのトラブルに巻き込まれる可能性があります。とくに見積もりが極端に安い業者は、セキュリティ対策が不十分であることも多いため、価格だけでなく許可証の有無や実績など、信頼性を重視して選定することが不可欠です。
イーブライトでは、産業廃棄物処理のサービスに関するお見積りを承っております。
お問い合わせフォームよりぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
PCの処分は単なる廃棄作業ではなく、企業の信頼と安全を守るための重要な業務プロセスです。適切な手順で処理することで、情報漏えいリスクを抑え、法令遵守やコンプライアンスの強化にもつながります。安全かつ確実な廃棄を徹底し、情報管理体制の強化を図りましょう。
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紙マニフェストはもちろん、電子マニフェストにも対応しており、効率的な管理方法で運搬・処理が可能です。また、計量器付きパッカー車を導入することで排出量管理や処分費用の明確化を実現しています。
安全かつ効率的に廃棄物を処理したい方は、ぜひイーブライトにご相談ください。