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段ボールは産業廃棄物?事業で出た場合の正しい処理方法とは

段ボールは、資材や製品、原材料などを受け取るたびに自然に増えていき、気づけば保管スペースを圧迫することがよくあります。とくに企業では、段ボールの廃棄物が日常的に発生するため、その適切な処理方法を理解しておくことが重要です。
本記事では、段ボールが産業廃棄物に該当する条件や再利用できない段ボールの見分け方、処分を委託する際に必要なマニフェストの取り扱いについて解説します。法令を遵守し、企業の信頼を守るために、正しい知識を身につけておきましょう。
段ボールは産業廃棄物になるの?
廃棄物処理法上では、段ボールは「紙くず」に分類されます。特定の業種に該当する場合、その段ボールは産業廃棄物とされ、処理は許可を受けた業者に依頼しなければなりません。無許可の業者に処理を依頼すると法令違反となり、排出事業者である自社も責任を問われる可能性があります。
段ボールが汚れておらず、再生可能な状態であれば、通常は資源ごみとしてリサイクルできます。処分時には、自社が所属する業種が産業廃棄物に該当するかどうかを確認し、適切な方法で処理することが重要です。
出典:環境省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」|e-GOV法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137)
産業廃棄物に該当する業種
以下の業種では、段ボールは「産業廃棄物」として扱われます。
・建設業(新築・改築・解体などの工事にともなって発生したうもの)
・製紙業・紙加工品製造業(パルプや紙、紙製品を製造する業種)
・新聞業(新聞用の大型巻取紙を使用する場合)
・出版業(本や雑誌などの印刷・出版する業種)
・製本業・印刷物加工業(印刷物を製本・加工する業種)
・PCB(ポリ塩化ビフェニル)が付着しているものを扱う業種
これらの業種で発生した段ボールは「産業廃棄物」として処理します。しかし、それ以外の業種で発生した段ボールは「事業系一般廃棄物」として処理することになります。
ただし、段ボールはリサイクルが可能なため、汚れや破損がなく、リサイクル可能な状態であれば「専ら物」としてリサイクル可能です。処分前には、自社の業種や段ボールの状態を確認し、適切な処理方法を選びましょう。
リサイクルできない段ボール
段ボールは再資源化しやすい素材ですが、すべての段ボールがリサイクル可能というわけではありません。
オフィスや店舗で段ボールを多く使用する企業では、リサイクルが可能かどうかを正確に見極めることが重要です。以下のような段ボールは、リサイクルが難しいため注意が必要です。
・油や調味料などで汚れているもの
紙に油がしみ込むと、再生紙として利用できなくなります。
・防水加工されているもの(ロウ引き段ボールなど)
表面がワックスでコーティングされており、水をはじくタイプの段ボールは再資源化できません。
・プラスチックやアルミ、布などが付着しているもの
緩衝材や保冷材が一体化している場合、分別が難しくリサイクルできません。
・強いにおいが残っているもの
洗剤や食品などのにおいが染みついた段ボールは、再生処理に支障をきたします。
・テープやラベルがついているもの
異物として処理されるおそれがあるため、できるだけ取り除いてから出しましょう。
・色付きの段ボール
全体に色が付いた段ボールは、リサイクル時に色移りのリスクがあり、受け入れを拒否されることがあります。
段ボールの適切な処理方法
段ボールはリサイクル可能な資源ですが、状態や発生元によっては廃棄物として処理しなければならない場合もあります。ここでは、段ボールの処分方法を「どこから出たか」「どんな状態か」によって、3つのケースに分けて紹介します。
リサイクルする場合
オフィスや店舗で使用後の段ボールが汚れておらず、破損もない場合は、資源としてリサイクル可能です。回収された段ボールは、新たな紙製品に再生されます。
また、段ボールは専ら物に該当する場合があり、再利用を目的とする場合は、収集運搬の許可を持たない回収業者でも引き取りが可能です。
近年では、オフィスビルや商業施設などに古紙回収ボックスが設置されており、気軽にリサイクルできる環境が整っています。段ボールの排出量が多い企業では、古紙回収業者に定期回収を依頼することで、保管スペースの確保や廃棄業務の効率化につながります。
ただし、古紙回収業者に収集や運搬を依頼する場合は、廃棄物収集運搬業の許可を有しているか必ず確認しましょう。無許可業者への委託は、廃棄物処理法違反となり、排出業者側にも法的責任が生じるおそれがあります。
事業系一般廃棄物の場合
段ボールが汚れていたり破損していたりして再利用できない状態であれば、リサイクルには出せません。こうした段ボールは、事業系一般廃棄物として処理する必要があります。
事業系一般廃棄物とは、オフィスや店舗などで業務中に発生し、産業廃棄物に該当しないごみを指します。処分する際は、市区町村の許可を受けた一般廃棄物収集運搬業者への依頼が基本です。
ただし、回収できるごみの種類は業者によって異なるため、段ボールが対象に含まれるか事前に確認しましょう。もし段ボールの量が少ない場合は、市区町村が有料で回収してくれるケースもあります。地域のルールに従い、適切に処分してください。
産業廃棄物の場合
製造業や建設業など一部業種では、段ボールが産業廃棄物として扱われます。この場合、処理は必ず産業廃棄物処理業の許可を持つ専門業者に委託しなければなりません。
無許可の業者に依頼すると、依頼した側も法令違反とされ、罰則を受ける可能性があります。
産業廃棄物として処理を依頼する際には、以下の手続きが必要です。
・収集運搬業者用と処分業者用の2つの契約書を作成する
・マニフェストを発行し、処理状況を管理する
これらの手続きを適切に実施することで、法令違反のリスクを回避し、産業廃棄物を適正に処理できます。
処理方法を間違えると違法になることも!
段ボールの処理を誤ると、産業廃棄物処理法に違反する可能性があります。「コストを抑えたい」と安易に無許可の業者へ依頼した場合、排出事業者である企業側も責任を問われかねません。ここでは、違反時に適用される罰則を紹介します。
出典:環境省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」|e-GOV法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137)
特別管理産業廃棄物の管理責任者設置義務違反
特別管理産業廃棄物とは、人の健康や生活環境に著しい影響を与えるおそれのある廃棄物のことです。たとえば、アスベスト(石綿)が含まれる建材のくずや、PCBを含む機器などが該当します。
このような廃棄物を取り扱う事業所では「特別管理産業廃棄物管理責任者」を配置する義務があります。日本産業廃棄物処理振興センターや日本医師会などが実施する講習を受講し、試験に合格することが、責任者として認定されるために必要です。
この責任者を配置しなかった場合は法律違反となり、最大30万円の罰金が科されます。対象となる業種では、早急な体制整備が求められます。
無許可業者で処理
廃棄物を回収・処分してもらうときは、必ず許可を持つ業者かどうかを確認しましょう。産業廃棄物の処理は、都道府県の許可を受けた業者にしか認められていません。
無許可業者に依頼し、不適切に処理された場合は、排出事業者である企業も法的責任が及びます。「知らなかった」では済まされず、最大で5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、あるいはその両方が科される可能性があります。
契約書を作成せず処理
産業廃棄物の処理を委託する際には、委託契約書の作成が法律で義務付けられています。口頭での依頼や書面のない取引は違法です。
契約書は、排出事業者と処理業者の責任を明確にするために必要です。作成していなかった場合、最大で3年以下の懲役または300万円以下の罰金、もしくはその両方が科されます。
産業廃棄物の不法投棄
産業廃棄物の違反のなかでも、とくに重いのが不法投棄です。山林や空き地などに廃棄物をこっそり捨てる行為は、処理コストを抑える目的で行われるケースがあります。
不法投棄が発覚した場合、実際に行った従業員だけでなく、廃棄物を排出した企業も責任を問われます。個人には5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、法人には最大3億円の罰金が科されるなど、法的な制裁は極めて厳格です。
産廃マニフェストを不交付・虚偽等
マニフェストは、産業廃棄物が適切に処理されたかを確認し、その流れを記録するための管理票です。排出事業者には、マニフェストを交付して、処理状況を把握・管理する義務があります。
マニフェストを発行しなかった場合や、虚偽の内容を記載した場合には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。また、電子マニフェストを導入していない企業は、紙マニフェストを5年間保管しなければなりません。
マニフェスト発行時の注意点
段ボールを処分する際に、管理票であるマニフェストが必要かどうかは、処理方法や委託先によって異なります。マニフェストは、産業廃棄物が適正に処理されたかを確認するための管理票です。
きれいな状態で再利用可能な段ボールは「専ら物」として扱われ、専ら業者に委託する場合は、マニフェストの作成が免除されます。専ら業者とは、特定の廃棄物をリサイクル目的で扱う専門業者のことです。
ただし、マニフェストが免除されるのはその作成のみであり、必要な契約書を交わしていない場合、委託基準違反となり、罰せられる可能性がありますので注意が必要です。
マニフェストには、手書きで記入する「紙マニフェスト」とオンラインで管理する「電子マニフェスト」の2種類があります。電子マニフェストは、インターネット上で管理できるシステムで、保存の手間や物理的なスペースを省略でき、行政への実績報告も不要です。
また、処理状況をすぐに確認できるため、事務作業の負担軽減にもつながります。マニフェストの管理が煩雑な場合は、電子マニフェストの導入を検討するのもよいでしょう。
イーブライトでは、産業廃棄物処理のサービスに関するお見積りを承っております。
お問い合わせフォームよりぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
事業から出る段ボールごみは、業種や段ボールの状態によって処理方法が異なります。建設業や製紙業、紙加工品製造業など、一部の業種では段ボールも産業廃棄物として扱われ、産業廃棄物処理の許可を持つ専門業者に依頼する必要があります。
ただし、汚れがなく再利用可能であれば「専ら物」としてリサイクルが可能です。
処理方法を誤ると、法的責任を問われる可能性があり、社会的信用にも影響を及ぼすことがあります。段ボールの排出量が多い場合や処理方法に不安がある場合は、信頼できる専門業者への委託が大切です。
イーブライトでは、産業廃棄物・一般廃棄物の処理サービスを提供しています。収集・分別・リサイクルを一貫して対応し、環境に配慮した廃棄物処理を実現しています。
また、計量器付きの回収車を使用して、廃棄物の排出量を可視化し、処分費用を透明化することで、コスト管理も安心です。紙マニフェストはもちろん、電子マニフェストにも対応しており、効率的な管理方法で運搬・処理が可能です。
段ボールの処理にお困りの際は、イーブライトまでご相談ください。