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がれき類はどうやって処分する?定義からリサイクル方法まで徹底解説

建設工事や建物の解体では、コンクリートやアスファルトの破片が大量に発生します。これらは「がれき類」と呼ばれ、産業廃棄物として法律で厳しく
管理されています。がれき類の処分は、適切な方法で行わなければ法的なリスクをともなう可能性があるため、注意が必要です。
本記事では、がれき類の定義から処理・リサイクルの方法、注意点までをわかりやすく解説します。安全で効率的な処理方法を理解し、環境にも配慮した取り組みを実践しましょう。
がれき類とは?定義と具体例
廃棄物処理法において、産業廃棄物として定義されるもののひとつに「がれき類」があります。
日本全国で排出される産業廃棄物のなかでも割合が高く、汚泥や動物のふん尿と並んで、排出量がとくに多い分類に含まれます。これら3種類で、全体の約8割(6,168万2,000トン)を占めています。
がれき類はその発生量が多く、処理が大規模になるため、法令にもとづいて適切な処理を行うことが求められます。ここでは「がれき類の定義」と「実際に該当する具体例」について解説します。
出典:環境省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」|e-GOV法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137)
出典:環境省「令和5年度事業 産業廃棄物排出・処理状況調査報告書 令和4年度速報値(概要版)(https://www.env.go.jp/content/000220694.pdf)
がれき類の定義
がれき類とは、建設現場や解体工事で発生するコンクリートやアスファルトの破片など、建設系の廃棄物を指します。廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令では「工作物の新築、改築、除去にともなって生じたコンクリート破片やアスファルト、その他これに似た不要物」と定義されています。
簡単にいうと、建物や道路、橋などの構造物を建設したり、解体したりする際に発生する破片やくずが、がれき類に該当します。これらは工事の規模が大きいほど大量に発生するため、適正な処理が不可欠です。がれき類は「産業廃棄物」に分類されており、処理を誤ると、法令違反だけでなく、地域住民や周辺環境への悪影響を及ぼす可能性があります。
がれき類の具体例
以下は、代表的な「がれき類」です。ただし、すべてがリサイクルできるわけではありません。
・コンクリートの破片:建物の壁や基礎部分を解体したときに発生
・アスファルトの破片:道路や駐車場の舗装工事にともない発生
・レンガの破片:古いレンガ造りの建物を解体したときに発生
・軽量気泡コンクリートやモルタルの破片:建物の外壁や内装材として使用されたもの
これらのがれき類は、建設や解体工事で大量に発生しますが、適切に処理すれば多くはリサイクルが可能です。たとえば、破砕処理によって道路の下地材や再生資材として使われることもあります。
ただし、石綿(アスベスト)が混入している場合は特別な注意が必要です。アスベストは健康に深刻な影響を及ぼす恐れがあるため、飛散防止措置や専門的な処理が法律で定められています。
もしアスベストの可能性がある場合は、必ず専門の処理業者に相談することが重要です。
コンクリートくずとの違い
がれき類とよく混同されるのが「コンクリートくず」です。どちらもコンクリートに関連する廃棄物ですが、法的にはまったく異なるものとして扱われています。違いを正しく理解しておかないと、処理方法や必要な許可に影響します。
がれき類は「建設や解体工事の現場で出る廃棄物」のことです。たとえば、建物の壁を解体した際に出るコンクリート片や、道路工事で発生するアスファルトの破片など、工事現場で排出された廃棄物が該当します。
一方、コンクリートくずは、コンクリート製品の製造過程で生じる端材や不良品など「製造工場から排出される廃棄物」を指します。建設現場から出るものではないため、がれき類には該当しません。
この違いは法律でも明確に定義されており、処理業者との契約書やマニフェストへの記載時にも、正確な区別が求められます。とくに複数種類の廃棄物を扱う現場では、区分を誤ると法令違反となり、罰則の対象になる可能性があるため、事前に十分な確認が必要です。
がれき類は不法投棄が多い産業廃棄物である
がれき類は、細かく砕き、選別された後に、再生砕石や再生路盤材としてリサイクルされることが多く、実際にはリサイクル率が非常に高い産業廃棄物です。しかし、その処理にはコストがかかります。
がれき類は重量がありかさばるため、運搬費用が高くなりがちです。また、リサイクルによって得られる再生資材は、新品よりも安価で取引されるため、処理業者にとっては利益が出にくい傾向があります。こうした背景から、不法投棄が発生しやすくなっているのが現状です。
不法投棄が発覚した場合、個人には「5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金(またはその両方)」、法人の場合は「最大3億円以下の罰金」といった厳しい罰則が科される可能性があります。
さらに注意すべきなのは、処分を業者に委託した場合でも、その業者が不法投棄を行っていた場合、排出した企業も責任を問われる点です。自ら廃棄していなくても、処理業者の選定を誤ると、法的責任や社会的信用の損失につながる恐れがあります。
そのため、がれき類の処分を依頼する際は、信頼性の高い業者に依頼することが不可欠です。法令に則った方法で処理・リサイクルを行ってくれるため、安心して業務を進められます。
がれき類のリサイクル方法
がれき類は、約96.4%もの高い割合でリサイクルされています。見た目は大きくかさばるものが多いものの、実は再利用しやすい廃棄物のひとつです。
適切に分別・破砕すれば、さまざまな建設資材として再活用できます。ここでは、がれき類がどのようにリサイクルされているのかを紹介します。
出典:環境省「令和5年度事業 産業廃棄物排出・処理状況調査報告書 令和4年度速報値(概要版)(https://www.env.go.jp/content/000220694.pdf)
再生路盤材
がれき類のリサイクル方法として最も一般的なのが「再生路盤材」への利用です。廃棄されたコンクリートやアスファルトを細かく砕いて、道路の基礎部分に使用します。
道路を舗装するときには、アスファルト層の下に強固な下地が必要です。この下地部分を路盤と呼び、建物における基礎コンクリートのような役割を果たします。
再生路盤材を使用すれば、天然の砂利や砕石を新たに採取せずにすむため、資源の節約と工事コストの削減につながります。公共工事だけでなく、民間の現場でも広く活用されており、がれき類の代表的な再利用方法です。
再生砕石
再生砕石とは、がれき類を破砕し、0〜40mm程度の使いやすいサイズに整えた建設資材です。主に駐車場の整備や建物の基礎工事、仮設道路の材料などに使用されます。
ただし、すべてのがれきが再生砕石として使えるわけではありません。粒の大きさや混入物の有無など、所定の基準を満たしたものだけが再利用されます。
天然の砕石に比べると品質にばらつきがありますが、用途によっては十分に活用でき、コスト面でも優れています。公共工事での採用も増えており、実用性の高いリサイクル資材です。
アスファルト合材
がれき類は、アスファルト合材の原料としても再利用されています。砕いたがれきをアスファルトに混ぜて新しい舗装材として活用する方法です。
アスファルト合材とは、アスファルト(石油由来の粘性液体)に、砂や砂利、砕石などを加えて製造される舗装用の材料で、主に道路工事に使われます。この再利用により、石油資源の節約と廃棄物の削減が可能になり、環境負荷の軽減にもつながります。
再生骨材
がれき類は、再生骨材としても活用されています。再生骨材とは、解体工事などで排出されたがれきを細かく砕き、コンクリートに混ぜる砂や砂利の代替材として再利用するリサイクル素材です。
近年では、再生骨材を使用したコンクリートが、ビルやマンションの構造部材にも用いられるようになり、JIS(日本工業規格)による品質基準も整備が進められています。こうした取り組みにより、再生骨材への信頼性は徐々に高まっています。
ただし「品質にムラがあるのでは」「十分な実績がないため不安」といった声も依然としてあり、全国的な普及は進行中の段階です。今後、公共工事などでの採用が拡大すれば、使用実績が増え、より使いやすく信頼性の高い素材として認知が広がると期待されています。
がれき類の処分方法
がれき類は、建設現場や解体工事などで多く発生し、廃棄物処理法にもとづいて処分することが必要です。不適切な処理は、法的リスクや環境への悪影響を招くおそれもあります。ここでは、がれき類の代表的な処分方法を2つ紹介します。
自治体に依頼する
レンガやブロックを粗大ゴミとして回収している自治体もありますが、その数は限られています。現状では、ほとんどの自治体ががれき類の処分を行っていません。
自治体ごとに対応が異なるため、処分方法について事前に確認することが重要です。自治体に依頼する場合は、必ずその自治体のルールに従い、正しい手続きを行うことが求められます。
廃棄物処理業者に依頼する
がれき類は、産業廃棄物として扱われるため、専門の処理業者に依頼する必要があります。無許可の業者や不適切な処理は法律違反となる可能性があるため、必ず産業廃棄物処理の許可を持つ業者を選ぶことが重要です。
信頼できる業者に依頼すれば、法令に則った適切な処分が行えるだけでなく、再生砕石や路盤材へのリサイクルにも対応してくれる場合があります。業者を選定する際には、産業廃棄物収集運搬業の許可証を確認し、信頼性のある業者を選びましょう。
イーブライトでは、産業廃棄物処理のサービスに関するお見積りを承っております。
お問い合わせフォームよりぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
がれき類とは、建設現場や解体工事で発生するコンクリートやアスファルトの破片、レンガのかけらなど、建設系廃棄物を指します。たとえば、建物の壁や土台を壊した際に出るコンクリートの破片や、道路の舗装工事で発生するアスファルト片などが含まれます。
がれき類は約96.4%もの高い割合で再生路盤材や再生砕石としてリサイクルされていますが、不法投棄が依然として多いという現状があります。たとえ自社で不法投棄をしていなくても、委託先の業者が不法投棄を行えば、排出事業者である自社にも法的責任が及ぶため、注意が必要です。
環境への配慮と法令順守を徹底するためにも、信頼できる専門業者に処理を委託することが重要です。
イーブライトは、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県・茨城県・静岡県を対象に、産業廃棄物の回収サービスを提供している業者です。現場から排出されるがれき類を定期的に回収し、収集や分別からリサイクルまで一貫して対応しています。
再利用が難しいものは最終処分場に運搬し、再利用可能な資源は適切にリサイクルしています。また、計量器付きパッカー車を導入することで、廃棄物の正確な排出量管理を可能にし、処分費用を明確に提示します。
がれき類の処理に関するお悩みがあれば、ぜひイーブライトにご相談ください。