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飲食店のFLコスト・FL比率とは?重要性や計算方法・目安・改善ポイントを解説

飲食店の経営において「売上はそこそこあるのに利益が残らない」と悩む経営者は少なくありません。その原因のひとつが、FLコストの管理不足です。FLコストとは、食材費と人件費の合計で、飲食店のコスト構造の中核を担う指標です。

この記事では、FLコストとFL比率の基本から、計算方法・適正値・改善策まで、飲食店経営に役立つ情報をわかりやすく解説します。

飲食店のFLコスト・FL比率とは

飲食店を経営するうえで最初に押さえておきたい指標が、FLコストとFL比率です。数字を正確に把握することが、安定した経営の第一歩になります。

まずは、基本的な定義と、なぜこの指標が重要視されるのかを理解しましょう。

FL比率とは?

FLコストとは、Food(食材費)とLabor(人件費)を合算したコストのことです。飲食店の経費のなかでも最も大きな割合を占めるのがこの2項目であり、収益性を左右する最重要コストとして広く認識されています。

FLコストを売上高で割り、100を掛けたものが「FL比率」です。計算式は以下のとおりです。

FL比率(%)=(食材費+人件費)÷ 売上高 × 100

たとえば、月商300万円の飲食店で、食材費90万円・人件費75万円だった場合、計算式に当てはめると(90万円+75万円)÷ 300万円 × 100=55%となります。つまり、この店のFL比率は55%ということです。

なお、人件費の範囲については、広義にとらえるか狭義にとらえるかで数値が変わる点に注意が必要です。給与・賞与だけでなく、社会保険料・交通費・残業手当なども含めて計算するのが、より実態に即したFL比率の算出につながります。

自店の定義を明確にしたうえで、継続的に同じ基準で計測することが大切です。

なぜFLコストとFL比率が飲食店経営で重要なのか

FLコストは、飲食店経費の大部分を占めます。そのため、FL比率を適切に管理できなければ、売上が伸びても利益が手元に残らない「勝ちにくい経営」に陥るリスクがあるのです。

飲食店の売上から差し引かれる経費は、FLコスト以外にも家賃・光熱費・減価償却費・消耗品費など多岐にわたります。これらの固定費の合計が、一般的に売上の30〜35%程度を占めるといわれています。

業態にもよりますが、FL比率だけで売上の60%を超えてしまうと、その他の経費をまかなえず、利益が出ない構造になるリスクが高まってしまうのです。

逆にいえば、FLコストを適正な水準に保てれば、同じ売上でも利益が大きく変わります。FL比率は、店舗の収益性を客観的に可視化する「経営の体温計」ともいえる指標です。定期的に計測・確認する習慣をつけることが、健全な経営の土台となります。

こちらの記事では、飲食店の利益率について解説しています。目安の数値や利益率をアップさせる方法なども取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

FL比率の目安は「60%」とされている

FL比率の適正値について、独立行政法人中小企業基盤整備機構「小規模事業者支援のための業務必携」では、標準的な飲食店のFL比率を売上の約60%としています。これは、業界で広く参照される基準値となっています。

さらに各種データを参考にした実態としては、55〜60%が平均的な水準となっています。内訳の目安としては、食材費(F)が30%以内、人件費(L)が30%以内とされています。

FL比率が65%を超えると赤字リスクが高まり、55%以下であれば経営状態が良好な水準といえるでしょう。

なお、FL比率の「適正値」は「60%以下」が目安ですが、超優良店では50%を目指すケースもあります。単一の数値を絶対視するのではなく「60%以下を維持しながら、50%台前半を目標にする」という段階的な目標設定が実践的です。

出典:独立行政法人 中小企業基盤整備機構「小規模事業者支援のための業務必携」(https://www.smrj.go.jp/supporter/training/fbrion0000004bro-att/R3fy_shoukibo-gyoumuhikkei.pdf#page=106

業態別のFL比率の目安

FL比率の目安は、業態によって異なります。食材費と人件費のバランスは、店舗のコンセプトや提供スタイルによって大きく変わるからです。代表的な業態別の目安は、以下のとおりです。

【ラーメン店】

  • 食材費:30%前後
  • 人件費:20〜25%
  • FL比率:50〜55%

調理工程がシンプルで人員を絞りやすく、比較的FL比率を低く抑えやすい業態です。

【カフェ】

  • 食材費:25%前後
  • 人件費:25〜30%
  • FL比率:50〜55%

ドリンクの原価率が低めであることが特徴です。ただし、接客に時間がかかる分、人件費が膨らみやすい側面もあります。

【居酒屋】

  • 食材費:30〜35%
  • 人件費:25〜30%
  • FL比率:55〜65%

刺身や生ビールは原価率が高い一方、サワー類は低めです。ドリンクメニューの設計次第で、FL比率の改善余地があります。

【焼肉店】

  • 食材費:40〜45%
  • 人件費:15〜20%
  • FL比率:55〜65%

食材費が高い反面、お客様自身が調理を行うためスタッフ数を抑えやすく、人件費が比較的低い傾向にあります。

【ファミリーレストラン・レストラン】

  • 食材費:30〜35%
  • 人件費:25〜30%
  • FL比率:55〜65%

業態の幅が広く、セントラルキッチンの活用有無や席数によって変動します。

このように、食材費が高い業態は人件費を抑えて補う、逆に人件費がかかる業態は食材費を低く設計するという「バランスの取り方」が、FL比率の管理の本質です。自店の業態特性を踏まえ、F・Lの内訳を意識した目標設定を行いましょう。

【注意】FL比率は低ければよいというわけではない

FL比率を下げることは大切ですが、数値だけを追い求めるのは危険がともないます。

食材費を削りすぎれば、料理の質が低下して顧客満足度の低下を招きかねません。人件費を削りすぎれば、スタッフ不足によるサービスの低下・従業員の離職・長時間労働の常態化につながります。

これらは、いずれもQSC(品質・サービス・清潔感)の低下を招き、長期的には顧客離れ・売上減少という形で経営を悪化させます。

FL比率の改善は「コストを削る」ことではなく「同じコストで出せる価値を高める」ことが本質です。たとえば、食材の使い切りを徹底することで廃棄を減らし、スタッフの育成によって少人数でも質の高いサービスを提供できる体制にする、といった工夫が求められます。

こうした地道な取り組みの積み重ねが、健全なFL比率の実現につながります。

FLコストを適正化するためのポイント

FL比率が目安を超えている場合、まず食材費(F)と人件費(L)のどちらに問題があるかを切り分けることが重要です。それぞれの特性に応じた改善施策を講じることで、無駄を省きながら収益性を高めることができます。

F:食材費を適正化するには?

食材費の適正化は、FL比率改善の基本です。仕入れから調理・廃棄までの一連の流れを見直すことで、多くの改善余地が見つかります。

食材のロスを減らす

食材ロスの削減は、食材費を抑えるうえで最優先に取り組むべき課題です。売上予測を立て、適切な量だけ仕入れる習慣の確立が基本となります。また、先に仕入れた食材から優先的に使う「先入れ先出し(FIFO)」の徹底も、鮮度管理と廃棄削減の両方に効果があります。

ここで見落とされがちなのが、食材を廃棄するコストです。食材を無駄にすることは、食材費を損するだけにとどまらず、事業系ごみとしての処理費用を増大させる原因にもなります。

ゴミ処理費用はFL比率には含まれませんが、積み重なれば経営を圧迫する見えにくいコストです。食材ロスを減らすことは、食材費の節約と廃棄コストの削減を同時に実現する、一石二鳥の取り組みといえます。

オーバーポーションをなくす

オーバーポーションとは、メニューごとに定めた適正量を超えて食材を盛り付ける状態を指します。一品あたりのコストが増えるため、積み重なると利益を大きく削る「隠れた赤字要因」です。

対策としては、1品あたりの適正量をレシピとして明文化し、計量スプーンや専用スケールを使った計量の徹底が効果的です。スタッフ全員が同じ基準で盛り付けられる環境を整えることで、品質のばらつきも抑えられます。

「少しくらいなら大丈夫」という感覚的な判断は、月単位・年単位で見ると大きなコスト差を生じさせます。この危機感を、チーム全体で意識共有することが大切です。

仕入先を見直す

食材の仕入れ価格は、仕入先の選定によって大きく変わります。近所のスーパーで購入している場合、業務用食材店や農家との直接取引に切り替えるだけで、同じ食材でもコストを下げられる可能性があります。

また、複数の仕入先に対して定期的に相見積もりを取ることも有効です。長年同じ業者と取引していると、価格感覚が鈍くなりがちですが、比較することで適正価格を把握できます。

使用量の多い食材については、まとめ買いや直接契約による中間マージンの削減も検討してみましょう。

メニューを見直す

メニューは「お客様に選ばれるもの」であると同時に「利益を生む商品設計」でもあります。原価率の高いメニューが多く注文されている場合、それだけでFL比率が上昇します。

「メニューエンジニアリング」という考え方では、各メニューを「利益率」と「注文数」の2軸で分類し、利益率が高く注文数も多い「スターメニュー」を特定します。このスターメニューをメニューブックの目立つ位置に配置したり、スタッフが積極的に推奨したりすることで、自然と利益率の高い商品が売れる設計にできます。

また、原価率の高い食材を別の食材に置き換えた代替メニューの開発も、食材費削減の有効な手段です。

L:人件費を適正化するには?

人件費の適正化は、単純な削減ではなく「生産性の向上」という観点から取り組むことが重要です。スタッフの働きやすさを保ちながら、効率的な運営体制を整えましょう。

人材育成を行う

スタッフの育成は、長期的な人件費の最適化に直結します。とくに効果的なのが「多能工化」と呼ばれる考え方です。一人のスタッフがホール業務と簡単な調理補助を両方できるようになると、少人数でも店が回る体制が生まれます。

また、業務習熟度が上がるほど作業スピードが向上し、1時間あたりにこなせる業務量が増えます。結果として、同じ人件費でより多くのお客様に対応できるようになる、ということです。育成コストは短期的には負担ですが、中長期的にはFL比率の改善につながる投資ととらえましょう。

オペレーションを見直す

キッチンやホールの動線を見直すだけで、スタッフの無駄な移動が減り、業務効率が向上することがあります。また、モバイルオーダーやクラウド型POSレジなどのITツールを導入することで、注文受付・会計・在庫管理をデジタル化し、省人化と正確性の向上が同時に実現できます。

ITツールへの初期投資は必要ですが、長期的に見れば人件費の削減と業務品質の向上につながるため、費用対効果の高い施策です。小規模な店舗でも導入しやすいクラウド型サービスが増えているため、自店の規模に合ったツールの検討をおすすめします。

シフトを見直す

人件費の無駄が生まれやすいのは、来店数と人員配置のミスマッチです。混雑していない時間帯にも必要以上のスタッフが入っている場合、売上に対して人件費が過剰な状態になります。

過去の売上データや来客数のデータをもとに、曜日・時間帯・天候ごとの来客予測を立て、必要な人員数を割り出す「人時売上高」の考え方が有効です。

人時売上高とは、1人のスタッフが1時間あたりに生み出す売上の額であり、これを目標値として設定することで、過不足のないシフト設計が可能になります。データに基づくシフト管理は、スタッフの満足度を保ちながら人件費を最適化するための基本です。

家賃を加えた「FLRコスト・FLR比率」も押さえておこう

FLコストを管理できるようになったら、次のステップとして「FLRコスト」も意識した経営を心がけましょう。FLRコストとは、FLコストに家賃(Rent)を加えた指標です。

飲食店において、家賃は食材費・人件費に次ぐ大きな固定費であり、これを含めて管理することで、より現実的な収益構造を把握できます。

FLRコスト・FLR比率の計算方法

FLRコストの計算式は以下の通りです。

FLRコスト=食材費(F)+人件費(L)+家賃(R)

これを売上高で割ったものがFLR比率です。

FLR比率(%)=(食材費+人件費+家賃)÷ 売上高 × 100

たとえば、月商300万円の飲食店で、食材費90万円・人件費75万円・家賃30万円の場合、(90万円+75万円+30万円)÷ 300万円 × 100 = 65%となります。

FLR比率の目安

FLR比率の一般的な目安は「70%以下」とされています。

内訳としては、FL(食材費+人件費)を60%以内・家賃(R)を10%以内に収めるのが基準です。逆に考えると、家賃に対して10倍以上の売上高が理想的といえます。

ただし、駅前などの好立地で集客を重視する場合は家賃比率が高くなる一方、セルフサービス化で人件費を抑えるなど、業態や立地戦略に応じてバランスを取ることも可能です。重要なのは、FLRの合計が70%以内に収まるよう、3つの要素を総合的にコントロールすることです。

FL比率だけを改善しても、家賃が売上に見合っていなければ利益を出すことはできません。FLR比率は、立地戦略の振り返りや出店前のシミュレーションにも役立つ指標です。

まとめ

FLコストとFL比率は、飲食店経営の収益性を判断するうえで欠かせない指標です。FL比率の目安は60%以下とされており、55%以下を目指すことで経営の安定性がより高まります。食材費・人件費それぞれの適正化施策を地道に積み重ねることが、利益の出る店舗づくりへの近道です。

また、見落としがちな視点として「廃棄コスト」があります。食材ロスを削減する取り組みは、食材費の節約だけでなく、事業系ごみの処理コストを抑えることにも直結します。廃棄物の適正管理は、FL比率の改善とともに飲食店経営のコスト全体を健全に保つために重要な要素のひとつです。

廃棄物処理の適正化に関心がある方は、ぜひイーブライトの公式サイトやInstagramもご覧ください。飲食店の経営コスト改善に役立つ情報を発信しています。

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