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産業廃棄物に分類される「ガラスくず」とは?適切な処理とリサイクル方法

事業活動から発生する「ガラスくず」は、空き瓶や板ガラス、グラスファイバーなどさまざまな種類があります。これらは産業廃棄物に分類され、家庭ごみのように簡単に処理することはできません。不適切に処分すると、法令違反や事故を引き起こす可能性があります。
とくに、割れたガラスは従業員の怪我の危険もあるため、確実かつ安全な対応が欠かせません。
本記事では、ガラスくずの種類や処理方法について解説しています。リサイクル方法も紹介していますので、職場の安全管理やコスト削減の取り組みにぜひご活用ください。
ガラスくずとは?
ガラスくずとは、店舗・工場・工事現場など、事業活動中で発生する、ガラスを主原料とした廃棄物のことです。事業活動によって排出された、ガラスを主成分とする廃棄物は「産業廃棄物」に分類されます。
産業廃棄物は法律で20種類に区分されており、ガラスくずは「ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず」に含まれます。実際には、全国で年間762万9,000トンのガラスくずが発生しており、産業廃棄物のなかでも排出量が多い種類です。
ここでは、産業廃棄物上の「ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず」の特徴について紹介します。
出典:環境省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」|e-GOV法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137)
出典:環境省「令和5年度事業 産業廃棄物排出・処理状況調査報告書 令和4年度速報値(概要版)(https://www.env.go.jp/content/000220694.pdf)
ガラスくず
ガラスくずとは、工事現場や工場、小売店舗などで発生する壊れたガラスやガラスの破片のことです。以下のような品目が該当します。
・レストランや工場から出る空きビン
・建物の解体や工事現場で出る板ガラスの破片
・蛍光灯やブラウン管などのガラス部品
・製造工程で破損したガラス製品や不良品
・ガラス繊維(自動車部品や電気部品に使われるグラスファイバー等)
・カレット(リサイクル用に砕かれたガラスの破片)
・ガラス粉(陶芸などに使われる細かいガラス粒子)
・ガラス管
ガラスくずはリサイクル可能な資源ですが、汚れや異物の混入があると再利用が難しくなります。また、割れたガラスは怪我の原因になるため、保管や運搬時の取り扱いに注意が必要です。
陶磁器くず
陶磁器くずとは、タイルや陶器製の洗面台、便器、食器などの焼き物が破損したときに発生する破片のことです。具体的には以下のようなものがあります。
・土器くず:植木鉢や素焼きの器など、やわらかい焼き物の破片
・陶器くず:皿や花瓶など、粘土を高温で焼いた食器類の破片
・磁器くず:高級食器やカップに使われる、硬くて光沢のある焼き物の破片
・炻器(せっき)くず:信楽焼や備前焼など、陶器と磁器の中間の性質を持つ焼き物の破片
・フェライトくず:電気部品や磁石に使われる磁性材料の破片
・セラミックくず:電子部品や工業製品で使われる硬質な人工の焼き物の破片
・素焼きくず:本焼き前に低温で焼いた段階の焼き物の破片
・耐火レンガくず:炉や焼却炉などの高温に耐えるレンガの破片
・焼瓦くず:屋根に使用される瓦の割れた部分
・タイルくず:キッチンや浴室で使用されるタイルの割れた破片や端材
陶磁器くずは、製造工場や小売店、建設現場などで多く発生します。
コンクリートくず
コンクリートくずとは、製造や建設工事の過程で発生する、使用できなくなったコンクリート素材を指します。具体的には以下のようなものがあります。
・コンクリートブロックくず:建物や塀などに使用されているコンクリート製のブロック
・インターロッキングくず:公園や歩道で使用されるレンガ状の舗装用ブロック
・セメントくず・モルタルくず:セメントや、砂と水を混ぜたモルタルの残りや固まって使えなくなった材料
ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くずの処理方法
事業活動から発生する「ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず」は、産業廃棄物に分類されるため、廃棄物処理法にもとづいて適切な処理が求められます。
処理の際には、環境への負荷を抑えつつ、リサイクルが行われることが多いです。リサイクルによって再利用されるか、再利用が難しい場合には、最終的に埋立処分が行われます。
リサイクル処理
事業所から排出されるガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くずの多くは、リサイクルされて新しい製品の原料として活用されています。実際、これらの廃棄物の約79%が再利用されている点が特徴です。
たとえば、ガラスくずは回収後に色ごとに分けられ、細かく砕いてカレットと呼ばれる原料になります。カレットは、新しいびんや板ガラスの製造に利用されます。新たな原料の採掘が不要となり、エネルギー消費とCO₂排出を抑えられるができるのが魅力です。
また、リターナブルびんの活用も進んでいます。使用済みのびんを洗浄・消毒して再使用するもので、一升びんやビールびんがその代表例です。このようなリサイクルは、廃棄物の削減だけでなく、限られた資源の有効活用や環境保全にも重要な取り組みです。
出典:環境省「令和5年度事業 産業廃棄物排出・処理状況調査報告書 令和4年度速報値(概要版)(https://www.env.go.jp/content/000220694.pdf)
埋立処理
ガラスくずなどの廃棄物は、まずリサイクルを優先して処理されますが、汚れや異物混入などによりリサイクルが困難なものもあります。リサイクルできないものは、廃棄物を細かく砕いて体積を減らし、安定型最終処分場と呼ばれる施設に埋め立てます。
安定型最終処分場は、雨などで有害物質が溶け出す心配のない、安全性の高い廃棄物(安定型産業廃棄物)だけを埋めるための専用施設です。ガラスくずも、安定型産業廃棄物に分類され、埋め立ての対象となります。
ただし、埋立処理はリサイクルができない場合の最終手段です。再利用の可否は、排出時の分別状況や汚れの程度に大きく左右されます。日常的に適切な分別と管理をすることで、より多くの廃棄物をリサイクルに回せます。
ガラスくずのリサイクル方法
オフィスや工場、建設現場などで発生するガラスくずには、さまざまなリサイクル方法があります。適切なリサイクルは環境保全に貢献するだけでなく、企業のイメージアップにも有効です。ここでは、代表的な3つのリサイクル方法を紹介します。
ガラス原料のカレットとしての再利用
ガラスくずのリサイクルでよく使われているのが、カレットと呼ばれる再生原料への活用です。カレットとは、使用済みガラスを細かく砕いたもので、ガラスくずの一種です。主に新しいガラス容器やびん、ガラス容器の原料として利用されます。
カレットの利用により、けい砂や石灰、ソーダ灰などの天然資源の使用量を削減でき、資源の有効活用につながります。また、低温で溶解できるため、製造にかかるエネルギーやCO₂排出量の抑制にも効果があります。
舗装材などへ再利用
砕いたガラスくずは、道路の舗装材や建設資材としてリサイクルされています。舗装材は道路の表面を構成し、耐久性や視認性の向上に寄与します。再生骨材とは、コンクリートくずやアスファルトくず、ガラスくずなどの廃材を粉砕し、再び建設資材として利用できるようにしたものです。
なかでも注目されているのが「ガラスアスファルト舗装」です。砕いたガラスをアスファルトに混ぜることで、ガラスの粒が光を反射し、路面が夜間でも見やすくなります。安全性の向上に加え、都市景観の美化にもつながる取り組みとして評価されています。
石膏ボードとして再利用
使用済みのガラスくずは、建物の壁や天井に使われる「石膏ボード」の原料として再利用されることがあります。石膏ボードは、オフィスビルや商業施設、住宅など、さまざまな建築物の内装に広く使われている建材です。
防火性や遮音性に優れ、加工しやすいことから、最近ではDIYの材料としても注目されています。粉砕したガラスを石膏に混ぜることで、石膏ボードの強度が増し、耐火性の向上にもつながるのが特徴です。
また、ガラスくずは石膏ボード以外にも、セメントの原料や、農地の土壌を改良する「土壌改良資材」として利用されるケースもあります。土壌改良資材は、土壌環境を整え、作物が育ちやすい環境を作る役割を持ち、ガラスくずは農業分野でも再利用が進んでいます。
ガラスくずの処理を誰に依頼する?
割れたガラスや不要になったガラス製品は、オフィスや工場、建設現場などでよく発生します。ガラスくずは産業廃棄物に分類され、家庭のゴミのように簡単に処分はできません。ここでは、ガラスくずの処理を依頼する方法を解説します。
自治体に依頼する
最初に思い浮かぶのは、自治体の処理サービスかもしれません。しかし、多くの自治体では一般廃棄物のみを受け入れており、事業活動から発生したガラスくずは対象外となることがほとんどです。
会社や工場、建設現場などで発生したガラスくずは産業廃棄物に分類されるため、自治体の処理施設では受け入れが難しい場合があります。自治体への依頼を検討する際は、事前に処理が可能かどうか確認しておくことが重要です。
産業廃棄物処理業者に依頼する
最も確実で安全な方法は、産業廃棄物処理業者に依頼することです。処理業者は自治体の許可を受け、ガラスくずを含むさまざまな廃棄物の回収・運搬・処理を専門に行っています。
ガラスくずは破片が鋭利で、取り扱いを誤ると怪我の原因になる可能性があるため、専門の業者に任せることで、安全かつ迅速な処理が可能です。また、自分で処分場へ持ち込む手間が省けます。
多くの産業廃棄物処理業者は、ガラスくず以外の廃棄物も一緒に回収してくれるため、事務所や工場の整理も効率的に進められます。回収されたガラスくずは、環境に配慮したリサイクルに活用されることが一般的です。
業者との契約には、委託契約書の取り交わしやマニフェスト制度(廃棄物の処理状況を記録・管理する仕組み)への対応が求められ、法令遵守が徹底されます。不法投棄のリスクを避けるためにも、信頼できる業者を選ぶことが重要です。
イーブライトでは、産業廃棄物処理のサービスに関するお見積りを承っております。
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まとめ
事業で発生する「ガラスくず」は産業廃棄物に分類されるため、家庭ごみのように気軽には処分できません。ガラスくずはリサイクル率が高い廃棄物ですが、再利用を実現するためには正確な分別と適切な処理が不可欠です。
また、一部の自治体で処理が可能な場合もありますが、事業活動にともなう「ガラスくず」は、専門の産業廃棄物処理業者に依頼するのが一般的です。専門業者に依頼することで、安全な回収・処理が行われ、事故や怪我、法令違反のリスクも回避できます。
イーブライトでは、ガラスくずをはじめ、コンクリートくずや陶磁器くずなどの産業廃棄物の回収や定期回収に対応しています。また、金属くず、紙くず、がれき類など、その他の産業廃棄物にも幅広く対応可能です。
回収した廃棄物は、適切に分別・リサイクルされます。また、計量器を搭載したパッカー車を使用することで、廃棄物の排出量を正確に管理し、処分費用を明確に提示いたします。産業廃棄物の処理でお困りの方は、イーブライトにご相談ください。