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コンクリートがらはどう廃棄する?正しい分類とリサイクル活用方法

コンクリートがらは、リサイクルしやすい廃棄物です。適切に処理すれば、再生された砂利や砕石、道路の土台材などに再利用できます。
ただし、ほかの廃棄物と混ざってしまうとリサイクルが難しくなるため、不純物を取り除くことが大切です。きちんと分類・分別することで、処理がスムーズになり、コスト削減や環境への配慮、法令の順守にもつながります。
この記事では、コンクリートがらの正しい分類方法や処分方法、廃棄時に守るべきポイントを紹介します。
コンクリートがらとは?
コンクリートがらとは、建物の解体や建築工事の現場で発生するコンクリートの破片やがれきのことです。産業廃棄物の一種で、がれき類に区分されます。
注意すべきポイントは、コンクリートがらは産業廃棄物全体のなかでも大きな割合を占めている点です。環境省の「令和5年度事業産業廃棄物排出・処理状況調査報告書」を種類別に見ると、汚泥(42%)が最も多く、次いで動物のふん尿(22.3%)、がれき類(16.7%)が続き、この3品目だけで全体の約8割を占めています。
コンクリートがらは適切に分別や処理がされれば、ほとんどがリサイクル可能です。排出されたコンクリートがらは、破砕・選別され、再生砕石などとして道路工事や建設現場で再利用されるケースが一般的です。
排出時に不純物を含まない状態で排出すれば、リサイクル処理がしやすくなり、処分費用も抑えられます。一方で、廃プラスチックや木くずなどの不純物の混入は、処理負担と費用を増やす要因です。
そのため、現場で適切に分別し、きれいな状態でコンクリートがらを排出することは、コスト削減と環境負荷の低減につながるでしょう。以下で、コンクリートがらの分類と具体例を紹介します。
出典:環境省「令和5年度事業産業廃棄物排出・処理状況調査報告書」(https://www.env.go.jp/content/000220694.pdf)
コンクリートがらの分類
コンクリートがらは、廃棄物処理法において「工作物の新築、改築、または解体にともなって出たコンクリートの破片やそれに類する不要物」として位置づけられています。名前が長いため、一般的にはがれき類と略して呼ばれることが多く、公的な書類にもこの表記が使用されています。
コンクリートがらは産業廃棄物に該当するため、無許可の業者への依頼は違法です。必ず、産業廃棄物処分の許可を取得した運搬業者または処分業者に依頼しなければなりません。
出典:環境省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令」を加工して作成|e-GOV法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/346CO0000000300)
コンクリートがらの具体例
建設工事や解体工事などの作業中に出るコンクリートは「コンクリートがら」として扱われます。たとえば、家やビルを建設する際やリフォーム、空き家の解体、道路補修工事などで生じるコンクリート破片が該当します。
つまり「建物の建築・修理・解体」など、工事にともなって排出されたコンクリートの分類は、産業廃棄物としての「コンクリートがら」です。
ただし、工事とは関係ない場所で発生したコンクリートの破片は「コンクリートがら」には該当しません。たとえば、工事現場以外で出たコンクリートの破片などは「コンクリートくず」に分類されます。
コンクリートくずとの違い
コンクリートがらとコンクリートくずは、名称は似ていますが、分類や処分方法が異なる別の産業廃棄物です。2つの違いは「どこで」「どうやって」発生したかによって決まります。
工作物の新築、改築または除去にともなって生じたコンクリートの破片は「コンクリートがら」として、廃棄物処理法により「がれき類」に分類される産業廃棄物です。工作物とは、建物や橋、道路など地面に固定された人工構造物を指すものです。そのため、建築や解体などの工事現場から排出されたコンクリートは、すべてコンクリートがらに該当します。
一方、コンクリートくずは、廃棄物処理法において「ガラスくず、コンクリートくずおよび陶磁器くず」に分類されています。建設工事以外の現場で発生したコンクリート破片が対象であり、製造工程中に発生した、コンクリートブロックなどの不良品が該当します。
法律上も「工作物の新築、改築または除去にともなって生じたものを除く」と記述されているとおり、明確に区別されています。
出典:環境省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令」を加工して作成|e-GOV法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/346CO0000000300)
コンクリートがらの処分方法
環境省の令和5年度の産業廃棄物処理データによると、コンクリートがらを含む「がれき類」のうち、実に96.4%がリサイクルされています。最終処分として埋立てられる割合はごくわずかであり、コンクリートがらは非常に高いリサイクル率を誇る素材です。
排出事業者が出したコンクリートがらは、次のような工程でリサイクルされていきます。
1.粗破砕
まず、現場から運ばれてきた大きなコンクリートの塊を、重機を使って粗く破砕します。
2.細破砕
続いて破砕機にかけ、さらに細かく粉砕していきます。粒状にすることで、後の選別作業がスムーズになります。
3.磁力選別
コンクリートがらには鉄筋などの金属片が混入していることが多いため、磁力選別機を使って金属を除去します。
4.ふるい分け(粒度調整)
用途に応じた大きさに整えるため、ふるいにかけて分別します。ふるい分けにより再利用しやすくなります。
5.再磁選
ふるい分け後にも、わずかに残る金属類を再度磁選機にかけて徹底的に除去します。
多くの場合、現場ではコンクリートがらが鉄筋や木材などの廃材物が同時に排出されます。そのため、現場で異物をあらかじめ取り除いておくことが重要です。分別が適切に行われることで、リサイクル工程が円滑になり、最終的な処理コストの削減にもつながります。
出典:環境省「令和5年度事業産業廃棄物排出・処理状況調査報告書」(https://www.env.go.jp/content/000220694.pdf)
コンクリートがらの活用方法
コンクリートがらは、粉砕して粒の大きさを調整し、金属や異物を取り除くことで、再生骨材や再生砕石、再生路盤材として再利用できます。ここでは、リサイクルされたコンクリートがらの活用方法を紹介します。
再生骨材
コンクリートがらは、再生骨材としてコンクリートやアスファルトの材料に利用されます。コンクリート製品を構成する石や砂のことで、強度や耐久性を確保するために欠かせない素材です。
コンクリートの主な材料は、セメント、水、骨材(砕石や砂利など)です。このうち、骨材は、セメントの発熱や乾燥収縮を抑える役割を担い、製品の安定性を保ちます。
再生骨材は、以下のような用途で幅広く活用されている素材です。
・コンクリート管
・マンホール
・擁壁
・土間コンクリート
・鉄筋コンクリート造(RC建造物)など
再生骨材を活用することで、天然の砕石や砂利の使用量を抑えられ、環境負荷の軽減や資源の節約にもつながります。
再生砕石
再生砕石は、不要になったコンクリートがらなどをリサイクルして作られた砕石です。見た目は天然の砕石とほとんど変わらず、環境に優しく、コスト削減にもつながることから、現在多くの建設現場で活用されています。
通常、砕石は採石場で天然の岩を掘り出し、砕いて作られます。しかし、再生砕石は新たに天然資源を採掘せずにすむため、天然資源の保全や、環境負荷を減らすことが可能です。
再生砕石の主な用途は以下のとおりです。
・路盤材(ろばんざい)
道路の下地として使用され、コンクリートやアスファルトの塗装前に地盤を安定させる役割を果たします。道路の耐久性を高めるために不可欠です。
・埋め戻し材
土木工事で掘った穴や溝を埋める際に使われます。
・基礎材
建物や構造物の土台として利用され、構造物の安定性を支えるための資材です。
適切に処理・再利用されたコンクリートがらは、社会インフラを支える再生資源として有効に活用されます。
再生路盤材
再生路盤材は、道路の基礎部分に使われるリサイクル資材です。天然の砕石に比べてコストを抑えられるため、建設費用の削減につながります。廃棄されるはずだったコンクリートの破片は、道路基盤として生まれ変わり、環境保全と資源の節約に貢献しています。
コンクリートがらの処分でよくある質問
ここでは、コンクリートがらを処分する際に注意すべきポイントを解説します。法令を守り、適切に処理するための参考にしてください。
コンクリートがらを不法投棄すると?
コンクリートがらを不法投棄すると、排出事業者も責任を問われます。産業廃棄物処理法では、排出事業者も処理責任を負うことが定められているためです。不法投棄の際には最大で5年の懲役または1000万円の罰金が科せられ、法人の場合はさらに3億円の罰金が科されることもあります。
また、不法投棄が報道されると、企業の信用が大きく損なわれる可能性があります。たとえ不法投棄を知らなかったとしても「処理責任を果たしていなかった」として社会から非難される可能性は否定できません。排出事業者は、廃棄物の最終処理まで責任を持って管理することが大切です。
出典:環境省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」|e-GOV法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137)
コンクリートがらの処分は個人でもできる?
コンクリートがらは「産業廃棄物」に分類されるため、通常は許可を持つ専門の業者に依頼して処分する必要があります。ただし、個人事業主として正式に届け出をしていれば、自ら処分場に持ち込むことも可能です。
ただし、持ち込む際にはいくつかの法的ルールを守る必要があります。たとえば、マニフェスト(産業廃棄物管理票)の作成・提出、認可を受けた車両の使用、運搬中の書類の携帯などが必要です。
これらの手続きを怠ると法令違反となり、罰則を受ける可能性があります。排出事業者として責任を持って処分するためにも、適切に行えるかどうかを慎重に判断しましょう。
コンクリートがらの処分を依頼する業者の選び方は?
コンクリートがらの処分を業者に依頼する際、どの業者でもよいわけではありません。万が一、依頼した業者が不適切処理をした場合、責任は排出事業者にもおよぶ可能性があります。
業者を選ぶ際のポイントは以下のとおりです。
・産業廃棄物処理に必要な許可を持っているか
・料金体系が明確か
・行政処分歴がないか
コンクリートがらは「がれき類」に分類される産業廃棄物です。そのため、必ず産業廃棄物収集運搬業や処分業の許可を持った業者に依頼しましょう。また、安さを強調する業者には注意が必要です。信頼できる業者であれば、処理の流れや運搬先、費用の内訳など、詳細を説明してくれます。
また、過去に行政処分を受けた履歴がある業者は、違法行為のリスクが高いため、事前に過去の実績や評判を十分に確認してから依頼しましょう。
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まとめ
コンクリートがらを含むがれき類は、全体の96%以上がリサイクルされており、非常に高いリサイクル率を誇ります。コンクリートがらは再生骨材や再生砕石、再生路盤材として再利用され、マンホール、擁壁、土間コンクリート、さらには道路や建物の基盤にも利用されています。
効率的にリサイクルを進めるためには、異物を混入させず、できるだけ純粋な状態で排出することが大切です。排出時に不純物を取り除いておくことで、リサイクルがスムーズになり、処理費用も抑えられます。
イーブライトは、横浜市・川崎市を中心に事業系ごみの回収サービスを提供している業者です。現場から排出されるがれき類を定期的に回収し、収集や分別からリサイクルまで一貫対応しています。再利用が難しいものは最終処分場に運搬し、再利用可能な資源は適切にリサイクルしています。
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