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石膏ボードの正しい処分方法とは?分類・リサイクル・注意点まで徹底解説

建設現場やリフォーム工事でよく使われている石膏ボードは、軽くて扱いやすい一方で、有害物質を含む場合があります。不適切に処分すると、法律違反や健康被害のリスクを招くおそれがあるため注意が必要です。さらに、保管や分別の方法によっては、リサイクル可否や処分コストにも大きな差が出ます。
この記事では、石膏ボードの基本的な性質や、正しく処分するためのポイント、処理の際の注意点もわかりやすく解説します。
石膏ボードの正しい処分方法とは?
石膏ボードは、不適切に処分すると有害なガスが発生し、人体への悪影響や法的な罰則を招くおそれがあります。そのため、安全かつ適切に処分しなければなりません。ここでは、石膏ボードの特徴と処分時の注意点について解説します。
石膏ボードとは
石膏ボードは、鉱物の一種である石膏(硫酸カルシウムと水が結びついた鉱物)を板状に成形し、その両面に丈夫な紙を貼り付けた建築資材です。軽くて取り扱いやすく、コストも比較的安いため、新築やリフォーム現場で広く使用されています。
木材とは異なり、湿度や温度の変化による伸縮が少なく、施工後の仕上がりが安定する点が特徴です。また、防火性や遮音性にも優れているため、壁や天井、間仕切りなどの内装材として活用されています。
最近では、DIY素材としても人気があり、一般家庭でも壁や仕切りを自作する際に用いられています。
石膏ボードは産業廃棄物になる
石膏ボードは、建設現場やリフォーム工事でよく使われる建材ですが、廃棄する際には「産業廃棄物」として処理する必要があります。分類的には「ガラスくず・コンクリートくずおよび陶磁器くず」に該当し、廃棄物処理法にもとづいた適切な処理が義務付けられています。
とくに注意すべき点は、石膏ボードが雨に濡れることで、有毒な硫化水素というガスが発生するおそれがある点です。硫化水素は、微量でも吐き気やめまい、呼吸困難などを引き起こし、高濃度では意識障害や命を落とす危険もあります。
そのため、個人用として処分する際も家庭ごみや一般廃棄物としての廃棄はできません。必ず、産業廃棄物として専門業者に依頼するか、自治体の指導にしたがって処理しましょう。
また、古い建物を解体時に出る石膏ボードには、アスベスト(石綿)やヒ素、カドミウムなどの有害物質が含まれている場合があります。人体に非常に深刻な影響を及ぼすため、必ず産業廃棄物や特別管理産業廃棄物として適切に処理しなければなりません。
不適切に処理すると、最大で5年以下の懲役、または1,000万円以下の罰金(またはその両方)が科される可能性があるため、注意が必要です。
出典:環境省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令」|e-GOV法令検索(https://elaws.jp/view/346CO0000000300)
石膏ボードはリサイクルできる!
石膏ボードは、適切に分別・保管すればリサイクル可能な資源です。再生された石膏は、新しい石膏ボードの原料や、土壌改良材・セメント原料などに再利用できます。
ただし、破棄された石膏ボードの状態が悪ければリサイクルできません。リサイクルできれば、処分費用が安くなるため、コスト削減と環境配慮につながります。
たとえば、以下のような石膏ボードは、リサイクルに適しています。
・未使用品やきれいな端材
・紙クロス貼りのもの(※ビニールクロスはNG)
・水や雨に濡れていない状態
・ほかの廃棄物と混ざっていない(純粋な石膏ボード)
一方、以下の状態になると、リサイクルが難しくなり、処分費用も高くなる傾向があります。
・水に濡れている(※硫化水素という有毒ガスが発生するおそれあり)
・ビニールクロスや装飾材が貼られているもの
・木くずなどほかの廃棄物が混ざっている状態
・粉砕されてミンチ状になっているもの
・カビが発生しているもの
業者に渡す前の保管や分別を正しく行うことで、不要な処分コストが抑えられます。
石膏ボードの処分方法
石膏ボードを適正に処分するためには、主に次の3つの方法があります。それぞれの特徴を押さえて、自社の状況や処分目的に合った処分方法を選びましょう。
不用品回収業者に依頼する
石膏ボードの処分には、不用品回収業者へ依頼する方法があります。不用品回収業者とは、家庭や事業所で使わなくなった家具や日用品を引き取ってくれる業者のことで、引っ越しや事務所の整理時に便利です。大きな不用品も業者が運搬・回収してくれるため、手間がかかりません。
ただし、すべての不用品回収業者が石膏ボードに対応しているわけではありません。家庭向けの一般廃棄物しか扱えない業者もあれば、事業系廃棄物を取り扱う専門業者もあります。
石膏ボードは、法律上産業廃棄物に分類されるため、処分を依頼するには「産業廃棄物収集運搬業」の許可を取得している業者に依頼する必要があります。事前に対応可能な業者かどうかを確認しておきましょう。
最終処分場への持ち込み
石膏ボードを排出事業者が直接、最終処分場へ持ち込む方法もあります。この場合、産業廃棄物収集運搬業の許可や運搬の届け出は不要で、業者に委託するよりも処分費用を抑えられるのがメリットです。
ただし、運搬車両の手配や積み降ろし作業など、すべて自社で対応する必要があるため、手間や時間がかかる点を考慮しておきましょう。さらに、マニフェストの作成・提出も求められます。
マニフェストは、廃棄物の処理の過程を記録し、適切に処理されたことを証明する書類です。廃棄物の種類や排出場所、運搬経路、処分場情報などを記載する必要があります。排出量が少量であっても作成義務があります。
また、運搬車両には「産業廃棄物運搬車両」や「会社名」などの表示をして、関係書類を常備しておく義務もあります。表示や書類の不備があると、法令違反となる可能性があります。
産業廃棄物処分業許可を持つ業者に依頼する
産業廃棄物処分業許可を持つ専門業者に依頼する方法です。費用は発生しますが、処分場まで自分で運ぶ必要がないため、業務効率が上がり確実な処分が可能です。
排出事業者にはマニフェストの作成義務がありますが、多くの業者が用紙の準備や記入をサポートしてくれるため、初めての方でも安心です。また、自分で運搬する際に必要な車両表示や書類携帯の義務も不要となるため、事務的な負担も軽減されます。
ただし、処分を頼む際は必ず「産業廃棄物処分業許可」を保有している業者を選びましょう。無許可の業者に依頼すると、排出者である事業者にも責任が生じ、法令違反として罰則を受けるおそれがあります。
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石膏ボードを処分する際の注意点
石膏ボードは、適切に処理しないと人体への悪影響や思わぬ法的リスクを招く可能性があります。ここでは、石膏ボードを安全かつ適正に処分するためのポイントを紹介します。
きちんと分別する
石膏ボードのリサイクル率を高めるためには、現場での的確な分別が必要です。異物が混入するとリサイクルが難しくなり、処分費用も高くなります。
リサイクルを可能にするには、ほかの廃棄物と混ぜずに保管し、表面のクロスや異物をできるだけ取り除くことがポイントです。適切に仕分けておけば、再資源化率が上がるだけでなく、処理コストも抑えられます。
また、石膏ボードは「管理型産業廃棄物」に分類されるため、「安定型産業廃棄物」とは別の方法で処分されます。安定型産業廃棄物とは、水に濡れても性質が変わらず、有害物質を出さない比較的安全な廃棄物のことです。
石膏ボードは水に溶けると環境に悪影響を与えるおそれがあるため、管理型最終処分場で厳重に処理する必要があります。
そのため、石膏ボードはほかの廃棄物とは分けて保管・処分するのが原則です。少し手間はかかりますが、正しく分別すれば、安全かつコストを抑えた処理が可能になります。
水に濡れる場所に放置しない
石膏ボードは水に弱い建材です。雨ざらしや湿気の多い場所に放置すると、硫化水素という人体に有害なガスが発生するおそれがあります。硫化水素は、吸い込むとめまいや吐き気を引き起こす危険なガスなため、水に濡れる環境での保管は避けましょう。
また、石膏ボードの保管状態によってはリサイクルも難しくなり、最終的に埋立処分になってしまうこともあります。その結果、処分費用が高くなる可能性もあります。リサイクル率を高め、処分費用を抑えるためには、以下のような保管方法を意識しましょう。
・雨風を防げる屋内で保管する
・屋外に置く場合は防水シートで覆う
・湿気がこもらない、風通しのよい乾燥した場所に置く
乾いた状態で保管しておけば、リサイクルできる可能性が高まり、コスト削減にもつながります。
有害物質を含有していないか確認する
古い建物の解体やリフォーム工事で出る石膏ボードには、人体に有害な物質が含まれている可能性があります。とくに1970〜1990年代に建てられた建物では、以下の有害物質が含まれていることがあり、注意が必要です。
・アスベスト(石綿)
吸い込むと肺がんや中皮腫などを引き起こす可能性がある発がん性の高い物質
・ヒ素・カドミウム
土壌や水を汚染し、人体に深刻な健康被害を及ぼす有毒物質
有害物質が含まれている石膏ボードは、特別管理産業廃棄物として扱われる可能性があります。処分を依頼できるのは、専用の許可を持つ業者に限られます。安心して処分を進めるためにも、事前に有害物質の有無を確認しておきましょう。
まとめ
石膏ボードは、「ガラスくず・コンクリートくずおよび陶磁器くず」という産業廃棄物に分類されます。家庭ごみとしては捨てられず、事業活動で出た場合はもちろん、個人でも産業廃棄物として適切な方法で処理しなければなりません。
古い石膏ボードには、アスベストなどの有害物質が含まれている可能性があり、その場合は「特別管理産業廃棄物」としてさらに厳重な管理が求められます。保管の際は、クロスや木片、金属などを混ぜず、乾いた状態を保ちましょう。
石膏ボードを処分する方法としては、自社で直接処分場に持ち込むことも可能ですが、マニフェストの作成や運搬車両の表示など、手間がかかります。確実かつ手軽に処分するには、専門の産業廃棄物処理に依頼するのが安心です。
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