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廃プラスチック類の分類と処理方法|確認すべきポイントとは?

廃プラスチック類とは、企業や団体の事業活動にともなって発生したプラスチックごみのことを指します。廃プラスチック類は産業廃棄物に分類され、処理する際は専門業者へ依頼が必要です。
この記事では、廃プラスチックの定義をはじめ、分類や処理方法、処理する際に押さえるべきポイントをわかりやすく解説します。
廃プラスチック類とは?定義と分類
現代の生活において、プラスチックを目にしない日はまずありません。そんなプラスチックが、どのような基準で廃プラスチック類として扱われるか、またどのような分類が存在するかについて解説します。
廃プラスチック類の定義
廃プラスチック類とは、企業や団体などの事業活動によって発生したプラスチックごみのことです。具体的には使用済みで不要となったプラスチック製品や、製造する過程で発生した端材やくずなどが該当します。
廃プラスチック類の分類
廃棄物は、産業廃棄物と一般廃棄物に大別されます。両者の違いは、以下のとおりです。
・産業廃棄物:事業活動によって発生する廃棄物のうち、特定の20種類に該当するもの
・一般廃棄物:上記以外の廃棄物のこと
廃プラスチック類は、産業廃棄物のひとつとして位置づけられます。該当するごみは、以下のとおりです。
・合成ゴム
・合成繊維のくず
・発泡スチロール
・PPバンド
・食品容器
・ペットボトル
・廃タイヤ
・事務用品
業務に直接使用していなくても、事業活動に伴って排出されるため、産業廃棄物として扱われます。ただし、分類基準は自治体によって異なります。分別に迷った場合は、事業所を管轄する自治体の公式サイトを確認するか、もしくは担当窓口に問い合わせて確認しましょう。
廃プラスチック類が抱える課題とは?
プラスチックはさまざまな製品に利用されている素材ですが、いくつかの深刻な課題を抱えています。代表的なものが「海洋汚染」です。
プラスチックは自然に分解されにくく、ポイ捨てや不法投棄などの要因で川から海へ流れ着きます。漁船や船舶の航行に支障をきたし、海洋環境の悪化によって観光業にも悪影響が生じます。そのなかでも近年注目を集めているのが、マイクロプラスチック問題です。
マイクロプラスチックとは、紫外線や波の影響で5mm以下の細かいサイズになったプラスチックの破片のことで、すべてを海上から回収するのはほぼ不可能です。
また、マイクロプラスチックは海洋生物にも影響を与えます。魚や貝が餌と一緒に誤ってマイクロプラスチックを摂取すると、内臓を傷つけ、腸閉塞を起こして命に関わることもあります。さらに、そのマイクロプラスチックを取り込んだ魚や貝を人間が食べることで、健康にも悪影響が出かねません。
また、プラスチックの焼却処分により二酸化炭素が排出されることも問題です。二酸化炭素は地球温暖化の主要な要因のひとつです。一度に大量のプラスチックを廃棄すると、当然ごみの量に比例した量の二酸化炭素も排出されるため、環境にかかる負荷が大きくなります。
かつては海外に廃プラスチック類を海外へ輸出して処理していましたが、近年は多くの国がプラスチックごみの輸入を制限するようになりました。今後は国内での適正な処理方法を整える必要があります。
廃プラスチック類の処理方法
廃プラスチック類は処分方法を間違えると、地球温暖化や海洋汚染など、さまざまな環境問題を引き起こします。廃プラスチック類を起因とする環境問題への対策として、現在日本が力を入れて取り組んでいるのがリサイクルです。
ペットボトルリサイクル推進協議会が公開した情報によると、2022年時点で日本のリサイクル率は86.9%と高い数値を誇ります。なお、現在日本が採用している廃プラスチック類のリサイクル方法は、以下のとおりです。
・サーマルリサイクル
・ケミカルリサイクル
・マテリアルリサイクル
それぞれの特徴について解説します。
サーマルリサイクル
サーマルリサイクルとは、廃プラスチック類を焼却した際に発生する熱エネルギーを回収・活用するリサイクル方法です。日本における廃プラスチック全体のリサイクルのうち、サーマルリサイクルの割合は62%ほどになります。
サーマルリサイクルの最大のメリットは、資源消費の削減です。廃プラスチック類を燃やした際に発生する熱エネルギーは紙ごみの2〜3倍で、その発熱量は石炭や石油と比較しても劣りません。そのほかにも、メタンガスの削減、埋立処分場の寿命を延ばす効果もあります。
一方で、焼却の過程でダイオキシンや二酸化炭素といった、人体や環境にとって有害な物質が発生してしまう点がデメリットです。加えて、海外では焼却処理をリサイクルとみなさない国も多く、国際的には評価が分かれる傾向にあります。
ケミカルリサイクル
ケミカルリサイクルとは、廃棄物を化学的に分解し、原料として再利用する方法のことです。現在、日本におけるケミカルリサイクルの割合は3%ほどしかありません。
ケミカルリサイクルの最大のメリットは、資源を効率よく再利用できる点です。化学分解によって原料に戻すことで、高い精度でのリサイクルが可能となり、原料の循環利用に貢献します。
ただし、処理コストが高い点が課題として残っており、導入のハードルとなっています。高コストがネックとなり、リサイクルの手法として採用される割合が3%と、リサイクル全体に占める割合はわずかです。
マテリアルリサイクル
マテリアルリサイクルとは、廃プラスチック類を新たな製品の原料として再利用する方法です。リサイクル全体の22%を占めており、一定の実用性があります。
マテリアリサイクルを利用して作成した製品は、耐久性が高く、軽くて施工が容易です。さらに、リサイクル時に消費するエネルギー量が比較的少ない点も利点です。
一方で、マテリアルリサイクルを効果的に実施するためには、徹底した分別が欠かせません。分別が不十分だと、原料の品質が低下してしまい、製品としての利用範囲が限られてしまいます。また、同じ素材を繰り返しリサイクルすると、徐々に品質が劣化してしまう点も課題です。
企業がプラスチックをリサイクルするメリット
リサイクルには手間も時間もかかるものの、環境保護以外にも多くのメリットがあります。今後の企業価値向上のためにも、前向きな取り組みが必要です。
ここでは、企業がリサイクルを推進することで得られる具体的なメリットについて解説します。
企業イメージを向上できる
企業にとって、リサイクル活動のメリットのひとつは、企業イメージの向上です。近年はSDGsの浸透もあり、日本でも環境への関心が高まっています。そのため、環境配慮に欠ける行動をとってしまうと、消費者の信頼を失い企業ブランドにマイナスの印象を与えかねません。
一方で、廃棄物のリサイクルに積極的な企業は「環境問題に真剣に取り組む姿勢がある」と評価されやすくなります。世間からの好印象により、従業員のモチベーションの向上や、採用活動においてもプラスに働き、優秀な人材の確保にもつながります。
分別すれば経費が削減できる
リサイクルは、企業イメージの向上だけでなく、経費削減といった目に見える形でも企業にメリットをもたらします。リサイクルに消極的な企業の多くは、ごみの分別や管理作業の増加によるコスト増を懸念しがちです。
実際、少量のごみであればあまり問題にならないものの、ごみの量が多くなると処分にかかる時間や手間も増加します。しかし、廃棄物の内容を見直すことで有価物として再資源化できるケースもあります。有償で売却できれば、コストの圧縮も可能です。
また、ごみになる製品の購入を控える姿勢が社内で共有されれば、購入費用や分別費用、廃棄費用などのコスト圧縮にも効果的です。結果として全体のコスト削減につながるでしょう。
業務効率が上がる
業務効率の向上も、リサイクルによって企業にもたらされるメリットのひとつです。昨今は労働人口の減少や景気の悪化などから、どのようにして業務効率を向上するか苦心している企業は少なくありません。
リサイクルを推進するには、まず事業から発生するごみの抑制について見直す必要があります。ごみの量が減れば、分別や処理にかかる作業も簡略化され、時間と手間の削減につながるでしょう。浮いた時間は、ほかの業務に費やせるため、最終的に業務全体の効率向上が見込めます。
さらに、業務効率化を図りたい場合は専門業者への処分委託も有効です。業者に任せることで、自社で処理設備を用意する必要がなくなり、本来の業務に集中できる環境が整います。
廃プラスチックを処分する際に押さえたいポイント
廃プラスチックの処分には、見落とすと法的リスクや環境負荷につながるような注意点があります。ここでは、処分するときに必ず確認したいポイントについて解説します。
自治体によって処理方法が異なる
廃プラスチックの処理方法は、自治体によって異なります。これは、自治体ごとに所有している処理施設や技術が違うためです。
たとえば、高温処理が可能な焼却設備や、焼却時の熱をエネルギーとして発電に利用できる設備を備えている自治体は、廃プラスチックを可燃ごみとして処理します。一方、焼却設備の処理能力が限られている自治体では、細かな分別や産業廃棄物としての扱いを求められるケースも少なくありません。
ルールに従わずに処理を行うと、リサイクルに支障をきたすだけでなく、法令違反として罰則を受ける可能性もあります。事前に自治体がどのように廃プラスチックを取り扱っているかを確認しましょう。
なお、処理方法に関する情報は、自治体の公式サイトや担当部署への問い合わせで確認できます。
マニフェスト・契約書を必ず作成する
廃プラスチック類を産業廃棄物として処理する際は、必ずマニフェストを作成しましょう。マニフェストとは、ごみの処理を外部業者に委託するときに、処理工程を記録・管理し、適切に処理されたかをチェックするために利用する書類のことです。
マニフェストを交付しない場合や、虚偽の記載をしたときには、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。さらに、処理業者に委託する際には法律上、書面による契約書の締結が必要です。違反した場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金もしくはその両方が科せられます。
不正処理を行う業者に依頼しない
産業廃棄物の処理を外部業者に委託する際は、不正な処理を行う業者に依頼しないようにしましょう。廃棄物処理にはコストや手間がかかるため、法律を守らずに処理を簡略化しようとする業者も一定数存在します。代表的な例が「不法投棄」です。
不法投棄とは、廃棄物を無断で投棄する行為のことです。不適切な処理は、環境汚染や近隣住民の健康被害につながるおそれがあります。なお、不法投棄した場合、5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金(法人においては3億円以下の罰金)もしくはその両方が科される可能性があります。
許可書を取得している業者に依頼する
業者に委託するときは、業者が適切な許可証を取得しているかの確認が必要です。産業廃棄物の処理を請け負う業者は、都道府県知事、政令指定都市の場合は市長の許可が必要です。許可を受けた業者には、産業廃棄物処分業許可証が交付されています。
もし処理委託する廃棄物の処分・収集運搬の許可がない業者へ委託した場合、依頼した側も罰則の対象になります。事前に環境省が提供するシステム「さんぱいくん」や産業廃棄物処理業者情報検索システムを使用して、問題ない業者かチェックしましょう。なお、罰則の内容は5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、もしくはその両方です。
処理費用を確認する
処理費用を事前に確認することも重要です。処理費用は業者ごとに異なり、相場より高い業者に処理を委託すると、不要なコストが発生する可能性があります。
業者選びに悩んでいる場合は、複数の業者から見積もりを取る、相見積もりを検討しましょう。相見積もりを通じて、処理費用の相場やサービスの内容の比較ができます。
ただし、相見積もりをする際は、必ず見積もりを依頼する業者に相見積もりであることを伝えるのがマナーです。利用しない場合は、丁寧にお断りとお礼の連絡を入れましょう。
イーブライトでは、サービスに関するお見積りを承っております。
お問い合わせフォームよりぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
近年、環境問題に対する注目度も高まっているため、企業イメージ向上や社会的責任の観点からも、リサイクルへの積極的な取り組みが求められています。ただし、リサイクルを進めるうえで信頼性の低い業者に委託すると、法令違反や企業イメージの低下につながるおそれがあります。そのため、業者選びは慎重に行いましょう。
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イーブライトは、神奈川県を中心に廃棄物の収集や分別からリサイクルまで一貫して対応しています。コンビニやオフィス、病院、レストランなど、さまざまな業種の産業廃棄物の処理を担当した実績がございます。
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