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産業廃棄物管理責任者とは何をする人?役割や資格について

産業廃棄物管理責任者とは何をする人?役割や資格について

産業廃棄物を管理する際、産業廃棄物管理責任者の配置が求められるケースがあります。担当するにあたって、必要な資格や遵守すべき法律があるのか気になったことのある人も多いでしょう。

この記事では、産業廃棄物管理責任者には、具体的にどのような役割が求められているのかを解説します。特別管理産業廃棄物管理責任者との違いや必要な資格や取得方法についても紹介しますので、参考にしてください。

産業廃棄物管理責任者とは?

産業廃棄物管理責任者とは何をする人?役割や資格について【産業廃棄物管理責任者とは?】

産業廃棄物管理責任者とは、自社から排出される廃棄物の区分や種類を把握し、法律にしたがって処理を終えるまでの業務を管理する人のことを指します。特定の資格は求められませんが、産業廃棄物の処理に関する権限と知識を有する人物が選任される必要があります。

東京都では、都内で産業廃棄物を排出する全事業場に対し、規模の大小を問わず管理責任者の選任を義務付けています。排出事業者責任を徹底して、適正に処理するのが目的です。


出典:東京都環境局 東京都廃棄物条例(https://www.reiki.metro.tokyo.lg.jp/reiki/reiki_honbun/g101RG00001019.html)


産業廃棄物管理責任者に求められる具体的な役割は、以下のとおりです。

  • 産業廃棄物の量を把握する
  • 法令遵守と適正処理を日常的に確認する
  • 3R(リデュース、リユース、リサイクル)の推進をする
  • 産業廃棄物の削減を指導する
  • 連絡調整を行う

それぞれの役割について解説します。

産業廃棄物の量を把握する

産業廃棄物を適切に管理するためには、排出される廃棄物の種類や量を正確に把握することが不可欠です。担当者が計測して、日々の排出状況を確認することで、無駄の削減や適正な処理計画の策定に役立てられるでしょう。

とくに、排出量のデータは処理業者との契約や料金設定の基準となるため、正確な記録が求められます。

また、廃棄物の種類ごとに分けて管理することで、再利用やリサイクルの効率も高まり、環境負荷の軽減につながります。定期的なデータ確認と適切な管理体制を維持することが、事業の持続可能性を高めるポイントとなります。

法令遵守と適正処理を日常的に確認する

関連する法令を厳守して、日常的な管理を徹底することも役割のひとつです。責任者は廃棄物の収集・運搬を担う業者の対応を確認し、処理工程が適切に実施されているかを定期的に点検する必要があります。

また、マニフェストや報告書を細かくチェックし、情報の整合性を確保することも大切です。これにより、万が一の法令違反や処理ミスを未然に防ぎ、環境への負荷を最小限に抑えられます。

定期的な監査を通じて、廃棄物管理の透明性を高め、信頼性を維持することが重要です。

3R(リデュース、リユース、リサイクル)の推進をする

廃棄物の発生を抑え、資源を有効に活用するためには、3Rを積極的に推進することが重要です。3Rとは、以下3つの取り組みのことを指します。

  • リデュース(削減)
  • リユース(再利用)
  • リサイクル(再資源化)

企業や事業所では、具体的な削減目標を設定し、関係者全員が共有できる形で取り組みを進める必要があります。効果的な実施方法として、廃棄物の種類ごとに管理方法を明確にして、名称や分別基準を記載した案内の作成が挙げられます。

産業廃棄物の削減を指導する

廃棄物の発生を抑えるためには、関係者全員が削減意識を持ちながら、行動する必要があります。社内研修や掲示物の活用を通じて、産業廃棄物の削減に関する知識を共有するなど、継続的な取り組みを促進することが有効です。

具体的な対策として、廃棄物の分別基準を明確にし、リサイクル可能な資源を積極的に活用することなどが挙げられます。これにより、全体的な廃棄物削減が進み、環境への負荷を軽減できます。

連絡調整を行う

産業廃棄物の適正な管理を維持するためには、関係各所との連携を円滑に進めることが不可欠です。とくに、再利用計画の策定や行政機関からの立入検査に関する調整業務は、事前の準備が重要になります。

適切に対応できるように、必要な書類の整備や関係者との情報共有を徹底し、スムーズな手続きを心がけましょう。これにより、予期せぬトラブルを防ぎ、廃棄物管理の精度を高められます。

イーブライトでは企業から排出された廃棄物を収集・分別・リサイクルしております。ぜひ一度ご相談ください。

特別管理産業廃棄物管理責任者とは?

特別産業廃棄物管理責任者は、特別管理産業廃棄物を排出する事業場で、適切な処理を監督する役割を担う責任者です。特別管理産業廃棄物とは、感染性廃棄物や有害物質を含む廃棄物など、環境や人体に悪影響を及ぼす可能性があるものを指します。

ここからは、特別管理産業廃棄物管理責任者に関する以下4つの項目について廃棄物処理法を参考に解説します。

  • 特別産業廃棄物管理責任者と廃棄物管理責任者の違い
  • 責任者設置の法律
  • 必要な条件
  • 必要な資格

出典:環境省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」|e-GOV法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137)

特別産業廃棄物管理責任者と廃棄物管理責任者の違い

廃棄物の適正処理を監督する役割には、2つの種類があります。ひとつが「特別管理産業廃棄物管理責任者」で、もうひとつが「廃棄物管理責任者」です。

どちらも排出物の管理や処理を担いますが、対象とする廃棄物の種類や法的な位置づけに違いがあります。特別管理産業廃棄物管理責任者は、廃棄物処理法にもとづいて設置され、専門的な知識や資格が必要です。

一方、廃棄物管理責任者は、一般的な産業廃棄物の処理を適正に管理する役割を担います。設置基準は自治体の条例に基づいており、特別な資格要件はありません。多くの場合、事業用建築物の延床面積が一定の基準を超えると選任が求められます。

責任者設置の法律

特別管理産業廃棄物を適正に処理するため、事業者には管理責任者の設置が義務付けられています。廃棄物処理法では、爆発性・毒性・感染性を有する廃棄物を排出する事業場に対し、適切な処理が行われるよう管理責任者を配置することを求めています。

一方、廃棄物管理責任者の設置基準は、自治体の条例によって定められているのが特徴です。たとえば、神奈川県横浜市は、大規模な事業用建築物において発生する廃棄物の適正管理を目的とし、責任者を選任し市町へ届け出ることが義務付けられています。


出典:横浜市役所 大規模建築物の所有者の方へ(https://www.city.yokohama.lg.jp/business/bunyabetsu/gomi-recycle/ippan/shoyu.html)


産業廃棄物の種類や排出状況に応じて、国の法律と自治体の規則に基づく異なる基準が適用されます。

必要な条件

特別管理産業廃棄物管理責任者の選任は、特別管理産業廃棄物を排出する事業場において義務付けられています。責任者の役割は排出物の管理や処理手続きを監督し、法令に沿った運用を実施することです。

一方、廃棄物管理責任者の設置要件は、自治体ごとに異なります。たとえば、東京都大田区では、延床面積1,000㎡以上3,000㎡未満の事業用建築物に対し、責任者の選任が求められています。新規の選任や担当者の変更時には、30日以内に管轄の清掃事務所へ届け出る必要があります。


出典:大田区役所 廃棄物管理責任者の方へ(https://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/gomi/gomi/haiki.html)


法令や自治体の基準を把握し、適切な体制を整えることが大切です。

必要な資格

特別管理産業廃棄物管理責任者として業務を行うためには、一定の専門知識と実務経験が求められます。廃棄物処理法施行規則にもとづき、適切な管理を担うには講習会を受講し、修了試験に合格することが義務付けられています。

一方、廃棄物管理責任者では、特別な資格取得が必要とされていません。事業場内の排出状況を常に把握し、適切な管理ができる人物が選任されることが求められます。設置基準は自治体によって異なり、各地域の規則に基づいて責任者を決定する必要があります。

特別管理産業廃棄物管理責任者に必要な資格

特別管理産業廃棄物のなかでも、感染性産業廃棄物はとくに厳格な管理が求められる廃棄物です。医療機関や研究施設などから発生し、人に感染する可能性のある病原体が含まれる廃棄物を指します。

特別管理産業廃棄物管理責任者に必要な資格は、感染性産業廃棄物の有無によって異なるのが特徴です。ここからは、それぞれで求められる資格について解説します。

感染性産業廃棄物あり

感染症のリスクがともなう医療廃棄物などを取り扱う事業場では、特別管理産業廃棄物管理責任者の選任が義務付けられています。こうした施設で責任者となるためには、一定の資格や専門知識が必要です。

具体的には、以下のいずれかが要件とされています。

  • 医療・衛生分野の国家資格を持つ者
  • 環境衛生指導員の経験者
  • 関連分野の学位を取得した者

医療資格を有する者に該当するのは、以下のとおりです。

  • 医師
  • 歯科医師
  • 薬剤師
  • 看護師
  • 保健師
  • 助産師
  • 獣医師
  • 臨床検査技師
  • 歯科衛生士

上記の職業に就いている場合、追加の研修や実務経験は求められません。また、環境衛生指導員の資格を持つ者は、2年以上の実務経験を積んでいることが条件となります。感染性廃棄物の取り扱いに関する高度な理解と実務経験を求められるためです。

また、医学や薬学、保健学などの課程を修了した大学・高専卒業者も資格要件を満たします。いずれかの学歴を有する者は、特別な実務経験を積んでいなくても、必要な知識を持っていると認められます。


出典:環境省 環境再生・資源循環(https://www.env.go.jp/recycle/waste/sp_contr/)

感染性産業廃棄物なし

感染性のない特別管理産業廃棄物を取り扱う事業場でも、管理責任者の選任条件が細かく定められています。資格要件は学歴や専門分野に応じて異なり、さらに実務経験が求められる場合があるため、事前の確認が不可欠です。

環境衛生指導員の資格を有する場合は、2年以上の実務経験を積むことで要件を満たします。大学・高専卒業者の場合は、理学・薬学・工学・農学などの分野を専攻し、衛生工学や化学工学を修了していることが条件です。

該当する場合、2年以上の実務経験が必要です。一方、関連分野を専攻していても、衛生工学や化学工学を履修していない場合は、3年以上の経験が求められます。

短大・高専卒業者は、特定分野を修了している場合4年以上、それ以外の学科では5年以上の実務経験が必要です。高校・旧制中学卒業者は、土木・化学関連の学科を履修していれば6年以上、それ以外の科目では7年以上が要件となります。

なお、学歴要件がない場合であっても、資格を得ることが可能です。ただし、10年以上の経験を積むことが求められます。


出典:環境省 環境再生・資源循環(https://www.env.go.jp/recycle/waste/sp_contr/)


こちらの記事では、産業廃棄物の処分の流れについて解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

講習会受講でも資格取得が可能

特別管理産業廃棄物管理責任者の資格は、一定の学歴や実務経験を有することが基本要件です。しかし、該当しない場合でも取得することは可能です。

その場合は、日本産業廃棄物処理振興センターが実施する講習会を受講して、修了試験に合格する必要があります。試験を突破できれば、実務経験や学歴に関わらず、一定の知識を持つ責任者として業務を担えるようになります。

講習会の合格率は90%以上と高く、きちんと学習すれば十分に取得可能です。専門知識を身につける機会として、多くの受講者が講習会を受講しています。

ここからは、講習会について以下6つの項目について解説します。

  • 受講対象者
  • 種類と受講料
  • 流れ
  • 試験内容
  • 時間
  • 日程と申込方法

それぞれ解説します。

受講対象者

特別管理産業廃棄物管理責任者の資格を取得したい人は、誰でも講習会を受講できます。学歴や実務経験の要件はなく、特定の職業に就いていない場合でも受講可能です。

廃棄物の適正処理に関わる企業や自治体の担当者はもちろん、今後責任者としての役割を担いたいと考えている人でも問題ありません。特別管理産業廃棄物を排出する事業場での責任者に選任される予定のある人にも最適な機会です。

資格を取得すれば、環境保全や法令遵守に関する専門知識を有する者として、適切な処理を推進する役割を果たせます。

種類と受講料

特別管理産業廃棄物管理責任者の資格取得を目的とした講習会には、一般向けと医療関係機関向けの2種類があります。受講形式は、オンラインと対面のどちらかを選択することが可能です。

オンラインの場合は、受講後に別日程で試験を受ける流れとなります。対面形式では、受講した当日に試験が実施されます。

一般向け講習会では、廃棄物処理法の基本や適正処理に関する講義が行われます。一方、医療関係機関向け講習会は、日本医師会との共催で、感染リスクのある廃棄物に関する知識を深める内容が含まれています。

受講料は、どちらの講習会もオンライン形式が13,200円(税込)、対面形式が13,750円(税込)です。ただし、各自治体の規定によって取り扱いが異なる場合があるため、詳細は事前に確認しましょう。


出典:日本産業廃棄物処理振興センター 料金・手数料一覧表(https://www.jwnet.or.jp/center/assets/files/ryokinichiran_R50327.pdf)

流れ

特別管理産業廃棄物管理責任者の資格を取得するためには、講習会を受講し、修了試験に合格することが必須です。試験は、講習終了後に実施されます。

また、受験者は試験終了から7〜10日後にマイページで合否を確認でき、合格した場合は約2〜3週間後に修了証が発行されます。一方、不合格だった場合は再試験の案内が送付され、再チャレンジが可能です。

試験内容

事前にテキストを配布し、WEB講義を視聴できる形式が導入されています。試験は二者択一または四者択一のマークシート方式で行われ、全20問のうち14問以上正解すれば合格となります。

主な出題内容は、以下のとおりです。

  • 廃棄物の分類
  • 廃棄物処理法
  • マニフェスト制度

合格を目指すには、講義の内容をしっかり理解し、ポイントをメモしながら学習することが大切です。

時間

講習会の受講から修了証の取得までにかかる時間は、およそ6時間です。講習終了後に30分間の試験が実施されます。

なお、講義終了後には復習の時間が設けられます。内容を整理し、不明点を解消することが望ましいでしょう。

また、資格取得には講義や試験時間だけでなく、申請手続きや試験会場への移動時間も考慮する必要があります。事前にスケジュールを確認し、余裕をもって準備を進めることが大切です。

日程と申込方法

特別管理産業廃棄物管理責任者の講習会は、オンライン形式と対面形式の2種類が用意されています。オンライン講習は自宅や職場で受講した後、指定会場で試験を受ける形となり、対面講習では講義終了後にそのまま試験を実施します。

申込みはWeb受付のみで、本人確認用の顔写真データの登録が必要です。顔写真データの登録方法は、使用する端末のカメラ機能に応じて異なります。

カメラ機能がある端末(パソコンやスマートフォン)を使用する場合、申込手続きの途中でカメラ機能を使って顔写真を撮影し、登録することができます。また、あらかじめ撮影した写真を端末に保存し、それを登録することも可能です。

カメラ機能がない端末を使用する場合は、あらかじめ撮影した写真を端末に保存し、登録する形となります。写真データはJPEG形式に限られ、ビットマップ形式やその他の形式のファイルは使用できません。

顔写真には以下の条件があります。

  • 6か月以内に撮影したもので、試験当日に本人との照合ができるもの
  • 無背景であるもの
  • 帽子、サングラス、マスク等を着用していないもの
  • 正面向きの上半身のもの

その後、申込時には希望する受講形式、試験日、会場を選択し、仮受付・お支払いに必要な情報等のメールが届き、支払手続きを完了することで正式な申し込みとなります。

特別管理産業廃棄物管理責任者講習会の日程や申込受付は、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)のホームページで確認できます。


出典:公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)(https://www.jwnet.or.jp/)


申し込みの際は日程や受講形式を事前に確認し、余裕をもって手続きを進めましょう。

産業廃棄物に関するお見積り、ご依頼、またはお取引のご検討などについては、イーブライトにお気軽にご相談ください。

まとめ

産業廃棄物管理責任者は、事業場で発生する廃棄物の適正な処理を監督し、法令遵守を徹底する役割を担います。特定の資格がなくても、日本産業廃棄物処理振興センターの講習会を受講して試験に合格すれば、責任者として業務を担うことが可能です。

産業廃棄物の処理でお困りの方は、イーブライトにご相談ください。当社にはコンビニやオフィス、病院、レストランなど、さまざまな業種の産業廃棄物の処理を担当した実績がございます。

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