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医療機器を安全に廃棄するには?正しい処分方法と流れをわかりやすく解説
クリニックや病院で使用していた医療機器が不要になったとき、どのように処分すればよいのか迷う方も多いのではないでしょうか。
医療機器は廃棄物処理法にもとづいて適正に処理する必要があり、誤った方法で廃棄すると、排出事業者として重い罰則を受けるリスクがあります。
本記事では、医療機器の廃棄にまつわる法律から、感染性・非感染性の分類、具体的な処分手順、信頼できる業者の選び方まで解説します。
医療機器の廃棄にまつわる法律
医療機器を廃棄する際には、廃棄物処理法が適用されます。
医療機関から排出される医療機器は産業廃棄物に該当するため、産業廃棄物収集運搬業の許可を持つ専門業者に処理を委託する必要があります。家庭ゴミのように、自治体の回収に出すことはできません。
廃棄物処理法では、排出事業者責任という考え方が重視されています。これは、廃棄物を出した事業者が最終処分まで責任を負うという原則です。
無許可業者に委託したり、不適切な方法で処分したりした場合、たとえ業者に任せていたとしても、排出した医療機関側の責任が問われます。処理業者の不正が発覚した場合でも、排出事業者に責任が及ぶ可能性があります。
違反した場合の罰則は重く設定されています。無許可業者への委託や不法投棄を行った場合、5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金が科せられます。法人の場合は3億円以下の罰金となり、経営に大きな打撃を与えかねません。
また、マニフェストを交付せずに廃棄物を引き渡した場合も、1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象となります。
こうした法的リスクを避けるためにも、医療機器の廃棄は正しい手順で進めることが不可欠です。
出典:環境省「排出事業者責任の徹底について」(https://www.env.go.jp/recycle/waste/haisyutsu.html)
出典:e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第25条・第32条」(https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137)
こちらの記事では、産業廃棄物について解説しています。基本的な定義や排出事業者が果たすべき責任も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
医療機器の種類とそれぞれの廃棄ルール

医療機器を廃棄する際は、感染性の有無によって取り扱い方法が大きく異なります。適正に分類しないと、法令違反や感染事故につながるおそれがあるため、正確な判断が必要です。
医療機器の廃棄ルールを理解するために、まずは「非感染性医療機器」と「感染性医療機器」の違いを確認しておきましょう。
非感染性医療機器
非感染性医療機器とは、血液や体液などの感染性物質が付着していない医療機器を指します。血液が付着していないプラスチック容器や金属くず、未使用のガーゼなどが該当します。
非感染性医療機器は、産業廃棄物として処理されます。廃プラスチック類、金属くず、ガラスくずなど、素材ごとに分別したうえで、産業廃棄物収集運搬業の許可を持つ業者に委託します。
非感染性医療機器であっても、一般ゴミと混ぜて廃棄することはできません。医療機関から排出される廃棄物は、感染性の有無にかかわらず産業廃棄物として扱われるためです。
業者によって料金設定は異なりますが、重量単位で料金を設定している業者を選ぶと、廃棄量に応じた費用で処理しやすくなります。たとえば横浜市では、1kgあたり13円から対応している業者もあります。
また、一般廃棄物と産業廃棄物の両方に対応している業者であれば、診察室や待合室から出る紙くずなどの一般廃棄物と、医療機器などの産業廃棄物を同じ業者に任せられます。
クリニック全体のゴミ処理を一括して管理できるため、手間を減らしやすくなります。
感染性医療機器
感染性医療機器とは、血液や体液などの感染性物質が付着した医療機器、または感染症の治療や検査に使用された医療機器を指します。注射針やメス、はさみ、手術用器具、血液が付着したガーゼやチューブなどが該当します。
感染性医療機器は特別管理産業廃棄物に分類され、通常の産業廃棄物よりも厳格な処理基準が定められています。そのため、特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可を持つ業者でなければ処理できません。
感染性廃棄物の判断は、環境省の「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」にもとづいて行います。形状、排出場所、感染症の種類という3つの観点から、総合的に判断されます。
とくに注意したいのが、メスやはさみなどの鋭利な医療機器です。血液が付着していなくても、感染性廃棄物として扱う必要があります。針刺し事故を防ぐため、必ず堅牢な容器に密閉し、バイオハザードマークを貼付します。
バイオハザードマークは、廃棄物の性状によって異なります。
- 赤色:液状・泥状
- 橙色:固形状
- 黄色:鋭利なもの
感染性廃棄物の処理には、専用の設備と技術が求められます。そのため、多くの医療機関では特別管理産業廃棄物の許可を持つ業者、または協力会社を通じて対応しています。
処理を検討する際は、まず業者に相談し、対応可能かどうかを確認するとよいでしょう。
出典:一般社団法人 日本歯科商工協会「医療機器の廃棄物処理についてのお願い」(https://jdmma.com/wp/wp-content/uploads/2023/03/廃棄物処理についてのお願い_2023)
【補足】一般医療機器と高度管理医療機器の廃棄方法は基本的には同じ
医療機器は、薬機法において以下の3つに分類されています。
- 一般医療機器
- 管理医療機器
- 高度管理医療機器
一般医療機器は体温計やピンセットなど人体へのリスクが比較的低いもの、高度管理医療機器はペースメーカーや人工心肺装置など人体へのリスクが高いものを指します。
ただし、これは薬機法上の分類であり、廃棄物処理法における分類とは考え方が異なります。廃棄物処理法では医療機器の性能や用途ではなく、感染性の有無が分類の基準になります。
- 血液や体液が付着しているもの:感染性廃棄物
- 血液が付着していないもの:非感染性の産業廃棄物
つまり、一般医療機器でも高度管理医療機器でも、廃棄方法の考え方は基本的に同じです。高度な機能を持つ医療機器だからといって、それだけで特別な廃棄方法が必要になるわけではありません。
医療機器を廃棄・処分する方法
医療機器を処分する方法は、大きく分けて3つあります。
医療機器の状態や所有形態によって適した方法が異なるため、それぞれの特徴を確認しておきましょう。
産業廃棄物収集運搬業者に依頼する
医療機器を廃棄する最も確実な方法は、産業廃棄物収集運搬業の許可を持つ専門業者に処理を委託することです。
非感染性の医療機器であれば産業廃棄物収集運搬業の許可、感染性廃棄物を含む場合は特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可が必要です。
業者に依頼するメリットは、法的リスクを避けながら適正に処理できる点です。マニフェストの発行から最終処分まで、専門知識を持つ業者が対応してくれます。
また、一般廃棄物と産業廃棄物の両方に対応している業者を選ぶと、クリニック全体のゴミ処理を一元化できます。
買取業者に売却する
状態のよい医療機器は、買取業者に売却できる場合があります。レントゲン装置、CT、MRI、超音波診断装置などの高額な機器は中古市場でも需要があり、廃棄費用を支払う代わりに収入を得られる可能性があります。
買取業者を選ぶ際は、高度管理医療機器等販売業許可と古物商許可の両方を取得しているか確認しましょう。型落ち品や故障している機器でも買取できる場合があるため、まずは無料査定を依頼するとよいでしょう。
リース会社へ返却する
医療機器をリース契約で利用している場合は、リース会社への返却が必要です。リース契約中の機器は所有権がリース会社にあるため、医療機関の判断だけで廃棄することはできません。
まずはリース会社に連絡し、中途解約の可否、残債の有無、違約金の発生などを確認しましょう。契約内容によっては、返却時の搬出方法や原状回復の条件が定められている場合もあります。
契約を無視して廃棄すると契約違反となり、違約金を請求される可能性があります。不要になった医療機器でも、リース品かどうかを先に確認することが大切です。
【注意】メーカーや販売業者は引き取りできない
医療機器の更新時に、メーカーや販売業者へ古い機器を引き取ってもらえると考える方もいます。しかし、原則として引き取りはできません。
医療機器業公正競争規約では、メーカーや販売業者が医療機器の廃棄費用を肩代わりすることは、不当な取引に該当すると定められています。
また、廃棄物処理法では、医療機器を最後に使用した医療機関が排出事業者として責任を負います。メーカーが広域認定制度などの法的な特例を受けている場合は、例外的に引き取りが可能なケースもあります。
ただし、原則として医療機器の廃棄は、医療機関自身が産業廃棄物処理業者に委託する必要があります。
医療機器を廃棄する際の大まかな流れ
医療機器を産業廃棄物処理業者に委託して廃棄する際の一般的な流れを説明します。
あらかじめ手順を把握しておくことで、現場で迷わず進められます。
1:廃棄方法を確認し業者へ相談する
廃棄する医療機器が、感染性廃棄物に該当するかを確認します。血液や体液の付着がないか、鋭利な器具ではないかなどを基準に分類しましょう。
分類が終わったら、適切な許可を持つ産業廃棄物処理業者を探して複数社に見積もりを依頼します。機器の種類や数量、設置場所、搬出経路を伝えておくと、回収可否や費用を確認しやすくなります。
2:契約を交わしてマニフェストを発行してもらう
業者を決定したら、産業廃棄物処理委託契約を締結し、マニフェスト、いわゆる産業廃棄物管理票を発行します。
マニフェストは、廃棄物が適正に処理されたことを確認するための重要な書類です。排出事業者名、廃棄物の種類、数量、収集運搬業者名、処分業者名などを記載します。
契約書は、収集運搬業者と処分業者それぞれと交わすのが原則です。処理を委託する前に、許可証の写しや委託内容に不備がないか確認しましょう。
出典:公益財団法人 全国産業資源循環連合会「マニフェスト」(https://www.zensanpairen.or.jp/disposal/manifest/)
3:収集日まで医療機器を厳重に管理する
収集日までは、医療機器を適切に保管します。感染性廃棄物は専用容器に密閉し、ほかの廃棄物と分けて管理しましょう。
保管場所は、関係者以外が立ち入れない場所を選びます。屋外で保管する場合は、雨風を防げる場所を確保し、バイオハザードマークなどを明確に表示します。
出典:環境省「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」(https://www.env.go.jp/recycle/kansen-manual1.pdf)
4:医療機器が収集され処理施設で廃棄される
収集日当日は、業者が訪問して廃棄物を収集します。マニフェストの内容と実際の廃棄物が一致しているかを確認したうえで、処分施設へ運搬されます。
その後、廃棄物の種類に応じて処理されます。感染性廃棄物は焼却または滅菌処理、非感染性の産業廃棄物はリサイクルまたは最終処分が行われます。
5:業者からマニフェストが返送される
処理が完了すると、業者からマニフェストの写しが返送されます。E票の返送をもって、廃棄物の処理は完了です。
マニフェストは、廃棄物処理法により5年間の保存が義務付けられています。期限内に返送されない場合や記載内容に不備がある場合は、速やかに業者へ確認しましょう。
医療機器を廃棄する際の注意点
医療機器を廃棄する際は、法律や規制を守りながらリスクを抑えることが重要です。
ここでは、とくに注意したいポイントを解説します。
医療機器の保管義務を確認する
医療機器のなかには、法律で一定期間の保管が義務付けられているものがあります。誤って廃棄すると法令違反となる可能性があるため、注意が必要です。
たとえば、レントゲンフィルムは保険医療機関及び保険医療養担当規則第9条により3年間、診療録、いわゆるカルテは同規則第20条第2項により5年間の保存が必要です。
これらの保管期限を過ぎる前に廃棄すると、保険診療に関する規則違反となり、指導や処分の対象になる可能性があります。
出典:e-Gov法令検索「保険医療機関及び保険医療養担当規則 第20条第2項」(https://laws.e-gov.go.jp/law/323M40000100050)
出典:e-Gov法令検索「保険医療機関及び保険医療養担当規則 第9条」(https://laws.e-gov.go.jp/law/332M50000100015/)
業者は慎重に選定する
産業廃棄物処理業者の選定は、医療機器を適正に処理するうえで重要です。
業者選びを誤ると、不法投棄や不適切な処理につながり、排出事業者としての責任を問われる可能性があります。
認可を取得しているか
業者が適切な許可を取得しているかを必ず確認しましょう。許可証には、有効期限と取り扱える品目が記載されています。
許可証の期限が切れている場合や、処理したい廃棄物の品目が含まれていない場合は、適正な処理を依頼できません。
確認には、公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団が運営する「産業廃棄物処理業許可行政情報検索システム」が便利です。業者名や許可番号から、許可内容を検索できます。
出典:公益財団法人 産業廃棄物処理事業振興財団「産業廃棄物処理業許可 行政情報検索システム」(https://www2.sanpainet.or.jp/sanpai/)
優良認定を取得しているか
環境省の優良産廃処理業者認定制度に認定されている業者は、信頼性を判断するうえでひとつの目安になります。
この制度は、通常の許可基準よりも厳しい基準を満たした業者を認定するものです。優良認定を受けた業者は、コンプライアンス体制や財務状況、環境保全への取り組みなどが公的に認められています。
出典:環境省「優良産廃処理業者認定制度」(https://www.env.go.jp/recycle/waste/gsc/)
料金以上に実績や知見を重視する
料金の安さだけで判断するのは危険です。安価な料金を提示する業者のなかには、不法投棄や不適切な処理を行うケースもあります。
医療機器の廃棄には、専門的な知識と技術が必要です。大型機器の解体や搬出、感染性廃棄物の適切な取り扱い、マニフェストの正確な記録など、経験と実績が求められます。
業者を選ぶ際は、医療機関からの廃棄物処理の実績が豊富か、医療機器特有の処理方法に精通しているか、マニフェスト対応が丁寧かなどを確認しましょう。
まとめ
医療機器の廃棄は、廃棄物処理法にもとづいて適正に行う必要があります。感染性の有無によって取り扱い方法が異なるため、正確な分類と適切な処理が欠かせません。
排出事業者として責任を果たすには、信頼できる産業廃棄物処理業者を選ぶことが重要です。許可内容や優良認定の有無、医療機関での実績、専門的な知見を総合的に確認しましょう。
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