COLUMN コラム
排出事業者の義務とは?産業廃棄物処理で押さえるべきポイント

企業の事業活動にともなって発生する産業廃棄物は、適切に処理しなければなりません。その責任を負うのが「排出事業者」と呼ばれる存在であり、法律に基づいたさまざまな義務を果たす必要があります。
しかし、こうした義務を正しく理解していないことで、思わぬ法令違反につながるリスクもあります。
本記事では、排出事業者として押さえるべき基礎や義務について解説します。また、万が一、違反した場合に科される罰則についても取り上げるため、ぜひ参考にしてください。
排出事業者ってなに?
産業廃棄物に関する法律である「廃棄物処理法」には、排出事業者についての明確な定義が記載されていません。しかし、同法第3条第1項には「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない」と明記されています。
この規定から、事業活動によって廃棄物を発生させた事業者が、その処理に責任を持つべき存在として、実質的に排出事業者とみなされていることがわかります。排出事業者は、この法的な位置づけに基づき、産業廃棄物を適正に処理する義務を負わなければなりません。
出典:環境省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」|e-GOV法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137)
排出事業者に求められる義務
排出業者に求められる義務として、処理責任や委託基準、そしてマニフェストなどが挙げられます。ここでは、排出事業者に求められる義務について詳しく解説します。
処理責任
処理責任とは、自社で発生したゴミを処理する責任のことです。事業活動の過程で生じる産業廃棄物は、以下のように複数あり、それぞれ処分方法も異なっています。
- 燃え殻
- 汚泥
- 廃油
- 廃酸
- 廃アルカリ
- 廃プラスチック
- ゴムくず
- 金属くず
- ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず
- 鉱さい
- がれき類
- ばいじん
- 紙くず
- 木くず
- 繊維くず
- 動植物性残さ
- 動物系固形不要物
- 動物の糞尿
- 動物の死体
- 1〜19のいずれにも該当しないもの
処理を誤ってしまうと、環境汚染をはじめさまざまなトラブルを招きかねないため、責任を持って処理しなけれなりません。
委託基準
発生したゴミを自社で処理する排出事業者も一定数存在しますが、設備の準備や行政の許可などを得る必要があるため、かなり手間と時間がかかります。そのため、専門の処理業者にゴミの処理を委託することが多いです。
ただし、外部の業者に委託すれば、それですべての作業から解放されるわけではありません。外部の業者にゴミの処理を任せる場合は、以下の委託基準を遵守しなければなりません。
- 産業廃棄物処理業許可を持ち、委託する内容が業許可の範囲に含まれる業者への委託
- 処理状況の確認
- 特別管理産業廃棄物の内容に関する事前通知
- 書面による処理委託契約の締結
- 委託契約書の保存
なお、委託契約書は、契約期間が終了したあとも5年間は手元でしっかり保管しなければなりません。
マニフェスト
産業廃棄物の処理をする際は、マニフェストを用意しなければなりません。マニフェストとは、産業廃棄物管理票とも呼ばれる、処理状況を確認するための書類です。
マニフェストには、紙マニフェストと電子マニフェストの2種類が存在します。紙マニフェストは複写式伝票で、各処分工程が終了するごとに排出業者に写しが戻る仕組みです。
メリットとして、パソコンをはじめとする電子機器の扱いに慣れていない方でも運用しやすい点が挙げられます。また、発行から運用、そして管理までアナログなため、システムの不具合や障害が発生しても作業が中断されることはありません。ただし、記入ミスや伝票の紛失などのリスクがある点がデメリットです。
電子マニフェストは、マニフェスト情報を電子化し、オンライン上でやり取りします。入力内容の情報をチェックするシステムが採用されており、ヒューマンエラーが発生しにくいです。
紙マニフェストと異なり、保管場所を確保する必要がない点もメリットです。一方で、デバイスやインターネット環境が整っていない場合、初期費用がかかってしまいます。
排出事業者が受ける可能性のある罰則とは?
排出事業者にはさまざまな義務があり、それらに違反すると罰則を科される可能性があります。ここからは、排出事業者が受ける可能性のある罰則について廃棄物処理法を参考に解説します。
出典:環境省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」|e-GOV法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137)
不法投棄
排出事業者が注意すべき罰則のひとつが、不法投棄です。不法投棄とは、読んで字のごとくゴミを不法に投棄する行為を指します。昨今は空き家や所有者がはっきりしない山林に産業廃棄物を不法投棄する業者も多く、捨てられたゴミによっては周辺環境に深刻な影響が出る可能性も否定できません。
不法投棄を犯して刑事事件になった場合、廃棄物処理法違反となり、5年以下の懲役か1,000万円以下の罰金、または両方が科されます。なお、法人の罰金の金額は3億円です。
排出事業者ではなく、委託先の業者が勝手に不法投棄を行っていた場合も処罰の対象となります。そのため、委託先の業者の選定は慎重に行いましょう。
マニフェスト交付義務違反
マニフェストを運用する際は、マニフェスト交付義務違反にならないように注意してください。マニフェスト交付義務違反とは、マニフェストの交付や記録、保管に関する違反行為です。万が一マニフェストの交付を忘れてしまったり、記載した内容に間違いがあったりした場合、3年以下の懲役、または300万円以下の罰金が科されます。
そのため、マニフェストの発行をする際は、ミスが発生しないように注意してください。マニフェストの交付に関するミスを予防する方法として、サンプルの作成や複数の従業員による確認作業、電子マニフェストの導入などが有効です。
契約書の記載義務違反
契約書の記載義務違反も、避けなければならないトラブルのひとつです。外部の業者にゴミの処理を依頼する場合、委託契約を交わさなければなりません。このとき、契約書には認可書のコピーを添付し、業務終了後も5年間保管する必要があります。
もし違反してしまうと、3年以下の懲役か300万円以下の罰金、または両方が科されるため、十分注意してください。なお、契約はゴミの収集運搬業者と処分業者、それぞれと直接契約を結びます。
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無許可業者への委託・処理
ゴミの処理を外部の事業者に任せる場合、ありがちなのが無許可業者への委託、および処理の依頼です。すでに説明しているように、産業廃棄物を処分するためには、管轄の都道府県、政令市から許可を受ける必要があります。
万が一許可を受けていない業者にゴミの処理を任せてしまうと、無許可の業者はもちろん、委託した側も責任を負わなければなりません。具体的には、5年以下の懲役か1000万円以下の罰金、または両方が科されます。
処理業者の許可状態は、各都道府県の検索システムで確認可能です。実際に仕事を任せる前に、必ず調べておきましょう。
特別管理産業廃棄物の管理責任者設置義務違反
危険性の高い産業廃棄物を取り扱う場合、特別管理産業廃棄物管理責任者を設置しなければなりません。違反した場合、30万円以下の罰金が科されます。
特別管理産業廃棄物管理責任者になるためには、廃棄物処理法施行規則で定められている特定の資格を有していなければなりません。たとえば、感染性産業廃棄物が生じる事業所の特別管理産業廃棄物管理責任者になるためには、医師や環境衛生指導員などの資格が必要です。
まとめ
産業廃棄物の排出事業者は、法律に基づいて多くの義務を負っています。適切な処理責任の履行はもちろんのこと、処理委託先の選定や契約書の管理、マニフェストの正しい運用など、さまざまな義務を負わなければなりません。
これらの義務を怠った場合、排出事業者自身が罰則を受ける可能性もあるため、常に最新の法令に目を通し、慎重に対応する姿勢が求められます。「自社で対応できるか不安」「委託先の見極めに自信がない」といったお悩みがあれば、専門のサポートを活用するのもひとつの方法です。
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