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おにぎり屋の開業に必要な資金はどれくらい?必須資格と手続きを解説

近年、日本のファストフード「おにぎり」の人気が高まっています。手軽に食べられて腹持ちがよく、物価高のなかでも手に取りやすい価格帯のおにぎりは、幅広い年齢層から支持を集めています。


また、海外でも日本の伝統的なソウルフードとして注目され、訪日外国人にも人気が高まっています。こうした背景から、おにぎり屋の開業を検討される方が増えているのです。


この記事では、おにぎり屋開業に必要な資金や資格、具体的な手続きの流れを詳しく解説します。成功のポイントはもちろん、開業時に見落としがちなゴミ処理の重要性についても紹介します。


おにぎり屋の開業は儲かる?

「そもそもおにぎり屋は儲かるのか?」これは開業を検討する多くの方が抱く疑問でしょう。結論から言えば、おにぎり屋はほかの飲食店と比べて利益を出しやすいビジネスモデルといえます。


その理由として、以下の要因が挙げられます。


調理方法がシンプルで、特別な技術や知識を必要としません。炊飯と握りの基本さえ覚えれば、経験がない方でも短期間でスタートできます。


また、特殊な調理器具を購入する必要がないのも大きなメリットです。炊飯器とガスコンロ、基本的な調理器具があれば営業を開始できます。


さらに、限られたスペースでも店舗開設が可能な点も魅力的です。おにぎりはテイクアウトが中心となるため、大きなイートインスペースを確保する必要がありません。小規模な物件でも十分に営業できます。


加えて、事前に商品を準備できるため、1人での運営が可能です。朝早くに仕込みを行い、販売時間に合わせて準備すれば、人件費を大幅に削減できます。


おにぎり屋を開業するための資金

おにぎり屋の開業にはどの程度の資金が必要なのでしょうか。開業費用は立地や規模、設備にこだわる度合いによって大きく変動します。


初期費用

日本政策金融公庫「2023年新規開業実態調査」によると、飲食店の新規開業の平均開業費用は1,027万円となっています。おにぎり屋の場合、一般的には400〜1,000万円程度の費用が必要です。


具体的な内訳は以下のとおりです。


・物件取得費(約7坪〜):約200〜700万円

保証金・礼金・仲介手数料を含む物件の初期費用です。立地によって大きく変動し、都心部の好立地では700万円以上かかる場合もあります。


・外装・内装工事費用:約100〜300万円

店舗の外観や内装を整える費用です。既存の設備を活用できる居抜き物件を選べば、この費用を大幅に削減できます。


・厨房機器費用:約50〜200万円

業務用炊飯器、冷蔵庫、作業台、ガスコンロなどの必要な設備です。中古品やリース契約を活用すれば初期費用を抑えられます。


・消耗品購入費用:約30〜100万円

包装紙、トレー、お箸、レジ袋などの消耗品類です。開業当初に必要な分をまとめて購入します。


・広告費用:約10〜20万円

看板制作、チラシ印刷、SNS広告などの宣伝費用です。口コミやSNSを活用すれば、この費用は最小限に抑えることができます。


出典:日本政策金融公庫「2023年新規開業実態調査」(https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kaigyo_231130_1.pdf


運営コスト

初期費用に加えて、運転資金も重要です。家賃や光熱費、仕入れ代金、人件費など、開業後に継続的に発生する費用として約50〜200万円(3〜6か月分)を準備しておく必要があります。


開業当初は思うように売上が立たないことも多いため、最低でも6か月分の運転資金を確保しておくことが賢明です。また、経営者自身の生活費も考慮に入れ、家計に影響が出ない範囲での開業計画を立てることが大切です。



おにぎり屋の開業に必要な資格・手続き

おにぎり屋の開業に必要な資格・手続き

おにぎり屋を開業するためには、飲食店営業として必要な資格と許可を取得しなければなりません。主に以下の2つが必須となります。


食品衛生責任者

食品衛生責任者は、施設の衛生管理を行う責任者のことです。食品を取り扱う事業場には必ず1名以上の配置が法律で義務付けられています。


この資格を取得するには、都道府県知事等が定める講習会を受講する必要があります。講習費用は地域によって異なりますが、1万円程度が相場です。


ただし、調理師や製菓衛生士、栄養士など特定の国家資格を有する方は、講習会を受講せずに食品衛生責任者になることができます。一人でおにぎり屋を開業する場合は、開業者自身がこの資格を取得しておく必要があります。


出典:一般社団法人東京都食品衛生協会「食品衛生責任者について」 (https://www.toshoku.or.jp/training/seki-gaiyou.html


飲食店営業許可申請

飲食店営業許可申請は、食品衛生法にもとづき、施設や設備が整っているかを確認するために必要な手続きです。


管轄の保健所に申請書を提出し、施設基準を満たしているかの検査を受けます。許可が下りるまでには数週間かかるため、早めの申請が必要です。


その他の資格・手続き

収容人数が店舗スタッフを含め30名以上の店舗の場合は、防火管理者の選任が必要になります。しかし、おにぎり屋のような小規模店舗では該当しないケースがほとんどです。


その他に必要な届出として、以下のものがあります。


・防火対象設備使用開始届:使用開始の7日前までに消防署に提出
・個人事業の開業届:事業開始から1か月以内に税務署に提出
・青色申告承認申請書:青色申告を希望する場合、開業から2か月以内に税務署に提出など


これらの手続きは並行して進めることができるため、開業スケジュールに合わせて計画的に準備することが重要です。


出典:青色申告制度(国税庁) (https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm


おにぎり屋の開業の流れ

おにぎり屋を実際に開業するまでの具体的な流れを6つのステップに分けて解説します。準備期間は短くとも数か月、場合によっては半年以上かかることも珍しくありません。


事業計画を立てる

開業の第一歩は、明確なコンセプトと事業計画の策定です。5W2H(Who、What、When、Where、Why、How、How Much)の法則にもとづいて計画を立てることが重要です。


・Who(誰に):ターゲット顧客層の設定
・What(何を):提供するおにぎりの種類やサービス内容
・When(いつ):営業時間と開業時期
・Where(どこで):出店場所と商圏の設定
・Why(なぜ):開業する理由と店舗の存在意義
・How(どのように):営業方法と運営スタイル
・How Much(いくらで):価格設定と売上計画


事業計画書には、店舗コンセプト、メニュー内容、立地分析、売上計画、損益計画、返済計画などを詳細に記載します。この段階で専門家に相談することで、より実現可能な計画を立てることができます。


物件選定

物件選びは、おにぎり屋の成功を左右する重要な要素です。ターゲットとする顧客層に適した立地を慎重に選びましょう。


オフィス街であれば朝食や昼食需要が高く、住宅地では夕食需要が見込めるなど、立地によって売上パターンが大きく変わります。


物件を選ぶ際は、ネット上の情報だけでなく、必ず現地に足を運んで周辺環境や人の流れを確認しましょう。


保健所へ営業許可申請

保健所では開業する前に「事前相談」を受け付けています。必要な設備は何かなど、詳細を相談することで後の手続きがスムーズに進みます。


事前相談では、営業許可申請に必要な書類や施設基準について詳しく説明を受けることができます。とくに初めて開業する場合は、この事前相談を活用することで不安を解消できます。


外装・内装工事

物件が決まったら、外装・内装工事に入ります。スケルトン物件では一からデザインできる自由度がありますが、費用が高くなります。一方、居抜き物件では既存設備を活用できるため、費用を大幅に抑えることが可能です。


飲食店特化の業者に依頼することで、保健所の基準を満たした効率的な厨房レイアウトを提案してもらえます。工事期間中も定期的に現場を確認し、計画どおりに進んでいるかチェックしましょう。


設備・備品購入

おにぎり屋の営業に必要な設備・備品を揃えます。主要な項目は以下のとおりです。


・厨房機器
・業務用炊飯器
・業務用冷蔵庫
・作業台とシンク
・ガスコンロ
・米とぎ用のザルとボウル


・販売用品
・ショーケース(冷蔵タイプ推奨)
・レジスター(キャッシュレス対応)
・計量器
・包装紙とビニール袋


・消耗品
・おにぎり用の包装フィルム
・お箸や爪楊枝
・おしぼりやナプキン


設備の選定では、新品にこだわりすぎず、中古品やリース契約も検討することで初期費用を抑えられます。


営業許可をとる基準

営業許可を取得するには、保健所が定める施設基準を満たす必要があります。保健所は開業する前に「事前相談」を受け付けており、具体的な基準や必要な設備について詳しく説明を受けることができます。


事前相談を活用することで、後の検査をスムーズに通過できるよう準備を整えることが重要です。


保健所の立会

設備が整ったら、保健所による最終的な立入検査を受けます。この検査では、申請書類に記載された設備が実際に設置され、衛生基準を満たしているかを確認します。


検査に合格すると営業許可証が交付され、晴れて営業開始できるようになります。


おにぎり屋を成功させるために押さえておきたい3つのポイント

おにぎり屋として長期的に成功するためには、開業後の継続的な努力が不可欠です。競合が多い中で差別化を図り、顧客に選ばれ続ける店舗にするための3つのポイントを紹介します。


通常のおにぎりと差別化する

「家で作れるおにぎりやコンビニおにぎりとの違いは何か?」という差別化が成功の基盤となります。


お米へのこだわりが最も重要な差別化ポイントです。ブランド米を使用することで他との違いを明確にできます。炊き方にもこだわり、土鍋や業務用高級炊飯器を使用すれば、ふっくらとした食感を実現できます。


また、豪華な具材も差別化の要素です。一般的な鮭やおかかに加えて、炙り明太子、うにいくら、和牛そぼろなど、少し贅沢な具材を使用することで特別感を演出できます。


握り方や形状にも工夫の余地があります。手で握る温もりを大切にしたり、三角形以外の俵型や丸型に挑戦したりすることで、見た目の印象も変わります。


おにぎりのメニューを工夫する

リピーター獲得のためには、定期的な新メニュー開発が欠かせません。季節感を取り入れたメニュー展開により、一年を通じて顧客の興味を維持できます。


季節限定メニューの例として、春には筍や桜えび、夏には梅干しや青じそ、秋には栗や鮭、冬には明太子や牡蠣などを使用した商品を展開できます。


ご当地おにぎりも話題作りに効果的です。明太子おにぎり(福岡)、鮭おにぎり(北海道)、わさび菜おにぎり(島根)など、各地の特産品を活用することで旅行気分も味わってもらえます。


メニュー開発では、季節や流行を取り入れながらも、店舗のコンセプトからブレないことが重要です。月替わりや週替わりの限定メニューを設けることで、顧客の再来店動機を高めることができます。


コスト削減をする

利益率を高めるためには、品質を維持しながらコストを削減する工夫が必要です。


仕入れコストの削減では、食材の仕入れ先を複数確保し、価格比較を定期的に行います。米や海苔などの主要食材は、まとめ買いによる単価削減効果も期待できます。


また、人件費の最適化も重要な要素です。1人でのオペレーションを前提とした効率的な作業フローを構築し、忙しい時間帯のみアルバイトを活用する体制を整えます。


しかし、手間のかかる作業については、専門業者への委託も検討すべきです。特にゴミ処理のような付帯業務は、法的リスクや作業効率を考慮すると、専門業者に任せた方が結果的にコスト削減につながる場合があります。


飲食店における「ゴミ処理」の重要性とは?

おにぎり屋を含む飲食店を開業する際に、多くの方が見落としがちなのが「ゴミ処理」の問題です。しかし、これは法的リスクと直結する重要な課題であることを認識する必要があります。


飲食店から出る廃棄物は「事業系ゴミ」に分類され、一般家庭のゴミとは全く別の扱いとなります。事業系ゴミは「一般廃棄物」と「産業廃棄物」の2種類に分けられ、それぞれ適切な処理が法律で義務付けられています。


一般廃棄物には、食べ残しや調理くず、紙くずなどが含まれます。これらは自分で処理施設に持ち込むか「一般廃棄物収集運搬業許可」を受けた業者に委託する必要があります。


産業廃棄物には、廃プラスチック類や金属くずなどが該当し「産業廃棄物収集運搬業許可」を都道府県から受けた業者に委託しなければなりません。


最も注意すべきは、事業系ゴミを家庭ゴミとして捨てることは「不法投棄」に当たるということです。違反した場合は、5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金という重い罰則が科せられる可能性があります。


このような法的リスクと手間を考慮すると、専門業者への委託が最も安全で効率的な選択といえます。


許可を持った信頼できる業者を選び、適正な契約を結ぶことで、ゴミ処理に関する不安を解消し、本業に専念することができるのです。


出典:環境省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」|e-GOV法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137


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まとめ

おにぎり屋の開業には初期費用と運転資金が必要ですが、ほかの飲食店と比較して始めやすいビジネスモデルといえます。食品衛生責任者の資格取得と飲食店営業許可の申請は必須ですが、適切な準備を行えば決して難しいものではありません。


成功のポイントは、差別化されたおにぎりの提供、季節感のあるメニュー開発、そして効率的な運営体制の構築です。とくに見落としがちなゴミ処理については、法的リスクを避けるために専門業者への委託を強く推奨します。


イーブライトでは、事業ゴミに対応した回収サービスを提供しております。さらに、飲食店など各種店舗に向けて、グリストラップ清掃・衛生管理・悪臭防止といったメンテナンス業務にも幅広く対応いたします。


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