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産業廃棄物処理契約書とは?トラブルを防ぐためのポイント

産業廃棄物処理契約書とは?トラブルを防ぐためのポイント

事業活動で出る産業廃棄物は、排出した事業者が最後まで適切に処理する責任があります。多くの場合、専門の廃棄物処理業者に処理を依頼しますが、その際には「産業廃棄物処理委託契約書」を結ぶ必要があります。

この契約書に記載ミスや漏れがあると、トラブルが発生したり、法律違反として罰則を受けたりする可能性があります。安全かつ適切に廃棄物を処理するためには、契約の正しい知識が欠かせません。

この記事では、産業廃棄物処理委託契約書の基本的な内容や記載すべき項目を分かりやすく解説します。また、トラブルを防ぐための重要なポイントについても紹介します。

産業廃棄物処理契約書とは

廃棄物を処理業者に委託する際に作成するのが「産業廃棄物処理委託契約書」です。産業廃棄物処理の契約は、法律で書面による締結が義務付けられています。

産業廃棄物の処理業者には、収集・運搬のみを行う業者、処分のみを行う業者、収集・運搬と処分の両方を行う業者の3種類があります。委託する内容に応じて、契約書の種類も異なります。

また、契約書には、廃棄物の種類や量、処理方法などが記載されており、処理業者は契約内容にしたがって適切に処理を行います。契約を作成する際には、法的に有効な契約書を作成し、契約内容をしっかり確認することが大切です。

もし契約書を作成しなかったり、契約内容が実際の処理と異なっていたりした場合は「委託基準違反」となります。排出事業者には、3年以下の懲役または300万円以下の罰金、またはその両方(廃棄物処理法第26条第1項)といった厳しい罰則が科される可能性があります。

出典:環境省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」|e-GOV法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137)

契約書を適切に作成しないと、企業イメージの悪化につながる可能性もあります。そのため、委託する際は必ず処理業者と産業廃棄物処理契約書を交わし、記載内容を慎重に確認することが重要です。

産業廃棄物処理契約書の記入項目と添付する書面

産業廃棄物処理契約書とは?トラブルを防ぐためのポイント【産業廃棄物処理契約書の記入項目と添付する書面】

産業廃棄物を処理業者に委託する際の契約書には、以下の2種類があり、委託する内容に応じて契約書が異なります。

  • 収集運搬委託契約書(廃棄物の収集・運搬を委託する契約)
  • 処分委託契約書(廃棄物の焼却・埋立などの処分を委託する契約)

契約書には、廃棄物の種類や量、処理方法などの詳細を記載する必要があります。また、必要な証明書類を添付することが求められます。

収集運搬委託契約書・処分委託契約書

収集運搬委託契約書・処分委託契約書には、産業廃棄物の適切な処理を確実に行うための重要な情報が記載されます。ここでは、両方に共通する記入項目・添付する書面について解説します。

記入項目

収集運搬委託契約書・処分委託契約書のどちらにも以下の全8項目を記入しなくてはなりません。

  1. 委託する産業廃棄物の種類と数量
  2. 契約の適用期間
  3. 委託者が受託者へ支払う費用
  4. 受託者が取得している許可の範囲
  5. 産業廃棄物を適正に処理するために必要な情報
  6. 契約期間中に5の情報が変更された場合の通知方法
  7. 委託業務終了時の委託者への報告に係る事項
  8. 契約解除時の未処理産業廃棄物の取り扱いに係わる事項

また、5.産業廃棄物を適正に処理するために必要な情報には、以下の項目が含まれます。

  • 産業廃棄物の荷姿、性状
  • 通常保管状況下での腐敗、揮発など性状変化の情報
  • ほかのゴミと混ぜた場合に生じる支障
  • 含有マーク(JIS C0950)の表示がある場合はその旨
  • 石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物、水銀含有ばいじんなどがある場合は、その旨
  • そのほか、取り扱う際に注意すべき事項

また、委託先の事業の許可範囲についてですが、産業廃棄物を処理できる業者ならどこでもよいわけではありません。木くずや紙くずを処理する場合は、それぞれの処理許可を持つ業者に依頼する必要があります。

さらに、石綿や水銀を含む廃棄物は、特別な処理が必要なため、普通の廃棄物と分けて適切に処理するよう契約時に伝えます。

産業廃棄物の情報が正しく伝わらないと、処理方法の選択ミスや作業員の安全確保が難しくなる、または法令違反のリスクが発生しかねません。契約書にはできるだけ詳しい情報を記載しましょう。

添付する書面

収集運搬委託契約書・処分委託契約書のどちらにも添えなくてはならない書面は以下のとおりです。

  • 再生利用に係わる環境大臣の認定証のコピー
  • 広域的処理に係わる環境大臣の認定証のコピー
  • 無害化処理に係わる環境大臣の認定証のコピー
  • 収集運搬委託契約書のみ

    収集運搬委託契約書とは、廃棄物の運搬を委託する際に結ぶ契約のことです。委託先の事業者が収集・運搬の両方の許可を受けている場合にのみ、契約を締結できます。

    記入項目

    収集運搬委託契約書には、運搬や保管に関する情報を記載します。

    • 運搬の最終目的地の住所
    • 詰め替え保管を行う場合は、保管の住所、保管する産業廃棄物の種類や保管の上限
    • 廃プラスチック類、ゴム屑、金属屑、ガラス屑・コンクリート屑・陶磁器屑、がれき類の安定型産業廃棄物5品目を詰め替え保管する場合は、ほかの廃棄物と混合できるかの可否

    これらの情報は、産業廃棄物を適切に保管・管理するために重要です。

    添付する書面

    収集運搬の契約を結ぶ際には、以下の書類を一緒に提出する必要があります。

    • 産業廃棄物収集運搬業の許可証のコピー
    • 運搬資格を証明する書類(委託された廃棄物を運ぶ資格があることを示すもの)

    これらの書類を提出することで、運搬業者が法律にもとづいて適切に廃棄物を運搬できることを確認します。

    処分委託契約書のみ

    処分委託契約書とは、廃棄物の処分を委託する際に結ぶ契約のことです。委託先の事業者が処分の許可を受けている場合にのみ、契約を締結できます。

    記入項目

    契約書では、廃棄物の処理方法や処理能力など、適切に処理を行うための詳細な情報を記載します。

    • 処分または再生を行う施設の住所、処理方法、処理能力
    • 輸入された廃棄物である場合は、その旨を記載
    • 中間処理を委託する場合は、最終処分を行う施設の住所、処分方法、処理能力

    添付する書面

    処分委託契約書には、業者が法律にもとづいて適切に廃棄物を処分できるかを確認するために、以下の書類を添付する必要があります。

    • 産業廃棄物処分業の許可証のコピー
    • 業として委託された廃棄物の処分資格があることを証明する書類

    イーブライトでは、信頼と高い専門性でお客様の課題解決をサポートします。廃棄物処理でお困りの際は、ぜひご相談ください。

    産業廃棄物処理委託契約書を結ぶ際のポイント

    産業廃棄物処理委託契約書を結ぶ際は、法律で定められたルールにもとづいて契約を結ぶ必要があります。ルールを守らないと法令違反となり、不適切な処理にもつながる可能性があります。排出事業者として責任を追及されないために、以下のポイントを押さえておきましょう。

    二者間契約であるか

    産業廃棄物を処理業者に委託する際は、排出事業者が収集運搬業者・処分業者と個別に契約を結ぶ「二者間契約」が原則です。排出事業者・収集運搬業者・処分業者の3者でひとつの契約を結ぶ「三者間契約」は、不適切な処理につながる可能性があるため、避けたほうがよいでしょう。

    三者間契約とは、排出事業者・収集運搬業者・処分業者の3者がひとつの契約書を作成することを指します。たとえば、収集運搬業者が処分業者を選び、排出事業者がその選定に関与しないケースが該当します。

    廃棄物処理法上、三者間契約は必ずしも禁止されているわけではありません。廃棄物を運搬した業者がそのまま処理まで行うのは、一見合理的にも思えます。

    三者間契約が問題視されるのは、排出事業者が処理の責任を最後まで果たせなくなるリスクがあるからです。処分業者の許可や処理能力を確認しないまま委託してしまうおそれがあり、廃棄物の不適切処理につながるリスクが高まります。

    産業廃棄物を適正に処理するためには、収集運搬業者・処分業者それぞれと個別に契約を結ぶことが大切です。

    必要事項を記載しているか

    廃棄物処理法では、委託契約書に記載しなければならない事項が決められています。もし法律で決められた項目が記載されていない場合、処理委託基準違反となるため、注意が必要です。必要な項目が抜けていないか、書き漏れがないかを確認しましょう。

    適正な廃棄物処理を行うには、排出事業者と処理業者の信頼関係が不可欠です。たとえば燃やして処理する場合と薬品で中和する場合では、処理業者が必要とする情報が異なります。

    そのため、新しく廃棄物の処理を依頼する際は、事前に処理業者と相談し、必要な情報を正しく伝えることが重要です。排出事業者と処理業者がスムーズに情報を共有できる仕組みを作ることで、安全かつ適正な産業廃棄物の処理を実現できます。

    許可証などの写しが添付されているか

    産業廃棄物の処理を業者に委託する際、契約書には処理業者の許可証や認定証のコピーを添付する必要があります。その際、契約内容と許可証の内容が一致しているかを確認しましょう。許可証の記載内容が契約内容と異なっていると、法律違反となる可能性があるため、注意が必要です。

    また、有効期限切れのものでないのかも確認しましょう。許可証には有効期限があります。期限切れの業者は、無許可業者に該当するため、委託した排出事業者も法的責任を問われることになります。必ず許可を受けた業者であるか、有効期限が来ていないことを確認してください。

    5年間は保存する

    産業廃棄物処理の契約書やマニフェストは、法律によって5年間の保存が義務付けられています。もしも5年以内にこれらの書類を紛失した場合、法律違反となり、罰則を受ける可能性があります。

    そのため、契約終了後も契約書や関連書類を適切に保管する仕組みを整えることが重要です。

    なお、マニフェストには電子マニフェストと紙マニフェストの2種類があり、保管義務があるのは紙マニフェストのみです。電子マニフェストには保管義務はありません。

    電子化されたマニフェストは、JWセンターが5年間保管してくれるため、自ら保管する負担を軽減できます。しかし、電子マニフェストを利用するためには、取引先の排出事業者や収集運搬業者、処分業者も日本廃棄物処理振興センターが運営する電子マニフェストシステム(JWNET)へ加入する必要があります。

    イーブライトは、JWNETに加入している収集運搬業者です。廃棄物処理でお困りの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

    まとめ

    廃棄物処理業者に委託する際には、産業廃棄物処理計画書を交わす必要があります。契約書に記載ミスがあると、重大な事故や不適切な処理につながるリスクがあります。

    排出事業者は、正確な情報を記入し、業者と十分にコミュニケーションを取りながら進めることが大切です。産業廃棄物処理を適正に行うため、契約書とマニフェストは5年間保存する、原則二者間契約を行う、許可を持つ業者に委託することを徹底しましょう。

    事業系ゴミ回収業者のイーブライトでは、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県・茨城県・静岡県で産業廃棄物処理のサービスを提供しています。幅広い廃棄物にも柔軟に対応し、信頼と高い専門性でお客様の課題解決をサポートします。

    また、イーブライトでは電子マニフェストの契約が可能です。これにより、契約書の取り交わしがスムーズになり、手間を減らし、お客様の負担が軽減します。深夜・早朝・祝日を含む365日、お客様のご都合に合わせた柔軟なサービスを提供しておりますので、廃棄物処理でお困りの方はぜひイーブライトにご相談ください。

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