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産業廃棄物保管場所の基準とは?適切な保管方法について解説

産業廃棄物保管場所の基準とは?適切な保管方法について解説

産業廃棄物が発生した場合、排出事業者は処理が完了するまで適切に保管する義務があります。ただし、事業主が発生させた産業廃棄物は、どこに保管してもいいものではありません。

産業廃棄物保管場所は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則で定められた保管基準を守る必要があります。遵守しなければ行政から改善命令が出され、改善が見込まれない場合は罰則が科される可能性があります。

この記事では、産業廃棄物保管場所の基準や事前届出、適切な保管方法について詳しく解説します。

産業廃棄物保管場所の6つの基準

産業廃棄物の適切な保管は、廃棄物処理法によって排出事業者に義務付けられています。保管基準を守らない場合、行政から改善命令が出され、その指示に従わないと罰則を受ける可能性があります。

ここでは、産業廃棄物保管場所の6つの基準について、環境省の「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃棄物処理法)第八条「産業廃棄物保管基準」を参考に解説します。

出典:環境省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」|e-GOV法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137)

適切な囲いの設置

産業廃棄物を保管する場所には囲いを設置しなければなりません。囲いは、屋内外を問わず適用され、廃棄物の飛散や流出の防止、保管範囲が一目で分かることを目的としています。ただし、法律では囲いの具体的な形状は決められていません。

ロープを張るだけでも囲いとして認められるケースもありますが、廃棄物が外部に漏れず、保管エリアを明確に示す必要があります。たとえば、水分を多く含む廃棄物を保管する場合は、漏洩を防ぐためにコンクリート製の囲いを使用する必要があります。

また、廃棄物の重量が囲いに負荷をかける場合は、崩れないように丈夫な素材を選ぶことが大切です。囲いは廃棄物の種類や形状に合わせて適切に設置し、安全で分かりやすい保管場所を確保しましょう。

飛散・流出・地下浸透・悪臭発散を防ぐための対策

施行規則では、産業廃棄物を保管する際に、飛散・流出・地下浸透・悪臭発散を防ぐための対策を求めています。飛散対策が不十分だと、風に飛ばされた廃棄物が近隣施設や住宅に流れ込み、思わぬトラブルを引き起こすおそれがあるためです。

一度汚染が起きてしまうと簡単にはもとに戻せず、原因を取り除いてももとの状態に回復するには莫大なコストと時間がかかるでしょう。

また、悪臭が発生すると周囲の衛生環境が悪化し、地域住民からの苦情が増える可能性があります。悪臭問題は目に見えないため放置されがちですが、周囲の生活環境に与える影響は非常に大きく、企業イメージの低下にもつながります。

環境汚染や健康被害も防ぐためにも、周囲に悪影響を及ぼさないような保管方法が求められます。

屋外での保管

産業廃棄物を容器に入れずに屋外で保管する場合、積み上げる高さには制限があります。もし産業廃棄物が囲いに接していない場合、囲いの下端からの勾配は50%以内に収めなければなりません。

一方、産業廃棄物が囲いに接している場合、囲いの内側2m以内は囲いの高さより50cm以下に、2m以上の範囲では勾配が50%以内の高さに保管しなければなりません。

害虫発生の予防

産業廃棄物、とくに食品廃棄物や有機物を含む廃棄物は、ゴキブリ、ハエ、ネズミなどの害虫が発生しやすいため、適切な管理が必要です。害虫が発生すると、衛生環境が悪化し、近隣トラブルや行政指導につながることもあります。

汚染水の処理と防止

産業廃棄物を保管する際は、汚染水の流出を防ぐための対策が必要です。雨水が廃棄物に染み込む、または廃棄物自体から水分が放出されると、有害物質を含む汚染水が発生する可能性があります。

汚染水を適切に処理しないまま外部へ流し出してしまうと、公共の水域や地下水が汚染され、深刻な環境問題につながるおそれがあります。そのため、産業廃棄物の保管場所では、汚染水の発生を想定した設備の設置が重要です。

施行規則では、汚染水が発生する可能性がある場合、排水溝や排水処理設備の設置、底部の不浸透性加工を行うことを求めています。汚染水がそのまま流出しないように適切な措置を取ることで、土壌汚染や地下水汚染を防止できます。

看板(掲示板)の設置

産業廃棄物を運搬・保管・処理する際には、情報の表示義務があります。産業廃棄物を運搬業者に引き渡すまでの一時保管の際も、保管場所に看板を設置しなければならないので注意しましょう。

廃棄物を適正に管理し、衛生管理や安全上の問題から看板の設置は求められています。適切な情報を掲示することで、事故やトラブルの防止につながります。

産業廃棄物の保管・運搬において、情報表示(看板設置)が求められるのは以下のとおりです。

  • トラックなどの車両で産業廃棄物を輸送する場合(車両に表示)
  • 船を利用して産業廃棄物を運搬する場合(船に表示)
  • 産業廃棄物を一時的に保管する施設や場所がある場合(保管場所に表示)
  • 産業廃棄物の最終処分場

表示が推奨されるものは、以下のとおりです。

・医療機関などから排出された産業廃棄物を収納する容器(容器に表示)

医療機関から排出される廃棄物を収納する容器は感染リスクがあるため、廃棄物の種類や注意事項を記載した表示が推奨されます。

産業廃棄物保管場所の囲いについて

産業廃棄物を適切に保管するためには、囲いが必須です。しかし、屋外と屋内で囲いを設ける際には、それぞれ異なる注意点があります。

屋内

産業廃棄物を屋内で保管する場合、基本的には追加の囲いは必要ありません。倉庫や工場、オフィスビル、商業施設内の専用スペース、またはプレハブ小屋などは、屋根と壁で囲まれた空間であるため、これらの場所はすでに囲いがあると見なされるためです。

さらに、複数種類の産業廃棄物をまとめて保管する場合は、それぞれの廃棄物が混ざらないように分けて保管することが重要です。廃棄物を適切に仕切り、管理することで、混合による処理の問題や予期しないトラブルのリスクを避けられます。

屋外

屋外で産業廃棄物を保管する際、囲いに対して廃棄物の重さが直接かかる場合とかからない場合で、それぞれ異なる基準が設けられています。

・囲いに重さが直接かからない場合

廃棄物を積み上げる高さは囲いの下端を基準にし、上向きに50%の勾配を超えないようにします。

・囲いに直接重さがかかる場合

廃棄物が囲いに接して積み上げられる場合、囲いの内側2m以内の範囲では、囲いの上端から50cm以下になるように積み上げます。さらに2m以上内側の場合は、2m線から勾配50%以下になるように積み上げる必要があります。この勾配50%とは、縦横1対2の角度、つまり約26.5度の傾斜です。

これらの基準を守ることで、廃棄物が安全に積み上げられ、囲いの外に漏れ出すリスクを減らせます。

産業廃棄物保管場所の看板(掲示板)について

廃棄物を一時的に保管する場所には、看板を設置し、廃棄物の情報を周囲に分かりやすく伝える必要があります。ここでは、産業廃棄物保管場所の看板(掲示板)について解説します。

記載する内容

産業廃棄物の保管場所には、看板を設置し、必要な情報を明確に記載する義務があります。設置するだけでは不十分で、内容が不適切だと行政指導の対象になるため、以下のポイントを押さえて正しく記載しましょう。

  • 一目で産業廃棄物保管場所だと分かるように記載すること
  • 保管している産業廃棄物の種類
  • 管理者の名称
  • 連絡先
  • 最大保管高さ(屋外で容器を使わずに保管する場合)

産業廃棄物には、廃アルカリ、ゴムくずなど20種類が定められています。どの種類を保管しているかを正確に表示しましょう。

また、管理者の会社名、住所、担当部署名を記載します。個人事業主の場合は、氏名を明記しましょう。

トラブルが発生した際に備えて、迅速に対応できる連絡先を記載します。電話番号など、すぐに連絡が取れる情報が望ましいです。

最大保管高さは、屋外で容器を使わずに廃棄物を直接保管する場合に表示します。容器を使用する場合や屋内保管では、この項目の記載義務はありません。

設置する際は、ルールに従い正しい内容を明記しましょう。看板は周囲から確認できる場所に設置することが重要です。

大きさ

産業廃棄物保管場所に設置する看板の大きさには基準があります。横・縦それぞれ60cm以上のサイズで作成することが義務付けられています。看板が小さすぎると情報が見えづらくなり、周囲への注意喚起ができません。

看板に記載する文字の大きさに明確な規定はありませんが、遠くからでも視認できる大きさで記載することをおすすめします。文字が小さいと情報が見逃され、不慮の事故やトラブルにつながるおそれがあります。

設置場所

看板を設置する際に最も気になるのは、どこに設置すればよいかという点です。産業廃棄物を保管する場所には原則として看板の設置義務がありますが、すべての保管場所に設置する必要はありません。

各工程で発生する廃棄物の量が少量であったり短期間のみの保管であったりする場合、看板を設置するのは現実的ではないためです。

看板の目的は、周囲への注意喚起や衛生管理、トラブルが発生した際に迅速な対応ができるようにすることです。そのため、以下のような廃棄物が多く集まる場所や長期間保管されている場所では、看板を設置するのが望ましいとされています。

  • 1か月以上保管される廃棄物がある場所
  • 10㎥以上の廃棄物を保管するスペース
  • ビルや施設内の廃棄物集積場所
  • 各セクションの廃棄物が最終的に集積させる場所

一方、以下のような場所では設置が必要ないとされる場合が多いです。

  • オフィスの廃棄物箱や廃棄物の一時保管場所
  • 清掃業者がすぐに回収する場所
  • 廃棄予定品を一時的に置いているスペース

もし廃棄物が周囲に悪影響を及ぼす可能性がある場合や、外観で混乱を招く恐れがある場合、義務ではなくても看板を設置することが適切な対応です。分かりやすく明確な表示を心がけ、周囲の安全に十分配慮することが重要です。

産業廃棄物保管場所には事前届出が必要?

事業活動から出た産業廃棄物を、事業場以外の場所に保管する場合は、事前に都道府県に届出を行う必要があります。届出が必要とされるのは、建設工事から出る産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を含む)です。

産業廃棄物を300㎡以上の面積がある場所で保管する場合は届出が必要です。ただし、以下の場合には届出は不要となります。

  • 排出事業者が自社で保管する場合
  • PCB廃棄物に関して、すでにPCB特別措置法第8条に基づいて届出を行っている場合
  • 排出事業場以外の場所で保管する場合
  • 保管場所が300㎡未満の場合

都道府県知事への事前届出を怠った場合、最長で6か月の懲役や最大50万円の罰金が科せられる可能性があるため注意しましょう。

また、地震や災害などの緊急時には、事後の届出が認められます。その場合でも、廃棄物を保管した日から14日以内に届出をしなければ、最大20万円の過料が課せられる場合があります。

ただし、届出が不要な場合でも、産業廃棄物を適切に保管するための基準は守らなければなりません。周囲に影響を与えないように、環境保全や安全を考慮した管理が必要です。

イーブライトでは廃棄物の収集・分別・リサイクルをしております。産業廃棄物に関してお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

産業廃棄物の保管方法

産業廃棄物保管場所の基準とは?適切な保管方法について解説【産業廃棄物の保管方法】

事業場から発生する産業廃棄物を毎回業者に引き取ってもらうのは手間がかかります。そのため、一定期間廃棄物を保管するための保管場所が必要不可欠です。

しかし、適切に保管しないと、廃棄物の流失や発火といった危険が生じる可能性があります。安全に保管するためには、正しい管理方法を確認し、適切な対応を行うことが大切です。

ここでは、産業廃棄物を保管する容器を紹介します。

フレコンバッグ

フレコンバッグは、大量の廃棄物を効率的に保管・運搬できる大型の袋で、主にポリプロピレンやポリエチレンといった化学繊維から作られています。フォークリフトやクレーンで簡単に移動できるため、作業の効率化が図れます。

使わないときは折りたたんで収納でき、比較的手頃な価格で購入できる点も魅力です。一般的に保管する廃棄物は燃え殻、紙くず、木くず、繊維くずなどです。

便利なフレコンバッグですが、長期間紫外線や雨風にさらされると素材が劣化し、破損の原因となります。破損した場合、中身が落下して周囲に散乱する可能性があるため、使用前に必ず状態を確認することが重要です。

また、フレコンバッグは柔らかい素材で作られているため、尖った廃棄物をそのまま入れると破損のリスクがあります。硬い廃棄物を収納する際は、できるだけ細かく砕いてから入れるようにしましょう。

さらに、汚泥など水分を多く含む廃棄物を入れると、袋の底から汚水が漏れることがあります。水分量には注意し、漏れないような対策を講じることが必要です。

コンテナ

着脱式コンテナ(バッカン)は、建設現場や解体現場でよく使われる鉄製の大型容器です。鉄製なので強度が高く、壊れにくいため、がれき類や金属くず、コンクリート片など、大きくて重い廃棄物の保管に適しています。

また、バッカンは固定して積み重ねることも可能です。脱着装置付きコンテナ車という専用の車両に取り付けてそのまま移動もできます。

着脱式コンテナ以外にも、軽量のプラスチック製コンテナもあります。コンテナにはいろいろなサイズがあるので、現場の用途に合ったものを選ぶとよいでしょう。

ドラム缶

ドラム缶には、オープンドラム缶とクローズドラム缶の2種類があります。オープンドラム缶は、蓋が取り外せるタイプで、開口部が大きいのが特徴です。主に固形物の保管に適しています。

一方、クローズドラム缶は蓋が固定されており、小さな注ぎ口だけが付いています。開口部が小さいため、液体を安全に密閉して保管するのに向いています。

ドラム缶は、汚泥や廃油など水分を多く含む廃棄物を安全に保管するのに適した容器です。とくに密閉性の高いものを使うと、汚水の流出や発火リスクを防げます。

また、草木や落ち葉などの有機物は、内部で細菌が分解すると温度が上がり、発火するおそれがあります。こうした廃棄物には耐熱性のあるドラム缶を使用しましょう。

廃酸や廃アルカリは鉄を腐食させ、最終的にドラム缶に穴が開く危険があります。これらの廃棄物は、樹脂製や耐腐食加工が施された容器を使用するのが安全です。

さらに、溶剤系の廃油や有機性の廃液は、気温が高くなるとガスを発生させる場合があります。可燃性ガスが発生する可能性があるため、爆発を防ぐためにも直射日光や高温を避けて保管してください。

一斗缶

一斗缶はドラム缶ほどの大きな容器が不要な場合に使用されます。廃油や廃酸、廃アルカリなどの少量の産業廃棄物を保管する際に適しています。

イーブライトでは、信頼と高い専門性でお客様の課題解決をサポートします。廃棄物処理でお困りの際は、ぜひご相談ください。

まとめ

産業廃棄物は少量であっても危険をともなうため、保管場所の管理は「廃棄物処理法施行規則」にもとづいて行う必要があります。基準を守らない場合、行政処分や罰則の対象となり、企業イメージが損なわれる可能性があります。

また、保管する際の容器も適切に管理しなければなりません。廃棄物が流失し、発火する危険性があるため、従業員の安全を確保するためにも十分な配慮が必要です。

事業系ゴミ回収業者イーブライトは、企業様から出る廃棄物の収集から分別、リサイクルまでを一貫して行うサービスを提供しています。計量器付きパッカー車を導入することで、廃棄物の正確な排出量管理を可能にし、処分費用を明確に提示します。

産業廃棄物に関してお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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