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産業廃棄物管理票報告書の提出を忘れるとどうなる?知っておくべき提出方法と罰則

産業廃棄物管理票交付等状況報告書は、法令により提出が義務付けられている書類であり、産業廃棄物の排出事業者が提出しなかった場合には、罰則が科されることもあります。排出事業者は報告書の必要性や正しい作成方法を理解し、期限内に提出することが求められます。
この記事では、産業廃棄物管理票交付等状況報告書の記載内容や提出先など、作成および提出に必要な情報を詳しくご紹介しています。提出しなかった場合の罰則についても、具体的に解説します。
さらに、記事の後半では、産業廃棄物管理票交付等状況報告書の提出が不要となるケースについても説明しています。報告書の作成を省いて、業務負担の軽減を図りたい事業者さまは、ぜひ参考にしてみてください。
産業廃棄物管理票交付等状況報告書とは?
産業廃棄物管理票交付等状況報告書とは、産業廃棄物管理票を交付した事業者が提出しなければならない書類です。
産業廃棄物管理票は「マニフェスト」と呼ばれています。産業廃棄物を排出する事業者が外部に収集運搬や処分を委託する際は、マニフェストの交付が義務となっています。
目的と重要性
そもそもマニフェストが制度化された背景には、産業廃棄物を排出する事業者の責任を明確にし、不法投棄の発生を防止する目的があります。マニフェストを交付することで、どのような廃棄物がいつ委託され、どこへ運ばれ、どのように処理されたのかを把握できる仕組みになっています。
しかし、マニフェストを交付しない事業者が現れたり、事業者同士が示し合わせて虚偽のマニフェストを作成したりする事例が発生すると、制度の信頼性が損なわれてしまいます。
そのため、報告書の提出を義務付けることにより、マニフェスト交付に関する不正行為を抑止する仕組みが整えられています。
対象者
産業廃棄物管理票交付等状況報告書を作成して提出すべき対象者は、産業廃棄物管理票を交付した排出事業者です。交付した枚数は問われず、たとえ1枚のみであっても、報告書の作成および提出が必要となります。
排出事業者とは、工場や事務所のほか、病院や学校などの各種施設、さらには農家や個人事業主を含む、産業廃棄物を排出したすべての事業者を指しています。
提出期限・提出場所
提出期限は年に1回で、毎年6月30日までと定められています。報告の対象期間は、前年度の4月1日から3月31日までです。
提出先は、産業廃棄物を排出した事業場の所在地を管轄する自治体です。廃棄物が実際に処分された場所ではなく、排出元である事業場の所在地が基準となる点を理解しておく必要があります。
書類を提出する窓口は、役所の担当課や地域の環境センターなど、管轄する自治体によって異なります。提出方法には、窓口への直接持参のほか、郵送やWebを利用できる場合もあり、あらかじめ各自治体のWebサイトなどで確認しておくと安心です。
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産業廃棄物管理票交付等状況報告書の記入内容
書類に記載する内容は、以下のとおりです。
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・報告日または提出日
・報告者の住所・氏名・連絡先
・事業場の名称・業種(日本標準産業分類の中分類)・所在地・連絡先
・産業廃棄物の種類・排出量・管理票を交付した枚数
・運搬または処分委託先の許可番号・名称か氏名
・運搬先または処分場の住所(運搬先の住所は運搬受託者の住所ではなく、廃棄物を下ろした場所)
報告の様式は、環境省が定めた所定の規格に基づいています。以前は一部の都道府県で独自の様式が採用されていたため、事業者は事業場の所在地に応じて異なるフォーマットの書類を作成する必要があり、このことが業務上の負担となっていました。
その後、環境省が様式の統一を行ったことにより、現在では自治体ごとに個別対応をする必要がなくなり、業務の効率化が進んでいます。現在使用されているのは「様式第三号」であり、PDF形式とExcel形式の2種類が用意されています。
また、オンラインで電子申請を行う場合には、Excel形式の様式を使用するよう指定している自治体もあります。提出方法に応じて適切な形式を選択し、誤りがないように注意することが大切です。
提出を忘れた場合の罰則
提出を怠った事業者には、罰則が科される場合があります。提出を忘れたからといって直ちにペナルティが科されるわけではありませんが、自治体からの要請に応じない場合には、最終的に法令に基づいた措置が取られるため、報告は確実に行う必要があります。
期限内に報告書を提出しなかった場合には、まず管轄の自治体から勧告が出されます。勧告に従わない場合には、事業者の社名などが公表されることになります。
さらに、それでも従わなかった場合には措置命令が出され、その命令にも違反した場合には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されることになります。
出典:廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第二十七条の二(https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000137)
産業廃棄物管理票交付等状況報告書の作成方法
報告書を作成する際には、どのような準備が必要になるのでしょうか。実際の作成から提出までの流れを順番に確認してみましょう。
前年度分の産業廃棄物管理票を集める
前年度の4月1日〜3月31日に交付した産業廃棄物管理票が対象となるため、1年分の管理票を集めて準備します。
廃棄物の排出量が多い事業者は、紙のマニフェストが大量に発生します。紛失を防ぐため、月別や委託先別にあらかじめファイリングしておくとよいでしょう。リングタイプのバインダーなどを使用すると便利です。
なお、紙のマニフェストは7枚つづりの複写式で作成されます。排出事業者が誤って紛失した場合には、委託先である運搬業者や処分業者が保管しているマニフェストのコピーを取り寄せることで、代用が可能なケースもあります。紛失に気づいた際には、速やかに対応するよう心がけましょう。
ただし、マニフェストの再交付は不正防止の観点から原則として認められていません。そのため、日頃から慎重に保管することが大切です。
産業廃棄物管理票を仕分ける
報告書の記載項目には、委託した産業廃棄物の種類や委託先、排出量などが含まれています。集計作業を円滑に進めるためには、産業廃棄物管理票をあらかじめ廃棄物の種類や委託先ごとに仕分けておくと効率的です。
また、産業廃棄物管理票交付等状況報告書は、排出事業場ごとに作成する必要があります。同一の県や政令指定都市内に複数の事業場を所有している事業者は、それぞれの事業場ごとに個別の報告書を作成しなければなりません。
ただし、建設業のように廃棄物の排出場所が短期間で変動する場合には、複数の事業場分をまとめて報告することが認められているケースもあります。
産業廃棄物管理票の集計を行う
仕分け作業が終わったら、委託先ごとに産業廃棄物管理票の枚数と排出量を集計します。産業廃棄物の種類は20の区分に分かれていますが、廃棄物の発生時に分離が難しく、完全に分別できない場合もあります。
管轄地域によっては、そのような混合廃棄物について、報告書に「混合である」と記載しても差し支えないとされている場合もあるため、事前に所轄の窓口へ確認しておくと集計がスムーズに進みます。排出量は「何トン」という重量単位で記載する必要があります。
なお、産業廃棄物管理票では「4トントラック1台分」のように荷姿や個数での記載も認められていますが、産業廃棄物管理票交付等状況報告書では、必ず具体的な数値で排出量を記載しなければなりません。
体積で記録されていた場合に「何トン」に換算する際には、自治体によっては電子マニフェストの換算係数などを用いるよう指定しているケースもあるため、あらかじめ確認しておくことが重要です。
電子マニフェストについて
産業廃棄物管理票交付等状況報告書の提出が必要になるのは、紙の産業廃棄物管理票を交付した場合に限られます。電子マニフェストを利用している事業者は、年に1回の報告書を自治体に提出する必要がありません。
電子マニフェストとは、紙のマニフェストの代わりに、電子的に情報を登録するシステムのことです。公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターがこのシステムの管理や運営を行っており、マニフェストの交付状況についてはセンターから自治体へ報告がなされます。そのため、事業者は報告書の準備や提出といった手間のかかる作業を省くことができます。
電子マニフェストを導入することで、報告書の提出が不要になるだけでなく、次のような利点も得られます。
・システム上で登録項目がチェックされ、記入の不備を減らせる
・保管スペースを取らない
・紛失のおそれがない
・利用頻度の高い情報はシステムに記録され、毎回入力しなくてよい
委託業者に引き渡した廃棄物の処理状況を随時チェックできる
このように、電子マニフェストには業務の効率を高めるさまざまな効果があります。まだ導入していない排出事業者は、紙媒体から電子マニフェストへの切り替えを検討することをおすすめします。
電子マニフェストの利用を開始するには、日本産業廃棄物処理振興センターが運営するJWNETへの加入が必要です。また、自社だけでなく、運搬や処分を委託する業者も同様に加入していなければ利用することができません。そのため、事前に委託予定の業者と調整しておく必要があります。
電子マニフェストは紙に比べて多くのメリットを享受できますが、システムトラブルやインターネットの不具合などにより、一時的に利用ができなくなるリスクもあります。さらに、年間で発生する基本料金に加え、登録件数に応じて使用料が発生するため、排出量が多い事業者ほどコストの負担が大きくなる点にも注意が必要です。
とはいえ、紙のマニフェストと電子マニフェストを併用すると管理業務が複雑になり、ミスやトラブルが生じやすくなります。自社の運営体制や業務内容に適した方法を選び、いずれか一方の方式に統一して、適切に運用していくことが望ましいでしょう。
まとめ
産業廃棄物管理票交付等状況報告書は、マニフェストが法令に基づいて適切に運用され、産業廃棄物が正しく処理されているかどうかを自治体が確認するための書類です。期限を過ぎても提出しなかった場合には、最終的に罰則が科されることもあるため、正確に記入したうえで期限内に提出することが求められます。
なお、産業廃棄物管理票交付等状況報告書は、電子マニフェストへ切り替えることで提出義務がなくなります。紙のマニフェストを交付しており、報告書の作成業務に多くの時間と労力を費やしている事業者は、電子マニフェストの導入を検討してみるのも一案です。
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