COLUMN コラム
飲食店開業の流れと必要な手続きとは?提出書類と主要な届出先も解説!
飲食店開業を成功させるには、計画的な準備と手続きをする必要があります。
飲食店の開業準備を始めてから、実際に開業するまでには通常1年程度かかるとされています。進めるべき作業や手続きは多岐にわたり、何をどのタイミングで行うべきかを正確に把握しておかないと、開業予定日に間に合わなくなる可能性もあるでしょう。
この記事では、飲食店を開業するまでの流れや必要な手続きの詳細、成功に向けたポイントをわかりやすく解説します。これから飲食店を開業しようとしている方は、ぜひ参考にしてください。
飲食店を開業するまでの流れとは?
ここでは、飲食店を開業するまでの流れを、開業の1年前から開業の1週間前まで、時系列順で詳しく解説します。
流れにそって準備を進めることで、飲食店開業の成功に近づけるでしょう。
開業の1年前
飲食店を開業する際、最初に取り組むべきはコンセプト作りです。店舗の方向性を決めるコンセプト作りは、計画全体の基盤となるため、しっかりと時間をかけて練り上げることが重要です。
コンセプトを確立するには、5W1H(いつ、どこで、誰に、何を、どのように、なぜ)を活用して計画を立てることをおすすめします。業種や業態、ターゲット層、店舗の強みなどを具体的に設計することで、後のメニュー決定や価格設定、内装デザインの迷いを防ぎ、競合との差別化を図れるでしょう。
同時に、開業に必要な資格として「食品衛生責任者」と「防火管理者」を早めに取得しましょう。資格取得の遅れが開業時期に影響しないよう、計画的に進めることが成功のカギです。
開業の11か月前
開業11か月前には、事業計画書を作成し、開業に向けた具体的な計画を立てることが欠かせません。
事業計画書は、事業内容や収支計画をまとめた重要な書類です。どのような事業を展開し、収益を上げていくかをまとめることで、アイデアを整理し、開業後の進捗管理にも役立つでしょう。
また、金融機関から融資を受ける際にも事業計画書が必要となります。計画書がしっかりと作られているかどうかが、融資の可否や融資額を左右するため、各項目を明確にし、論理的に説明できるように準備します。お店の名前が決まったら、ロゴマークの作成や商標登録もすすめましょう。
開業の8か月前
開業8か月前には、店舗の物件探しを開始しましょう。物件選びは、通常の賃貸住宅と同じく、不動産会社で物件を探し、内見・申し込み・審査・契約と進みます。
ただし、建物の構造によっては、希望する工事が難しかったり、予定していた席数が確保できなかったりする可能性もあります。施工会社に同席してもらい、店舗のレイアウトや工事が実現可能かを確認してもらうとよいでしょう。
なお、店舗物件には、路面店舗、地下店舗、空中店舗の3つに大きく分かれます。たとえば、地下店舗は家賃が比較的低いですが、視認性が低いため集客には工夫が必要です。一方、路面店舗は通行人の目に留まりやすく、集客しやすいですが、家賃が高くなる傾向があります。
気になる物件が見つかったら、駅からのアクセスや人通りの多さ、競合店の有無といったエリア全体の状況も確認しましょう。平日と週末、昼夜の状況を観察することで、ターゲット層が集まりやすいかどうか、より確実に判断できます。
開業の5か月前
開業5か月前には、資金調達の計画を立てましょう。日本政策金融公庫が発表した2023年度の調査によれば、開業費用の平均は約1,027万円です。自己資金だけで賄えるなら資金調達は不要ですが、多くのケースでは追加で資金を調達する必要があります。
資金調達の方法は、金融機関からの融資、助成金や補助金の利用、親戚や友人からの借入、そしてクラウドファンディングの活用があります。
融資を受ける際には、自己資金の額も審査のポイントとなることがあり、自己資金がない状態で飲食店を開業するのは難しくなります。
自己資金が融資の重要な審査基準となっており「創業資金の3分の1以上の自己資金を持っていること」という条件が設けられている場合があります。手元の資金が少ないと、希望する金額の融資を受けられない可能性もあります。
資金調達を行う際は、しっかりと返済計画を立て、収支計画を練ることが重要です。融資や補助金、助成金を利用する際には審査がある場合が多いため、開業の5か月前には資金調達を済ませておくことをおすすめします。
開業の4か月前
開業4か月前には、メニューの開発を進め、提供する料理やサービスの内容を確定させましょう。
まずは店舗のコンセプトに合わせたメニューを企画し、ターゲットとなる顧客層に合うように調整します。原価計算を行い、コストを抑えながら料理のクオリティを維持できるようにしましょう。
次に、レシピを作成し、調理スタッフが一定の品質で提供できるように手順を整えます。食器や盛り付け、メニューのネーミングも店舗のテーマに合ったものを選ぶことが大切です。
料理の試作を行い、味や盛り付け、価格を調整しながら、最終的なメニューを決定します。試作段階でのフィードバックを取り入れて、メニューのブラッシュアップを図ることも忘れてはなりません。
メニュー開発と同時に、仕入れ先や食材の選定も並行して進め、安定した品質を確保する準備を整えましょう。
開業の3か月前
開業3か月前には、店舗の内装と外装工事を開始しましょう。店舗のコンセプトに基づき、業者やデザイナーと打ち合わせを行い、希望するイメージや事業戦略を明確に伝えることが大切です。
内装が完成したら、厨房設備の準備に取り掛かります。厨房設備の選定は、提供するメニューや調理に必要な機器によって異なります。設置前に保健所の基準を確認し、搬入準備を整えましょう。
同時に、集客方法やプロモーション戦略の立案も行います。「カスタマージャーニー」を理解し、認知からリピートまでの各ステップに応じた集客ツールや販促手段を検討します。
SNSやウェブサイトの開設、新メニューの告知、メールマガジン、クーポン、公式アプリなどを活用して集客を図りましょう。
開業の2か月前
開業の2か月前には、店舗の備品と仕入れ業者の選定を進める必要があります。まず、厨房と客席で必要な備品をリストアップし、種類と個数を整理して揃えます。
なかでも、厨房のシンクは保健所による食品関係営業許可基準を満たしている必要があるため、事前に確認しておきましょう。
次に、仕入れ業者の選定が重要です。質の高い食材を安定的に供給してくれる業者を見つけるために、食材の種類、仕入価格、配送方法や期間の3点を考慮しましょう。仕入価格は販売価格の20〜35%を目安にし、料理のクオリティを維持しつつ利益も確保できる必要があります。
また、配送方法が店舗のニーズに合い、仕入れ量の変化にも柔軟に対応できる業者を選ぶことも大切です。
開業の1か月前
開業1か月前には、各種届出や手続きを完了させ、法令に基づいた運営体制を整えることが大切です。
最低限「食品衛生責任者」や「防火管理者」の資格を取得すれば開業は可能ですが、店舗オープン後には税務署、保健所、消防署などへの届け出が求められます。
たとえば、営業許可や開業届はすべての飲食店が申請しなければならないものに加え、店舗の規模やジャンルに応じた許可の取得も含まれます。
また、従業員を雇う場合は、保険への加入手続きも忘れてはいけません。手続きは、提出先や期限がそれぞれ異なるため、事前に必要な書類をしっかり整理しておくことが大切です。
ほかにも、酒類や製菓を扱う場合には、追加で申請が必要な書類もあります。ご自身の店舗にどの書類が必要なのかがわからない場合は、まずは所轄の保健所に相談してみるとよいでしょう。
開業の1週間前
開業1週間前には集客活動を本格化させ、最終準備を整えましょう。まずは、WebサイトやSNSアカウントを立ち上げ、積極的に情報を発信することが大切です。
さらに、チラシやダイレクトメール、雑誌広告などを活用し、ターゲットや地域に合わせたアプローチを行いましょう。リーフレットやショップカードを準備すると、店舗の認知度をさらに高められます。
宣伝活動と並行して、スタッフの採用も進めます。SNSや求人サイト、ポスターなどを活用して必要な人材を確保しましょう。採用後は、スタッフの教育を行い、店舗運営に向けた準備を整えます。
準備が整ったら、開業前にプレオープンを実施しましょう。プレオープンは、実際の営業に向けたシミュレーションとして機能し、運営の最終調整やスタッフの動きの確認を行う重要なステップです。
グランドオープンの2週間前から2日前に知人や近隣住民を招待し、メニューやサービスを無料または割引価格で体験してもらいます。その際、プレオープンを通じて、接客の流れや設備の使い勝手を確認し、潜在的な問題点を洗い出すことが大切です。
閉店後には振り返りを行い、開業に向けて最終調整を行いましょう。
飲食店を開業する際の主要な届出一覧
ここでは、開業前に必要な主要な届出を詳しく紹介します。手続きを確実に行わないと、予定通りにオープンできないだけでなく、予期せぬトラブルに発展する可能性があるため、十分に注意しましょう。
保健所へ提出する届出
飲食店を開業するには、店舗工事を開始する前に、保健所に営業許可を申請する必要があります。営業許可がないと、飲食店の営業はできないため、開業前に必ず手続きを済ませましょう。
なお、営業内容によって必要な基準が異なるため、事前に保健所に相談して詳細を確認しましょう。営業許可を取得するには、店舗の設計図や水質検査成績書などの必要書類を準備し、保健所に提出します。
提出後、保健所の担当者による店舗の立会検査が行われ、設計や施工が基準に適合していることが確認されると、営業許可が交付されます。許可証を受け取ったら、営業を開始する準備が整うでしょう。
手続きを後回しにしてしまうと、開業予定日に間に合わないリスクがあるため、スケジュールに余裕を持って進めるよう心がけましょう。
消防署へ提出する届出
飲食店では火を扱うことが多いため、消防に関する以下の届出も必要となります。
・防火管理者選任届
・防火対象設備使用許可届
・火を使用する設備などの設置届 など
ただし、全ての届出が必要なわけではなく、保健所への届出同様、営業内容によって異なります。
たとえば、開業予定の店舗が一定の条件を満たすと、防火管理者を選任しなければなりません。防火管理者として選任されるためには、資格取得が必要となります。防火管理者選任届は、資格取得後に提出する届出です。
また、固定燃料を使用する炉、70kW以上のボイラーなど、厨房に出力が大きい設備を設置する場合には、火を使用する設備などの設置届が必要です。
届出を忘れると、安全面での問題だけでなく、営業許可が下りない場合もあるため、早めに準備を進めましょう。
税務署へ提出する届出
飲食店を個人事業として開業する場合は、税務署へ提出する届出もあります。
・個人事業の開廃業等届出書
・所得税の青色申告承認申請書
・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申告書
・青色事業専従者給与に関する届出書
・給与支払事務所等の開設届出書 など
「個人の事業主の開廃業等届出書」は、個人事業主が事業を開始または廃業する際に税務署へ提出する必要がある書類です。開業届とも呼ばれ、提出することで税務署は事業の開始を認識し、適切な税務管理を行います。
開業届の提出により青色申告承認申請書もあわせて提出できるようになります。青色申告を選択することで、特別控除や損失繰越しなどのメリットを享受でき、税金を抑えることが可能です。
また、「給与支払事務所等の開設届出書」は従業員を雇用する際に税務署に提出する書類で、事業主が源泉徴収を行う旨を通知するためのものです。個人事業主や法人を問わず、所轄の税務署に提出する必要があります。
警察署へ提出する届出
営業時間や業態によっては、飲食店の開業時に警察署への以下の届出が必要となります。
・深夜酒類提供飲食店営業開始届出書
・風俗営業許可申請 など
午前0時から午前6時までの間にお酒を提供する予定がある場合は「深夜酒類提供飲食店営業開始届」を提出する必要があります。住宅専用地域などでは、この時間帯の酒類提供が制限されている場合があるため、事前にエリアの規制を確認しておきましょう。
また、従業員が客に対して接待を行う場合は「風俗営業許可申請」を行わなければなりません。許可を取得するには、施設の設備や従業員に関する条件が定められており、営業できる地域も商業地域など特定のエリアに限られています。
どちらも届出をせずに営業を開始すると、罰金または懲役が科される可能性があるため、注意が必要です。
その他各所へ提出する届出
ほかにも、都道府県税事務所や各市町村などへの届出や、従業員を雇用する場合に必要となる届出などの確認も必要です。
・個人事業税の事業開始等申告書
・労災保険加入手続き
・雇用保険の加入手続き
・社会保険加入手続き など
適切な届出を把握し、手続きを忘れずに行いましょう。
開業前に知っておきたい正しいゴミ処理方法
飲食店を開業する際には、美味しい料理やサービスの提供だけでなく、環境への配慮も重要な課題です。とくに、適切なゴミ処理と信頼できるゴミ回収業者の選定は、地域社会への責任を果たし、法令を遵守するために欠かせないステップです。
ゴミの処理を疎かにすると、店舗の評判にも悪影響を及ぼす恐れがあります。そのため、開業前に正しいゴミ処理の方法をしっかりと理解し、万全の準備を整えておくことが重要です。
イーブライトに所属するゴミ回収ガールが、インスタグラムでゴミに関する情報を配信中!フォローやDMお待ちしております!
飲食店におけるゴミ分別の基本
飲食店では、正しいゴミ分別が店舗運営の基本です。飲食店から出るゴミには、食品廃棄物、容器や包装材、不燃ごみなどさまざまな種類があります。それぞれのゴミに合った袋を準備し、しっかりと分別を行うことが重要です。
また、各自治体には独自のゴミ分別や収集に関するルールがあります。開業前に所在地の自治体のルールを確認してから、ゴミを出すようにしましょう。自治体によっては分別が厳格に求められる場合もあり、ルールに従わないと罰則が科されることもあります。
分別が難しいゴミや特別な処理が必要なゴミは、専門のゴミ回収業者に相談し、適切な処理方法を確認しましょう。
飲食店のための正しいゴミ処理方法
飲食店から出る廃棄物は「一般廃棄物」と「産業廃棄物」に分類されます。一般廃棄物とは、可燃ゴミや粗大ゴミなど、産業廃棄物に該当しないゴミであり、事業者自身の責任で適切に処理しなければなりません。
一方で、産業廃棄物は廃油や廃プラスチック、金属くずなど法令で20種類が定められており、業種によって該当するものが異なります。条件を満たせば個人事業主が自ら処分場に持ち込むこともできますが、法令に従った対応や処理にかかる手間を考えると、専門業者に委託する方が効率的です。
ただし、一部の自治体では、少量排出事業系ごみ収集制度が設けられています。たとえば、八王子市ではゴミの排出量が少量、かつ小規模の事業者に限り一定量以下のゴミを家庭ゴミと同様に市が回収してくれる、登録制の収集制度があります。
効果的なゴミ回収業者の選び方
ゴミ回収業者を選ぶ際は、契約条件や料金体系も事前にしっかり把握して、信頼できる業者を選ぶことが大切です。
まず、ゴミの種類に応じた許可を確認しましょう。「一般廃棄物」は市区町村の許可、「産業廃棄物」は都道府県の許可が必要です。業者が適切な許可を持っているか確認することが大切です。
また、収集車の台数が十分で、幅広い種類のゴミに対応してもらえるかも確認しておきましょう。その際、回収車両の清潔さもチェックしておくことをおすすめします。
ポイントを総合的に考慮し、信頼できる業者を選ぶことでゴミ処理の効率と安心を確保できます。
まとめ
飲食店の開業には、徹底した準備が欠かせません。開業後の経営を軌道に乗せられるかは、どれだけ準備を整えたかに大きく依存します。開業後に慌てるのではなく、事前にしっかりと計画を立てておきましょう。
なお、ゴミ処理と信頼できる回収業者の選定も重要です。地域社会と調和し、環境に配慮した運営を心がけることで、お客様に愛される店づくりが実現できるでしょう。
イーブライトは、さまざまな業種・業態に対して一般廃棄物処理および産業廃棄物処理のサービスを提供しております。
計量器付きパッカーの導入により、排出量の管理と処分費用の明確化に努めています。開業準備の一環として、ゴミ処理について詳しく知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。