千代田区の事業ごみ

本ページでは、事業活動に伴って排出される産業廃棄物・一般廃棄物の分類や保管方法、委託契約のルール、マニフェスト制度の運用方法に加え、延床面積の大きな事業用建築物に対する区の指導内容についてもわかりやすく解説しています。

千代田区の環境保全への取り組み

千代田区では、「2050 ゼロカーボンちよだ」「2050 ゼロ・ウェイストちよだ」を掲げ、ごみの削減や資源化、地球温暖化対策を重点的に進めています。区の一般廃棄物処理基本計画や環境方針に基づき、事業者に対して分別やリサイクルの推進、建物段階での廃棄物保管場所の整備などを求めています。また、事業者の環境配慮への取り組みを計画書として募集し、公表や表彰を行う仕組みも整えています。

さらに、区内には清掃工場がないため、独自の基準を設けています。たとえば、大規模建築物には廃棄物保管場所の設置を義務づけるなど、事業系ごみの適正処理に取り組んでいます。

参照
第5次千代田区一般廃棄物処理基本計画
千代田区:大規模建築物保管場所等の設置

保管の方法

適切な保管の基準

1. 保管場所の位置と分別
保管場所は、ほかの用途と兼用せずに設ける必要があります。また、家庭系(一般)廃棄物と事業系廃棄物をしっかり分けて保管できるようにすることが求められています。これらの点は、千代田区の大規模建築物に関する要綱にも明記されています。

2. 容量と収容性
廃棄物の種類や排出量、保管予定日数に応じて、十分に収容できるスペースを確保しましょう。さらに、搬入や積み込み作業に必要な作業スペースや、運搬車両が通れる通路を確保することも大切です。これらは千代田区の保管場所設置基準に沿って整備する必要があります。

3. 容器や構造(液体・汚水への対策を含む)
液体廃棄物や汚染の可能性があるものは、密閉容器や二重容器、防液堤(バンド)、ドレン管理などを行い、安全に保管します。屋外での保管では、床面をコンクリートなどの不浸透性素材とし、排水が外部に直接流れないよう対策をとることが求められます。また、東京都や国が示す工事廃棄物の指針にある「飛散・流出防止策」(シート掛けや液ダレ防止など)も参考になります。

4. 保管量と保管期間の考え方
一時的な保管に関して、法律で明確に一律の日数が定められていない場合もあります。しかし、処理が遅れたり長期間保管したりすると、近隣環境や法令遵守の面でリスクが高まります。そのため基本は「随時運搬・処理」が前提です。特別管理産業廃棄物や処理施設によっては「処理能力の14日分を上限」とする規定が設けられていることもあります。また、マニフェストや委託契約などの関連書類は、原則として5年間保存する必要があります。

5. 許可業者への委託
廃棄物の収集・運搬・処理は、それぞれの種類に応じた許可(収集運搬・処分許可)を持つ業者に委託しなければなりません。千代田区の案内でも、事業系ごみは必ず許可業者に委託することが明記されています。

参照
千代田区:大規模建築物及び事業用大規模建築物における再利用対象物保管場所及び廃棄物保管場所等の設置について
環境省:特別管理産業廃棄物の処理基準の概要
千代田区:事業者が出すごみ
東京都環境局:建設工事・解体工事を行う皆様へ

保管場所の表示義務

▼表示義務について
産業廃棄物や特別管理産業廃棄物の保管場所を設ける場合は、廃棄物処理法などに基づき、保管場所の見やすい位置に掲示板(看板)を設置し、必要な事項を表示することが義務づけられています。運搬車両についても同様に表示義務があります。

▼掲示板・看板に記載すべき主な内容(実務例)
1.保管場所の管理者名(氏名または事業者名)と連絡先
2.保管している産業廃棄物の種類(石綿含有など特殊なものは明記)
3.屋外で容器を使わずに保管する場合の最大保管高さ
4.積替え保管や処分目的で保管する場合の数量表示(必要に応じて)
5.緊急時の連絡先

掲示板のサイズは、縦横60cm以上を推奨する資料が多く、見やすさと読みやすさの確保が重要です(都内の実務解説より)。

▼千代田区での届出・大規模建築物への対応
延べ床面積が1,000㎡以上の事業用建築物では、「再利用対象物保管場所設置届兼廃棄物保管場所等設置届」を建築確認申請前までに千代田清掃事務所へ提出する必要があります。保管場所の構造や位置、掲示方法などの要件は、区の要綱で定められています。

参照
環境省:産業廃棄物収集運搬車への表示・書面備え付け義務
産業廃棄物掲示板の必要性と適切な設置方法をくわしく解説
千代田区:大規模建築物保管場所等の設置

保管期間・量の制限

排出事業者が自社敷地内で廃棄物を一時的に保管する場合、廃棄物処理法で「〇日以内」といった明確な日数制限が定められていないことがあります。とはいえ、大量にため込んだり長期間保管したりすると、行政から指導を受ける可能性がありますので注意が必要です。特に特別管理産業廃棄物や処理施設については、設置基準で「処理能力の14日分まで」といった制限が設けられているケースもあります。基本的には「速やかに委託・処理する」ことが前提と考えてください。

また、関連書類の保存も重要です。マニフェスト(産業廃棄物管理票)の控え、委託契約書、受領証などは原則5年間の保存が義務づけられており、電子化による保管も認められています。

参照
産業廃棄物マニフェストの保管期間は?A〜E票それぞれを紛失した場合の対処方法
排出事業者が産業廃棄物を保管する場合の保管量や保管期間についての定め

漏洩・飛散防止策の義務

千代田区では、法令や東京都の指針に基づき、実務上必ず行うべき主な対策は以下となります。

1.密閉容器・二重容器の使用
液体や有害物質は必ず密閉容器に入れ、さらに二重容器を用いて漏えいを防ぎます。

2.不浸透性の床面と排水管理
屋外での保管はコンクリートなど不浸透性の床を使用し、排水が下水などに直接流れないようドレン管理を行います。

3.囲い・蓋・シートの設置
飛散や暴露の恐れがある廃棄物は、フェンスやパネル、蓋、シートなどで覆い、工事現場ではシート掛けが推奨されています。

4.二次的防護と緊急対応体制
吸着材やモップを常備し、漏えい時の初期対応マニュアルや担当者、連絡フローをあらかじめ周知しておきます。

5.点検と記録の徹底
容器の損傷、液だれ、腐食、ラベルの劣化などを定期的に確認し、点検記録を残します。

6.マニフェストと輸送時の安全管理
運搬時には必ずマニフェスト(または車載伝票)を携行し、シート掛けや器具の固定など、輸送中の漏えい防止策を徹底します。

参照
東京都環境局:建設工事・解体工事を行う皆様へ
千代田区:大規模建築物及び事業用大規模建築物における再利用対象物保管場所及び廃棄物保管場所等の設置について

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