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飲食店を開業するために必要な準備を解説!必要な資金や手順も紹介
「いつか自分のお店を持ちたい」という夢を抱き、飲食店の開業を目指している方も多いでしょう。しかし、開業に成功するためには、資金計画やコンセプトの明確化、リスク管理など、さまざまな事柄に対して入念に計画を立てておく必要があります。
本記事では、飲食店開業に必要な準備や手順を分かりやすく解説しています。開業に向けた資金計画やコンセプト設計についても詳しく紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
飲食店を開業するために必要な事前準備
ビジネスの方向性を決めるコンセプト設計から始まり、事業計画の作成、必要な資格の取得まで、開業までにやるべきことは多岐にわたります。事前準備を計画的に進めることで、スムーズに開業へとつなげられるでしょう。
飲食店の開業はひとりでもできる?
ひとりで開業することで人件費や物件取得費などの開業資金が抑えられます。しかし、気になるのはひとりで開業が可能なのかという点です。
結論からいえば、小規模な店舗であれば、ひとりでも十分に開業可能です。広さが15坪以内で、席数が10席程度のお店なら、ひとりで接客や料理、会計などを回せます。
ただし、スペースにゆとりがないため、多くのテーブルや座席が必要となるファミリー層をターゲットにするのは難しいかもしれません。カフェやバーのように、ひとり客が多い業態が向いているといえるでしょう。
コンセプト設計
開業の際は、まずはコンセプトを設計しましょう。コンセプトはお店の核となる部分であり、店舗全体の運営方針を決める際に役立ちます。
コンセプトとは
コンセプトとは、店のテーマや方向性を示すものです。開業する際は、店名や内外装、メニュー、料理の提供方法など、さまざまな要素を決める必要が出てきます。コンセプトを決めておくことで「このお店に行くとこんな料理が楽しめる」「この雰囲気が好き」といったイメージが客に伝わりやすいというメリットがあります。
たとえば、エスニック料理店を開業する場合は、コンセプトを「本場の味を再現する異国情緒あふれるレストラン」と設定するとします。コンセプトをもとに詳細を考えていくと、内装は想定している国の代表的なデザインや意匠、メニューはその国の代表的な料理を中心に構成すると考えられるでしょう。
コンセプトが具体的であるほど、店舗のイメージに一貫性が出てきます。客がお店に期待するものと実際の店舗のミスマッチを防げることで、リピーターが増えるでしょう。
5W1Hでコンセプトを考える
飲食店を成功に導くには、立地やターゲット層、メニュー、価格帯が事業と合致していることが大切です。5W1H(いつ、どこで、誰に、何を、どのように、なぜ)を活用して計画を立てることが一般的です。
いつ(When)は、営業日や営業時間のことです。競合店や人通りが多い日・時間帯を調査し、それにもとづいて最適な営業スケジュールを決定しましょう。
どこで(Where)は、出店エリアの選定です。繁華街やオフィス街など、集客が見込めるエリアは理想的ですが、賃料が高く希望する物件が見つからないリスクもあります。地元や土地勘のある地域を選ぶことで、紹介や口コミで集客を狙うという方法も取れます。
誰に(Who)はターゲット層の設定です。立地やお店に適した客層をターゲットにするとよいでしょう。
何を(What)は提供するメニューの選定です。ターゲット層や業態に合った料理や飲み物を考えます。
どのように(How)が提供方法です。セルフサービスやタブレットを使った注文、テイクアウトなど、店舗のスタイルに合った提供方法を選びましょう。
なぜ(Why)は、店舗を開業する目的や理由です。個人店が成功するためには、明確な経営理由や他店との差別化が必要です。たとえば「地元を盛り上げるために地元の食材を使いたい」「独自のアイデアでユニークな店舗を作りたい」など、開業の目的を明確にしましょう。
事業計画を立てる
飲食店を開業する際には、事業計画書を作成しましょう。事業計画書とは、ビジネスの目的や目標、戦略、収益計画などをまとめた書類です。ビジネスの方向性や資金計画、事業のリスクとチャンスの把握に役立ちます。
また、事業計画書は金融機関から融資を受ける際に必要不可欠なものです。銀行は計画書をもとに、返済能力や事業への情熱を判断し、融資の審査を行うからです。事業の信頼性や将来性が伝わるような内容を心がけましょう。
資格取得
飲食店を開業する際には、以下の資格が必要です。これらの資格を取得することで、店舗運営における安全性を高められます。
食品衛生責任者
飲食店を開業する際には、食品衛生責任者を設置することが法律で義務付けられています。食品衛生責任者とは、店内の衛生管理やスタッフの衛生管理指導などを行う人のことです。
オーナーまたは従業員のうち、必ずひとりを選定します。食品衛生責任者となるためには、都道府県で実施されている食品衛生責任者養成講習会を受講する必要があります。ただし、調理師免許や栄養士、大学で農業や水産、畜産などのカリキュラムを修了し、卒業資格を得ている方は講習を受講する必要はありません。
防火管理者
飲食店で客席の収容人数が30人以上(従業員を含む)の場合、防火管理者を1名選任する必要があります。防火管理者とは、建物内の防火対策を担当し、消火設備の点検や避難訓練の実施、非常口や避難経路の管理などを行う人のことです。
防火管理者の資格は、防火管理者講習を受けることで取得できます。講習場所は、一般財団法人日本防火・防災協会のホームページから確認できます。
調理師免許は必須ではない
飲食店をオープンするために、調理師免許は必ずしも必要ではありません。多くの方が誤解しやすい部分ですが、調理師免許がなくても飲食店のオープンは可能です。
調理師免許は専門的な調理技術や知識を証明するものであり、取得していると信頼性が高まるというメリットはありますが、法律上は必須ではありません。ただし、食品の取り扱いや衛生管理、栄養学、調理技術など、飲食店経営に役立つ幅広い知識を得たいなら、取得してみてもよいでしょう。
飲食店の開業に必要な資金
飲食店開業を成功させるためには、事前の入念な資金計画が欠かせません。以下で飲食店の開業に必要な資金と資金調達方法について解説します。
資金がゼロでもできる?
ビジネスを始める意欲はあるけれども、十分な自己資金がないため、開業が難しいと感じている方も多いでしょう。開業資金が0円で始められるのならこれ以上の資金調達は必要ありませんが、実際は難しいといわざるを得ません。
なぜなら、金融機関は初めて飲食業を始めるひとに対して、簡単に融資を行わないためです。自己資金が融資の重要な審査基準となっており「創業資金の3分の1以上の自己資金を持っていること」という条件が設けられている場合があります。手元の資金が少ないと、希望する金額の融資を受けられない可能性もあります。
初期投資費用はどれくらい?
飲食店を開業する際の初期費用は、1,000万円を目安にするのが理想的です。とくにコストが大きいのは、物件取得費、内外装工事費、そして厨房設備費です。
物件取得費には、前家賃や敷金、礼金、保証金などが含まれます。店舗の立地条件によって費用は大きく異なり、繁華街や商業エリアなどの人気のある立地は、物件取得費が高くなる傾向があります。
一方、内外装工事費も大きなコストのひとつです。デザインや素材にこだわるほど金額が高くなるため、どの部分なら妥協できるかを考えることが重要です。
また運転資金として、6か月分の家賃や人件費、材料費などをカバーできる資金を用意しておくと安心です。開業初期の予期しない出費や収益の不安定さに対応しやすくなります。
資金調達方法
自己資金だけで開業できるのなら、後々の返済負担がないため気持ちも楽になります。しかし、多くの方は自己資金のほかに、融資や投資といった外部から資金を得ています。
代表的な資金調達法が金融機関からの借り入れです。銀行がありますが、そのほか公的融資として制度融資や日本政策金融公庫などもあります。
制度融資と日本政策金融公庫は、どちらも長期間にわたり固定低金利で借りられる制度です。たとえば、神奈川県では「神奈川県中小企業制度融資」として、神奈川県と金融機関、県の信用保証協会の連携により、中小企業の資金調達をサポートしています。
一方で、日本政策金融公庫は、新規事業者や中小企業向けの融資を積極的に行っている政府系の金融機関です。
さらに、補助金や助成金を活用することも資金調達の一環として有効です。返済が不要または一部返済の制度を利用すれば、開業資金の負担を軽減できるでしょう。
飲食店を開業するまでの手順
飲食店を開業する際は計画的にスケジュールを進めていかなければなりません。以下で、開業までの具体的な手順について紹介します。
1.コンセプト・事業計画の設定
飲食店を成功させるためには、コンセプトや事業計画の入念な作成が必要不可欠です。コンセプトや事業計画をもとに融資や助成金・補助金が決定するからです。
漠然としたお店への思いを数値や的確な言葉で表すのは大変なため、開業の1年前からゆとりをもって作成し始めましょう。
コンセプトを決めるときは、5W1H(いつ、どこで、誰に、何を、どのように、なぜ)をもとに考えます。コンセプトとは、お店がどのような価値を客に提供するのかの軸となる部分です。
たとえば「こだわりのコーヒーを提供するカフェ」のコンセプトとして以下のものを考えてみました。
・いつ(When): 平日から週末、朝から夕方まで
・どこで(Where): 都市の住宅街に位置し、小さな店舗ながらも落ち着いた雰囲気
・誰に(Who): 地元住民や静かに読書や仕事をしたいひと、コーヒー愛好者など
・何を(What): 自家焙煎のこだわりコーヒーを中心に、軽食や季節ごとの特製スイーツも
・どのように(How): 高品質な豆を丁寧にハンドドリップし、アットホームな雰囲気のなかで心のこもった接客をする
・なぜ(Why): 忙しい日常の中で、ほっと一息つける場所を提供し、コーヒーを通じて癒やしと小さな贅沢を客に届けたい
コンセプトを設定したら、次に具体的な事業計画を立てましょう。事業計画を設定することで、これまで曖昧だった課題や問題点が浮き彫りになります。主に以下の内容を含む事業計画書を作成しましょう。
・事業者のプロフィール
・開業目的や熱意(なぜこのビジネスを始めるのか)
・コンセプトや事業理念
・顧客ターゲット
・商品の内容
・収益を上げるための戦略
・必要な資金と使い道、返済の計画
・必要な人材とその役割
事業に価値があり、安定した売上が見込めると判断されれば、融資の審査も通りやすくなります。明確で根拠のある事業計画を作成し、継続的に利益を上げられる体制を整えましょう。
2.商標登録
店名はお店の看板ともなるため、宣伝効果のある名前を決めましょう。屋号を聞いただけで店の方針や料理がイメージできる名前だとベストです。
自分の名前を店名に使用するのもよいでしょう。「〇〇店長のお店」として親しみやすく、ファンを増やす手助けになります。
名前を決めたら商標登録することになりますが、すでに登録済みの店名があると受け付けてもらえません。万が一のために候補の名前をいくつか考えておきましょう。
また、名前を決めたら、店のブランディング作りの一環として、看板や名刺、箸袋に使えるロゴマークを作成しましょう。個性的で魅力的なロゴが作れれば店の宣伝になります。
3.物件探し
8か月前には物件探しをしましょう。多くの方がまず資金集めを優先しますが、実は物件探しを先に始めることが重要です。銀行や投資家から資金を借りる際に、具体的な店舗の立地や規模が明確でないと、融資が通りづらいからです。
店舗の立地や店のスペースが判明していれば、少なくても夢を描いた内容ではないと説得できます。事業計画が現実味をおびてくることで、金融機関からの信頼を得やすくなるでしょう。
4.資金調達
開業5か月前には、資金調達を本格的に進める必要があります。1,000万円以上が理想ですが、そのうち3分の1程度は自己資金でまかなうのが一般的です。
自己資金が足りない場合は、親戚や友人からの借り入れ、銀行融資、日本政策金融公庫からの融資を検討しましょう。
5.メニュー決め
お店で出すメニューを決めましょう。メニュー構成は、お店の売上やコストに直結するため、慎重に検討する必要があります。売上が少ないにもかかわらず手間のかかるメニューは、原料費が無駄になり廃棄コストもかかるため、なるべく避けます。
また、より少ない品数で最大の効果を上げるメニュー構成を考えていくとよいでしょう。品数が多いと一見喜ばれるかもしれませんが、実際に注文されるメニューは限られます。主力メニューを中心に据え、無駄のないメニュー構成を考えることが大切です。
6.店舗の施工
店舗の内装や外装のデザインは、店舗のコンセプトを反映させるために欠かせません。
さらに、レジの配置やスタッフの動線、厨房内の効率的な機器の配置は、来店客や従業員の快適さに直接影響します。快適な店舗作りは、飲食店経営の成功にとって不可欠な要素です。
内外装の工事は、デザインが完成してから開始されるため、スケジュールに余裕を持つためにも、開業の3か月前から設計に取り掛かることが理想的です。また、コンセプトに合った設計事務所の予定を確保するためにも、早めの準備が必要です。
7.各種届出
開業前に各種届出を行います。開業に必要な届出は、主に営業許可や税務、労働関係の書類で、提出先もそれぞれ異なります。各届出の提出先は以下の通りです。
・保健所
・消防署
・税務署
・警察署
・労働基準監督署
・ハローワーク
・年金事務所
・各都道府県税事務所・各市町村
必要な届出の種類は、開業予定の飲食店がどういった業態であるかによっても異なります。
たとえば、深夜に酒類をメインに提供する場合は、深夜酒類提供飲食店営業開始届出書が別途必要となりますが、深夜に麺類や丼物を提供し、酒類は添え物程度に出す場合は届け出は必要ありません。
また、従業員が客に同席して歓談する、一緒にカラオケをする場合は風営法上の接待にあたるため、風俗営業許可申請が必要ですが、単に居酒屋で飲食物を提供する行為は接待には当たりません。
細かく定められた事項も多く、個人では判断しきれないこともあります。法律に関わる内容であるため、心配な場合は専門家に相談したほうがよいでしょう。
飲食店の開業時に注意すべきゴミの処理
飲食店を開業する際には、ゴミの処理方法にも十分な配慮が必要です。事業から出るゴミは事業ゴミとして管理され、一般家庭のゴミとは異なる扱いを受けます。
適切な処理が行われないと、不法投棄とみなされ、法的なリスクや店舗のイメージダウンにつながるおそれがあります。以下で、飲食店の開業時に知っておくべきゴミの種類や処理方法について詳しく解説します。
適切に処理しないと不法投棄になる
飲食店から日常的に発生するゴミは「事業ゴミ」として分類され、家庭から出る「一般家庭ゴミ」とは異なる扱いを受けます。事業ゴミを一般家庭ゴミと同じ集積所に持ち込むことは法律で禁じられており、これを行うと不法投棄とみなされます。
事業活動によって発生するゴミは、事業者が自らの責任で処理しなければならないと定められているためです。もし、事業ゴミを家庭ゴミとして処分した場合、廃棄物処理法に違反します。
発覚した場合、5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金が科される可能性があるのです。不法投棄が明らかになると、店舗の社会的評価やイメージが大きく損なわれる可能性があります。
ゴミの種類
飲食店で出るゴミは、一般廃棄物と産業廃棄物に分けられます。2つは分別して処理する必要があります。
一般廃棄物
一般廃棄物は、主に燃焼によって処理できる廃棄物(可燃ゴミ)のことです。飲食店で提供された料理の残りや、調理過程で出る食材の廃棄物が含まれます。具体的には、食事後の残り物や調理時に発生する野菜くずなどです。
また紙類も一般廃棄物に含まれます。紙ナプキン、店舗のメニューや宣伝用資料、割り箸、紙コップ、書類、レシート、紙のメニュー表やポスターなどです。従業員が店内で食事を取る際に発生する、食べ残しや容器などのゴミも一般廃棄物に該当するため注意しましょう。
産業廃棄物
産業廃棄物は、法律で定められた20種類の廃棄物のことを指し、一般廃棄物とは異なる取り扱いが求められます。厨房で発生する廃食油や、グリストラップの清掃時に出る汚泥などです。
また、調理や保存に使用される使い捨てのプラスチック容器や食器、瓶、ガラス製品、ナイフ、フォーク、スプーンなどの金属製品も産業廃棄物に該当します。
イーブライトに所属するゴミ回収ガールが、インスタグラムでゴミに関する情報を配信中!フォローやDMお待ちしております!
ゴミの処理方法
飲食店がゴミを適切に処理するためには、自治体の処理施設に持ち込む、または廃棄物処理業者へ委託する方法が採られます。
処理施設へ持ち込む
飲食店が直接、自治体の処理施設に廃棄物を持ち込む方法です。自治体の規定に従い、ゴミを適切に分別してから持ち込みます。利用時間や受け入れる廃棄物の種類が異なるため、事前に市区町村のホームページや窓口で確認しましょう。
処理施設に持ち込むメリットは、中間業者を介さないためコスト負担が軽いことです。一方、自ら持ち込む必要があるため手間がかかるのがデメリットとなります。
廃棄物処理業者に依頼する
廃棄物処理業者に、収集と運搬を委託する方法です。誰でもよいわけでなく、自治体の許可を得ている業者でなければ法律違反となってしまうため、注意しましょう。許可の有無は、自治体のホームページで確認できます。
業者に依頼するメリットは、定期的にゴミを収集してくれるため、ごみ処理の手間が減ることです。一方で、業者の選定や契約には手間がかかることがあり、ゴミが急増した際に迅速に対応してもらえない場合もあります。
イーブライトでは、首都圏を中心に一般廃棄物や産業廃棄物の収集を行っています。各都道府県の許可を取得しており、安心してお任せいただけます。お気軽にお問い合わせください。
まとめ
飲食店を開業するためには、入念な事前準備が必要です。店舗のコンセプトを明確にし、具体的な事業計画書を作成しましょう。目指す店舗の姿や経営戦略が具体化され、成功への道筋が立てやすくなります。
一方で、資金調達では、自己資金に加えて融資や助成金の利用を検討することが重要です。銀行や公的機関による融資を活用することで、資金面での安定をはかれます。
そして忘れてはならないのがゴミ処理の対策です。適切なゴミ処理は、清潔な店舗環境を維持し、悪臭や害虫の発生を防ぎます。
イーブライトでは、飲食店向けにゴミ収集サービスを提供しており、急なゴミの増加にも対応可能なスポット回収を実施しています。曜日を問わず、ご希望の時間帯に回収できるため、安心して店舗運営に集中いただけます。ぜひお気軽にご相談ください。